50時間目。2次会


「よっしゃ飲むぜ!!」


1時間を超える睡眠を取り、復活した悠木が戻ってきた

俺も最後のテキーラ以外は抑えたので復活

ななみは無傷だが、琴美が今度は死に体である

コンビニでお酒をたんまり購入し、2次会が始まる


「2次会乾杯!」

『かんぱーい!』


ななみも今からアルコール入る。まぁウチだから良い

本当はダメだが、もうどうでもいいや


「とりあえず、ななみん飲んで、あと悠木も休んだから罰ゲームで飲んで」


ショットグラスについだテキーラ2杯をななみと悠木に渡す

お前…悠木はどうでもいいが、未成年に飲ませるなよ。ななみは半分くらい、悠木には瓶、そして何故か俺に一杯

悠木が頑張ってのんでるのを確認して飲む

まぁ、なんだっていいけど


「王様ゲーム!!」


叫びながら割りばしを取りに台所へ行く琴美

お前、人の家の割りばしの位置もわかるのかー不法侵入してないよな?まじで


「悠木、ななみ」

『OK』


流石親友と妹、通じた。琴美に王様を譲ってはいけない

こいつ普通に王様以外テキーラ飲むとかほざく

冷蔵庫にくっつけてある黒ペンを使って番号を書いて持ってくる

字は汚いが1~3と冠の絵が書いてある


「琴美がせこいことしてないかチェックするから貸せ」

「そんなことやってるわけない!!」


というと琴美が割りばしを投げつけてくる

チャンス

冠付いた箸の逆側に爪で軽く痕をつける

その様子をななみと悠木を確認していて一つ頷いた


「王様だーれだ!」


とりあえず仮で俺が箸を握る

琴美が速攻箸を奪い取る

あっやべ、それ王様…ななみと悠木が番号しか書かれてない箸を引く


「はい、私ぃ!選ばれし王!!それが私だぁ!!愚民共平伏せ!!」

「それ命令?よし、わたる、ななみちゃん平伏そう」

「違うわボケぇ!!」

「ぐぇ、ちょ吐く」


流そうと思って行動した悠木だが、琴美の蹴りが胸筋に刺さり物理的に黙らせられた

吐くなよ?まじで


「命令はー1番と3番が抱き合いながら2番にキック」


もう意味が分からない…酒の方がまだいいわ…2番がななみなら悠木にベアハッグ

ななみを見ると3番の割りばし、俺は1番、ということは悠木にキックか

琴美絶対見ただろ…悠木が蠢いてるときに表になった箸を見ただろ


「ななみ」

「右」


とりあえず立ち上がり、ななみが右足で蹴りたいということなので、位置を調整してななみの背中に手を回す


「あ、お兄ちょっと待って」


俺から離れると軽く素振りをし始めるななみ

軽くじゃねえの?風を切るな


「OK」

「ちょ、待って!!それガチだぞ!!?手加減しぶ!!」


ななみが俺の背中に手を回して抱き合いながら俺は軽く側頭部に、ななみは肩に全力で悠木に蹴りをくらわす

なんでお前全力出すのん?軽く側頭部狙ったけどななみの蹴りの威力によって、悠木が自分から俺の蹴り足にぶつかってきて、卒倒した

殴りの方が慣れてるとはいえ、お前の蹴りガチで痛いんだからな


「あひゃひゃひゃ!!!」

「あっ死んだ!」

「綺麗に入った。気持ちいい」


そりゃ死ぬよ

笑うな琴美それお前の双子の弟じゃねえか、気持ちいいじゃねえよキリングマシーン

琴美が笑っている隙を見て、冠付きの割りばしをななみにこっそり投げつける

王様である琴美が回収したのは1~3の割りばしだけだ


「王様だーれだ!」

「はい、私」


予定調和、ななみが3番の割りばしに傷をつけていて自分で回収していた

これならバレることはない


「じゃあ2番が王様に膝枕しながら1番にテキーラ瓶で限界まで」


馬鹿なの!?馬鹿なの!!?

…妹よ

それただのキチガイ命令だから…お前酔ってるな…肝臓鍛えてないからそんな強くないだろ

1番俺なんだけど…やめてマジで、お前どうせ俺の番号わかってんだろ


「王様…ちなみにどこまで?」

「限界手前でいいよ」


いつの間にか琴美の膝に頭を乗っけてぐでっとだらけながら命令を下す。王様それ恐怖政治っていうんだよ。恐怖政治は長続きしないから良い王様になってくれよ。頼むよ…

60ml飲めば充分だよなきっと…うぉああ…


「…飲んだ」


60mlならー許してくれるだろー

やべぇーめっちゃやべえー


「まだ限界手前じゃない」

「うぃおおおお」


ついかかー

やったろーじゃねーかー


「そろそろいいよ」

「しゃああああ、やるぞ王様ゲームぅ!!お前ら全員ぶっ殺す」


「かかってこいよクソがぁ!!」

「へいへーい」


「悠木さん寝てるし服ぬご」


「王様は俺じゃああああああああ」

「私は1番だかかってこいクソがぁ!」

「私2番」


「配下共テキーラ限界手前まで」


「はぁ!?のみきってやるわぁ」

「かかってこぉい」


「王様私じゃああああああ!!!」

「配下共ぉ!!ベッドは私のもんじゃああああああああああああ。糞共は地べたでねろおおおおお」


「おうさまわたし!」

「みんなしたぎで」


「王様おれじゃあああああ」



「お兄お兄」

「んぁ」


ぺしぺしと頬が叩かれる感覚で眼が覚める

頭が…痛い。二日酔いだ…ってか記憶が無い

1次会までの記憶は……ある気がする。2次会で…王様ゲーム…を確かやった…っけ?ガチで記憶飛んでる


目の前に恐らく俺と同じように二日酔いで死んだ顔してるななみがいた

ホント目の前に


「…記憶ないんだけど、お兄は?」


何故か同じ布団で、俺の腕を枕にしているななみ

とりあえず水を飲みたい…無理死ぬ


「2次会で王様ゲームしてた記憶はある気がする」


起き上がりたいが力が入らない

首だけ動かすと床で死んでる悠木がいる。ベッドには下着姿の琴美がいる

……何が起きた!!?


「…とりあえずお兄、覚えてたらあれなんだけど…一線超えてないよね?」


…?何を言っているこいつは、俺が妹に手を出すわけ無いだろうに

彼女は欲しいが妹に恋愛感情とか湧くわけないだろ


「あほか」


頭を軽く叩く

同じ布団で寝てるだけで一線超える訳ないだろうに

水不足過ぎて頭が痛い

気合で起き上がって水を冷蔵庫から取り出さないとな


「…」


気合で布団をどかし立ち上がろうとすると、自分がパンツしか履いてないのに気付く

軽くななみを見ると下着姿。いつも通りの姿だが何故かブラは着けてない

目が合う


そこら辺に落ちてたジャージを着て、ななみに落ちてるジャージを渡して冷蔵庫から水を取り出して飲む

ある程度枯渇した水分が補充されるのを確認して、ななみに渡す

ななみは残りを全て飲み切り、ジャージを着る


「ちょっと確認してくる」


ななみが洗面所に行き鍵を閉める


「琴美ぃ!!昨日何があったか教えろ起きろボケ!!!!」


全力で琴美を起こしにかかる

琴美はどんだけ飲んでも記憶が残るタイプなので覚えているはずだ

ゆっくりと煩わしそうに眼が微妙に開く


「んぁたまいたい。水」

「んなことより、昨日何があったか教えろ」


だが、反応が無い。寝なおしたらしい

……さらば教師生活。とりあえず警察に自首かな

酒を飲んでも飲まれるなとは良く言ったものだな…とりあえずななみに全力土下座してから110かな

いや、ここに縄跳びがあるな、首を吊った方がいいか


「お兄セーフ。まだ私処女」


扉が開いたななみがグーサインで俺の無実を証明してくれた

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