46時間目。能力者交流


本日も授業が終わった

後は明日の授業の準備して、日報書いてタバコ吸って帰る

といういつもの流れではない

今日はななみが学校に来るので、回収して古里さんと面談する必要がある

失礼のないようにということを耳にタコができるくらいに、何度も言ったから恐らく大丈夫だろう。お袋も親父も都合が悪く保護者として俺も参加する必要がある

下校中の生徒に紛れて、俺のジャージを着て深く帽子をかぶって学校に入ってくる奴がくる


「…」


何で制服じゃないの?????????何でジャージなの?????????馬鹿なの?????????


「あっお兄来たよ」


やっほ。という感じで手を挙げるいつも通りのななみの肩を掴んで人気のない方へと誘導

古里さんとこ向かうにも丁度いいので駐車場へと向かう


「何でジャージ?え?これ面談だぞ?普通制服とかせめてちゃんとした服着てこいよ」


「え?いや、理事長さんからのメールに普段通りの格好で良いって書いてあったから」


いやいや、そんな馬鹿な!

…いや、古里さんのことだからありえるな

とりあえず帽子はあれだから強奪


「あっ、寝ぐせ直しが」


こいつ!!!何で帽子(俺の)なんて珍しいもん付けてると思ったら寝ぐせを誤魔化すためかよ!!!

何考えてんの!!?面談だぞ我が妹よ!?


「え…何で寝ぐせ直してないの?」


「理事長さんからのメールに普段通りの格好で良いって」


その普段通りって、無駄に頑張って気合入れないで素で大丈夫だよ的なことだと思うぞ?普段通り(自宅)じゃないと思うからな?


「髪セットすんのは流石に持ってねえし…しゃあない、はい回ってー」

「はーい」


手拍子を2回

くるっとゆっくりその場で回転

何故か洗車用に用意されている駐車場の水道を捻り水で手を濡らす


「後ろ」

「りょ」


ぴょんぴょん飛び跳ねていた髪を濡らしながら手櫛で修正


「よし!行くぞ!!ほぼほぼ大丈夫だが!!マジで失礼なことすんなよ!!?」


「大丈夫大丈夫」


クッソ!ここまで信用できない大丈夫も初めてだ…

俺クビにならないよな


そして、理事長である古里さんと面談して開幕俺はななみを女子トイレに文字通り持っていった

「気持ち悪いぃぃお兄背中撫でて水頂戴これ吐く」

俺も気持ち悪さやばいんだけど

とりあえず、水を渡して背中を撫でる


おのれ古里さん!!何能力使ってんだ畜生めが!!!!!!!!!!!!!!!!!

宜しくお願いしますと言ったら能力使うって馬鹿なの!!!!?馬鹿でしょ!!!!!!!????


「ん?」


ななみの背中を撫でながら、ふと疑問に思った

古里さんの能力を食らって頭に霞がかかるような気持ち悪くなる現象は、確か能力者だけの前兆だったはず?

んん?…とりあえずななみの看病優先だ


「あー、良くなってきた…いきなり気持ち悪くなってびっくりした」


数分そうしていると何とか生き返ったななみ

よし、面談再開だ



「いやぁ!!兄妹揃って能力者ってマジウケるな!!!!あ?合格合格どうせ合格以外の選択肢無いし」


めっちゃ笑顔の古里さんがいた

あぁ、やっぱりか。古里さんの能力の前兆食らって気持ち悪くなるのは能力者限定だ

ななみが凄い変な目で俺のことを見る。俺も負けじとななみを見る


「ななみって…能力あんの?」

「お兄も能力あんの?」


「兄妹にすら隠すって!!!お前らめっちゃ似た者同士だな!!!ウハハハハハ!!!!!!!」

それを見てさらに大爆笑して机をバンバン叩く古里さん


「あー、兄妹で能力者とか面白い!!なんだ?お前の両親も能力者だったりすんの?」


それは知らない

いや、何かあり得そうで怖いが


「あー、妹さん悪いな。俺は古里優斗だ。能力は記憶操作。記憶を弄って廃人にできたり、親友だと思わせて人を操ったり、命の恩人と思わせて金をせしめたりできる」


この人怖!!!!!!!

やっぱりそうやって理事長になったんだな!!!?だから金持ってんだな!!!!?

俺の視線に気づいたのか、めっちゃ睨まれた。すいません。土下座するんで許してください


「俺の能力は空間転移で2m以内なら移動できる。俺に触れてれば全て転移できる感じ」


「おぉ、えっと能力はギアスでなんとなーく力を込めて喋ると発動、相手はなんとなーくそんな風にしたほうがいいかもしれない?と心の隙間に意識させることができるっぽい」


何か便利そう


「ちょっと俺に使ってみろよ」

「お兄には効かないよ多分。プリン頂戴って何回かやったけど駄目だったし」


おい!!!人に能力を使うんじゃねえ!!くだらないことに能力使ってんじゃねえよ!!

……着替えに空間転移することもあるから何も言えない気がしてきた


「あっじゃあ俺に俺に」


古里さんがすげえ楽しそう

さっきの吐き気がトラウマなのか、少し警戒しつつななみが言葉を放つ


「…《5万頂戴》」


「いいぞ」


古里さんが財布から現金5枚を引き抜いて、テーブルに置く

置いてから首を傾げる


「おぉ、なるほどな。面白い。5万くらいならいいやって思ったわ」


5万って高額ですけどね。。。


「前兆とかあったんですか?」


「特になかったな。ちょっと理不尽なギアスかけてみろよ」


「《屋上からノーロープバンジー》」


理不尽過ぎだろななみよ


「痛っ!!!嫌無理だからな。理不尽過ぎだろ。でもわかった。軽い命令なら前兆無し。重いのなら頭痛ってとこか」


「へー、お兄のは?」


手を出して握ってくる

万が一の事故が怖いので、ななみを50㎝程度上に転移させてみる

一瞬姿がぶれるとボスンと椅子に落ちる


「おぉ~!!面白い」

「おっそうだよ俺も転移させてみてくれよ」


おぉ、そういえば古里さんに空間転移は初めてだ

古里さんの肩を掴んで転移する


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!」


転移させようとして初めて抵抗感が発生する。初めての感覚だ

3秒ほど頑張ると古里さんが転移する


「クッソ痛いんだけど!!!!?肩脱臼するかと思ったわ!!…兄弟だと何かあんのか…ふむ、面白い…とりあえず、合格で月曜日から通ってくれ。能力のことはこのメンバー以外には秘密で」


ななみが合格した

月曜日からななみがウチの学校に通うことになりました。


「…お兄家帰ったら色々やろ」


おっいいね!能力使いまくるの楽しそう


「そういえば、妹さんは何で能力隠してたんだ?」


「えっと、小さいころに見た超能力者がテレビに出て有名になって、国の機関から追いかけられて捕まって解剖されるって映画がトラウマで…」

「…まじか」


…流石兄妹

俺と同じ理由かい!!

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