45時間目。教師という子供


人は平等ではない。昔の人はそう言った


「立花弘ぃ!!!!!お前遅刻指導確定ライン到達したぞボケェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


朝出席の時にいないと、出席の時にいる生徒とは違い【遅刻】という判定が入る

そう、平等ではない

いや、必ず遅刻というペナルティをつけるとすればこれも平等か?


「すいません!!勘弁してください!!!!」


土下座である

本日も出席が終わってからランニング入室をしてきた立花弘

俺の言葉を聞いた瞬間土下座をした


「いや、無理だから。俺5回くらい前から言ったよな?カウントダウンしてあげたよな?今週の月曜日からずっと言ってたよな?どんどんカウントダウンしたよな?俺昨日言ったよな?明日遅刻したら遅刻指導だって言ったよな?」


きちんとカウントダウンをしてあげた

遅刻指導になると俺も睨まれるから本当は嫌なのだが、やらかしてしまったものはしょうがない


「えっと…お…俺の母親体調崩し気味で…」


ん?家庭看病ならきちんと言ってくれれば遅刻の回数に数えないのぞ

全く、それならそうとこっそり言ってくれよ


「それ弘っちの定番言い訳じゃん!お母さん普通にママさんバレーで活躍してるじゃん!!!」



「本田ほたる!お前が良い子だって俺は知ってたぞ」

「え!?いきなり何きも」

「脛骨5回ぶち折るぞ」

「怖いから!!どこそこ!!!!?」


いつものやり取りは一回終わらせて


「さて立花弘よ」


「ごめんなさい嘘です」


「はぁ…家族の不幸を嘘つくのは止めとけ。誰も得しないからな。はい、他の奴もって思ったけどウチのクラスは一人除いて出席日数は良いから、いつも通りやれよー。立花弘は遅刻指導確定だけどこのまま遅刻数を更新すると今反省文作文用紙1枚だけど、遅刻した数分だけカウントアップするからな!!はい!授業始めるぞー」



お昼休み

お弁当を前に深い溜息を吐く


「お前どうしたのよ?」

「原田先生はクラスの立花君が遅刻指導確定でへこたれてます」


何か最近の昼飯面子が雄太郎とミヨキチが固定で、うちのクラスの子がたまに乱入してくる感じだ

そう、古里さんに言われてしまったのだ。遅刻指導対象出すんじゃねえよという目で睨まれました。明日になって誰もが俺のこと覚えてなかったら古里さんのせいだ


「そういえば、わたるの弁当が日に日に冷凍食品が無くなってきてる気がするな」


「あぁ、事情があってな」


比率がおかしくなった

きっかけはななみの冷凍食品多くない?手抜き駄目だよ?という言葉である。ちなみにななみが作る夕飯はしっかりとちゃんとしたものが作られている。正直、面倒だからってカップ麺が来る日とかも想像していたが、普通にちゃんとしていた。

妹にそういわれてしまうと流石にまずいので徐々に徐々に前日の余りを弁当にしたり、朝どれだけ効率よく作るかを考えて、現在1品冷凍食品があるかないかである


「たまご焼き貰いますね。代わりに何か上げます」

「じゃあ俺ハムとキュウリのやつ」


何か勝手に持ってかれる

ミヨキチからはラーメンのチャーシュー2枚、雄太郎からは全力でラーメン一口すすることにしよう


「あぁ!!チャーシュー!!!最後に食べようと取ってたんですよ!!!?しかも2枚!!!?」

「ふっざけんな!!お前半分くらい麺持ってただろ!!!」


「うるせぇ!勝手に俺の飯もってくからだボケぇ!!!」


「ちょ!もう一個玉子焼き貰いますからね!!!」

「おかずもう一品じゃ足りねえ!二品くらい寄越せ!!!」

「止めろぉ!!俺の飯を奪うなぁ!!!」


「わたるせんせ達…なに高校生もやらないようなバカ騒ぎしてんのー?」


『…』


いつの間にか隣に座っている麻倉舞に言われてしまった

正気に戻る。俺も雄太郎もミヨキチも戻ってこれた

周囲を見ると食堂にいる生徒たちがこっちを見ていた


「…」

「…」


ミヨキチも雄太郎も固まっている中、俺は俺で残った弁当を急いで食べ終わる


「…はい!ご馳走様!!タバコ行ってくる!!」


最終手段、戦略的撤退


「あっきたねえ!!!」

「今日の飲み会の話どうするんですか!!?」

「19時佐助で!!」


逃げる

タバコに逃げる

いや、待て待て、逃げるのではない。飯を食い終わったからたばこ休憩するだけだから!

後ろから何か言われてるが気にしない。

所定の位置についてタバコを吸う。


「あっ、やっぱりここにいましたぁ」


何で君たちは俺がタバコを吸ったタイミングで来るの?

俺の25円をどれだけ無駄にしたいの?何で高校生が喫煙所に来るんじゃねえよ


「はぁ…何しに来た」


タバコを捨てるのはもったいないので火種だけデコピンで落として、シケモクにする

さぁ話せ大崎麻美


「部活なんですけどぉ、こういうことやりたいなぁって本当は放課後でも良かったんですけど」


紙を一枚渡してくる

ぱっと見ると色々と書いてあるので、ちゃんと見るか


「勧誘がうざくてぇ。でもタバコ邪魔するの良くないんで戻りますねぇ」


「…」


大崎麻美はひらひら~と手を振りながらどこかにふら~と歩き去る。やけに素直でビビるわ

消したタバコをつけなおして一服


「ふむ」


めっちゃくちゃ乱雑に色々と書いてあるが、ざっくりまとめると

1.週に一度くらいの頻度で何か面白い歴史的な話を教える

2.月に一度くらいの頻度で歴史的な何かを見に行く

3.文化祭は特に活動したくない


うん、1と2は問題ない。歴史探求部として何かちゃんとしっかり考えられてて良いじゃないか

っというか主語足りないんだけど、1は俺→大崎麻美なのか?大崎麻美→俺なのか?ん~まぁ週1で交互に発表で良いか。その方が俺も楽だし

だが3はダメに決まっている。回避用とは言え部費も貰っている部活だ。文化祭で活動しろよ

面倒だったら、1と2を紙にでもまとめておいて、それ張るだけでも良いしな。クラスの文化祭の方が楽しいし

それは伝えておくかー


「何か生徒がちゃんとするって嬉しいことだなー」


タバコをもう一本

急いで食べたので時間に余裕はあるからな

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