49時間目。1次会


延々と0次会が続くこともあるため、時間区切りで1次会へ

ななみ以外は相当のダメージを負っている。まだ俺は意識がしっかりあるが、視線がぶれる程度

琴美も同様である。だが、悠木は既に死に体に近い

いつもの安居酒屋、しかも個室付き


「えっと緑茶4つお願いします。あと生ビール2つとホッピーセット白1つください」


いつもこのメンバで1次会が開催されると、注文するのはななみである

大体俺と琴美と悠木の飲むお酒は決まってる。さらに飯なんてテーブルにあればつまむ程度で、食べたいのがあったら勝手に頼む制度である


緑茶は俺と琴美と悠木でまず水分補充。悠木が一番酔っているので2杯

俺はホッピー、ななみはホッピー(外(合法))のみ。外だけで飲めるってすげえと思う


とりあえず、乾杯もせずにひたすら緑茶で水分を補充

その間にななみが俺の酒を作り、瓶を構える


「一次会かんぱーい!!」

『かんぱーい!』


そして始まる一次会

まぁ一次会はいいのだ。これは0次会後の前哨戦である

本当の戦いは2次会なので、ここは休憩地点だ

ある程度世間話をして、たまに一気飲みをして騒いでいた。ななみも琴美と悠木とは5年以上の付き合いはあるため、まるで同年代のように会話がはずむ


「彼氏ができない!!」


そして会話後のたまにあるちょっとした静寂

琴美はバンと思い切り中ジョッキを感情に任せてテーブルに叩きつける

ちなみに悠木はテキーラによる時間差攻撃により一回休みのお眠り中だ

うん、だからお前の性格直せばいけるって


「今特定のやついないの?」


俺の質問に琴美は半分くらい残っているウーロンハイを一気に流し込み

再び叩きつける


「いたらこんなこと言わないわボケ!わたの耳は節穴かボケェ!!!」


ジョッキに手を突っ込み、お世辞じゃなく綺麗な指が氷を掴み俺に投げつけてくる

だから!それを!やめろ!!


「ことみん顔もスタイルもいいのに謎だよねー」


とりあえず、乗っかることにしたななみ

これで被害は俺だけになる。そして今日の朝に来たやり取りを思い出す

…待てよ


「琴美は好みのタイプとかあるのか?年下とか年上とか」


「何でもいい!!」


もはやこいつはそこまで切羽詰まっているのか…

ホント、顔とスタイルだけは良いのに


「明日、同僚と飲むんだけど、28歳の性格も男気溢れる良い男がいるんだけど」


とりあえず、雄太郎に投げつけることにした

ミヨキチもいるのでとりあえず、雄太郎に琴美を押し付け、押し付け、押し付け、ミヨキチとでも会話しながら飲もうか


「超いいじゃん!!え?顔写真とかある?」


食いつきが良い

こないだ飲んだ時にふざけて取った写真あったな


「ほれ」

「すいません、ウーロンハイを2つください」


最近のことだからすぐに見つかる。携帯の画面を見せると奪い取られる

ななみは完全に我関せずであった


「ふむ、合格!!呼べ!呼ばないと殺す」


笑顔で氷を構えるな


「聞いてみるわ。ちょっとお前写真撮らせろ。それも含みで送るわ」

「しゃあ!来い!!」


漢気溢れる返事と共にピースする。目の前にいるのは性格破たんしてるアホだが、こうやって写真で見るとレベルが高い


雄太郎へ[明日の飲み会、ちょっとお前に紹介したい奴いるんだけどそいつも入れていい?添付(さっきの写真)]


「送ったから返信待ちな」

「愛してる!!」


という言葉と同時に氷が投げられる。え?言葉と身体の行動違いません?

これでとりあえず、落ち着くか


「ななみんは最近彼氏とかいるの?いないよね?」


ちょっと威圧感出しながら美味しそうにホッピー白(外のみ)だけ飲んでいるななみに飛び火が行く

ちらっとななみが隣にいる俺を見る。これの意味は「巻き込むなし」である


「全然いないよ、いたらパパとかお兄に殺されてると思うし」


「女子高だもんねー、ならよし!!でも大変だよねそれ、結婚とか願望あったりする?」


琴美よ、お前8つも年下に張り合うなよ…

そして高校生に結婚願望とか無いだろ


「将来はお兄に養ってもらうからヒモを夢見てる」


そしてその回答も酷過ぎだぞ妹よ

携帯が震える。このタイミングなら雄太郎か


雄太郎[え?めっちゃレベル高くね!?でもミヨキチいるぞ]

雄太郎へ[まぁミヨキチだからいいだろ。どうだ?]

直ぐに返信が来る

雄太郎[宜しくお願いしますorz]


許可が下りた

そのやり取りをした画面を琴美に向ける


「流石わた!!生涯愛してる!!」


また氷が投げられる。照れ隠し?そんな照れ隠しいらないよ?投げられる度にななみを庇いつつ食らうの痛いんだけど?


雄太郎へ[じゃあ連れてくわ]


「あれ?じゃあ明日は?」

「ん、そうだな」

「ん」


明日の夕飯はてきとうに一人分でいいの?と聞かれたので、流石に居酒屋後に飯を食うのは太るし断る

いつものやり取りをガン見してくる琴美


「いや、やっぱさぁそれおかしい」


『?』


「首傾げんな!ちょっとイシンデンシンゲームしてみて」


イシンデンシンゲーム

それはあるお題を渡され、ヒントを出してそのお題を当てるだけのゲーム

重要なのはその名前を出していけないことだ


琴美はカバンからノートを取り出し器用に8分割

そしてお題を書き始める


「テキーラ2杯ください」


書きながら注文。普通にこの安居酒屋にテキーラは置いてないが、常連となった俺ら用にテキーラが用意されている


「ルールは簡単、本来は3つ質問して当てるけど今回は1つのみ!!失敗したらわたが一杯、当てたら私が飲む」


最悪なルールを適用しやがった

まぁ、一回だけならやってみるか

一杯なら余裕だ


『OK』


ななみは被害が無いので余裕でOKだろうな

8枚からランダムにななみが1枚引く


お題は、不明


「愛娘」

「ニンちゃん」


いや、それはわかるわ

お題は俺のバイクである。これは楽勝過ぎた


「…まぁ今のは…まぁ…まぁ、飲んでやるわ!!!!」


一気にテキーラをあおる

次のターンは俺、お題は…


「あー、あれ辛いの」

「カレーライス」


お題の紙をひっくり返す、内容はカレーライス

正解である

琴美を見る。俺のこの眼ははよ飲めである

テキーラを一気に飲み干してショットグラスを叩きつける


「おかしいでしょ!!?愛娘は私でもわかる!!?あれ辛いのでカレーライスって頭おかしい!!ちょ、もう一回。わかりやすい当たりばっかだから今のとこ!テキーラ2杯追加で」


ななみの番だ

お題をドロー、お題は…なんだ…?


「学校」

あぁ俺の卒業した中学校ね

「あけ中」


ななみがお題をひっくり返す

その内容はわたの中学校である


「お前ら夫婦か!!!!!」


テキーラを飲み干して最後の一杯を俺に突きつける

飲めということである。まぁ飲むか




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