48時間目。0次会

琴美悠木コンビがウチに襲来した

北上悠木は高校からの友人で親友ともいえる仲だ。酒好きである。年齢は同じ25歳。顔はかなりかっこいい方で3年付き合っている彼女とそろそろ結婚まで考えている。

羨ましい死ね

北上琴美は悠木繋がりで仲良くなった友人だ。年齢は同じ25歳。顔は普通に可愛い方だが性格が破たんしている。酒好きであり、絶賛彼氏募集中である。そして俺のものまねシリーズをフルボッコにしたやつでもある

合コンに行ったら最初はその顔面とプロポーションで視線を奪うが、始まって15分も立てばこいつのやばさに気付き離れていく。生涯黙ってれば男なんていくつも捕まるのに性格が酷い

二人は一卵性双生児の美形双子である


「俺鍵かけてたよな?」


とりあえず、勝手に靴を脱いでテーブルを囲い、コンビニで買ってきたお酒を出している二人に聞いてみる


『合鍵作っておいた』


見せびらかしてくる2つの鍵

きっと俺の家の鍵だろう、二人とも良い笑顔で見せつけてくる

俺のプライバシー?


「ぶっ殺してやる!!!」

「おっ?酒でかかってこいやぁ!!」

「飲み足りなくない?」


鍵を回収しようとするが、悠木に取り押さえられ琴美に酒の缶を頬に押し付けられる

絶対回収してやる


「…はぁ、まぁいいよ酒は冷蔵庫入れとけ」


ななみはどうせ下着しかもっていかないから、着替えのジャージをてきとうに見繕う


「ななみに着替え渡してくる。悠木見たら殺す。そしてお前の彼女にもチクる」


「大丈夫!!俺は一筋だからな!」

「あー、今日ななみんいるんだ」


冷蔵庫にお酒を入れ始める二人を見てから、洗面所に入る


「…どしたの?」


シャワーを浴び終わったななみがいた。全裸だが

下着をはいている最中だった


「悠木と琴美来てるから着とけ」

「ん」


ジャージを渡す

家族だから見られても恥ずかしくないし、見ても照れることは無い

きちんと着替え終わった状態になる


「あとさ」

「ん?」


「人の全裸見るんじゃない」

「ぐぇ!」


鳩尾をぶん殴られて吹き飛ばされる

痛い!めっちゃ痛い!!完全に油断した!!

っていうかお前の下着姿も見慣れてるし、全裸なんておしめとか風呂の世話してた俺にとって別に気にするもんじゃないだろうに


「よし、ななみん来たし飲むかー」

「飲むぞ飲むぞー!」


俺が殴り飛ばされても関係なさそうに飲んでいる

こいつら殺す


「どーすんの?」

「飲むか」


酒で殺す

そう、この場ではお酒が武器である


「よっしゃー!!ななみんも飲もう飲もう!!」


おい琴美こいつ未成年だ


「飲ますと外行かせないぞ」


流石に酔った状態で外に出すわけにはいかない。俺は教師である。未成年に飲酒させていたら捕まる


「ぬ…」

「それはまずいな…酒の量が0次会用だ」


さっき冷蔵庫に入れていたのは購入してきたのは9%缶500ml*8

そして悠木の手にはテキーラ700ml

待て待て0次会でテキーラ…


「じゃーことみん、悠木さん私は2次会から参戦するー」


そういって、コーラ缶を取り出してプルタブを開ける。俺は9%を開ける


「はい、お疲れ乾杯。隣人がいるからコールは無し!!」

『かんぱーい!』


乾杯という字は杯を乾かすと書く。だから飲み切らないといけない

500は辛い。ななみもそれを理解しているので、コーラとはいえ500を一気飲み

喉を炭酸が通り抜ける。それ以上に安アルコールが身体に染みわたる

だが、これに負けるわけにはいかない


「コーラきっつ!」


純粋なノンアルコールのななみが一抜け


「おらぁ!!」


一気飲みの速さなら負けん!!

テーブルに空き缶を叩きつけるとテキーラの準備としてショットグラスを用意

流石双子。良い勝負である。互いに睨み合いながら飲んでいる


「俺の勝ちだボケェ!!!」

「私の勝ちだアホが!!」


ほぼ同時に琴美と悠木が空き缶をテーブルに叩きつける


『せーの』


俺とななみは同時に悠木に指を指す


「クソがぁああああ!負けた畜生!!」

「は!ざっこ!」


テキーラをショットグラスに7割程注いで悠木に渡そうとすると、琴美がそれをひったくる


「わた!そんなアホみたいな少量飲ませたら意味ない!」


そして表面張力ギリギリまで注いで悠木に渡す琴美

こいつ自分が負けたとき7割どころか5割でも多いと文句言う人間が他の奴にはそれが適用されない

だからお前合コンで引かれるんだよ


渡されたテキーラを一気に煽る悠木

袋を漁るとカットレモンも買っていた。流石である

それを渡すと口直しにレモンを噛む、それを横目にななみはコントローラーを4つ繋いで琴美と悠木に渡す。そして一つを俺に、最後は自分に


現在時刻は16:30

17:00から一次会開始だとすると、残された時間は30分

30分で3人でテキーラ700空けるの?無理くね?まぁどうでもいい!!


これから始まるのは大乱闘

ここから先は負けたらテキーラの地獄である

ただし、連続でやると死者が出るので3人バトルで負け抜けである

1回勝ち抜けでやったら、悠木が噴水したので二度とやらないことを琴美に誓わせた


「ルールはいつものでいいか」


俺はいつも通りの操作で色々設定していく

何千回もやっていることなので恐らく見なくてもできる


『ハメ技したらテキーラ瓶ね』


…これもいつも通り

ハメ技前提であれば3対1でも勝てる。さらに最初に落ちた奴が飲みなので俺には敗北が100%無い


「わかってるよ!!」


さぁゲームスタートだ

恐らく10戦が限界だろうけど、テキーラは無くならないと思うから、2次会で追いテキするからなるべく損傷は避けたい


「愛情一気にしよう!!」


琴美の提案と同時にチームバトルに勝手に変更される

最終的に勝とうが負けようが誰か一人死んだ時点でテキーラ確定、更にななみと組んで負けた場合は2杯テキーラが確定という糞ルールふざけんな!!負ける確率高くなるだろうが!!!2対2でバトってどっちか先に1対死んだ方が負けとかふざけたルールだボケ



「おいこら!」

「はい、ゲームスタート。まず私とお兄ね」


あっ、勝ったからいいや

流石に双子だけあってコンビネーションは半端ないが、俺とななみのコンビネーションの方が上であるし、しかも実力的にもこのメンバーだと

俺>ななみ>琴美=悠木

となる

どう足掻いても勝ちが決まる

テキーラ2杯をついで琴美と悠木の方に置いて戦闘開始する


これはハメ技ではない

俺が琴美を遠くに吹っ飛ばして、その隙にななみが戦っていた悠木を二人がかりでボコボコを繰り返すだけの作業ゲー


「はい畜生!!死ね!!次私がわたと組む!!」

「ふざけんな!俺がわたると組むから!!」


はっはっは!モテモテである

と調子に乗っていたが10戦中、俺が0次会で飲んだテキーラは7杯である


そう、俺が死ななくても味方が死ねば、同じである

更にわた飲んでないから飲めという理不尽な琴美の自殺により、試合に勝って勝負に負けた飲みが何回も襲ってきた

だからお前彼氏できねえんだよ!!!

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