追跡車
いつも左を向くとある車がぴったりと付いて来ている。
鋭利なフォルムのサイバーな車で、それは強くてヤバイとわかっている。
仕方がないので常に右折だけでそのスーパーカーから逃げていると、イチロウとソウスケに遭遇した。
少し二人と話をしていると、視界の左側にあのスーパーカーがちらつく。
イチロウ「あ! あの車は!」
ソウスケ「恐ろしい!」
怯える二人に別れを告げ、また逃走をはじめなければ。
さり際に二人は、ぼくが冷たい人間であるというような内容の話を、ぼくに聞こえないようにしていたように思う。でもごめん、追われてるんだ。
やはりまだ付いて来ている。
できる限り遠くへ。でも左には進めない、右にだけ進む。左を見るとやはりまだ付いて来ている。
右だ!右に進め!
左を見る。未だいる。
これはもうテレポートしているとしか思えない。その時に気がついた。
ぼくが車だと思っていたのは、窓だ。寝ながら見ると、すぐ左に位置している窓だ。
それをなんとなくのイメージで車として取り込んでいたのだ。どおりで逃げきれなかったわけだ。
だがこの話は、順番が違うということにも、同時に気付かされる。
このことが間違いなんだ。
了
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