41時間目。教科書回収


「んー…」


意識が徐々に戻ってくる

眠気が冷めてきて起床する

今何時だろ

とりあえず、いったんグッと背筋を伸ばして意識を覚醒させる

時計を見ると12時30分くらい。いつも通りの起床時間。完璧


「お昼か。ご飯食べよ」


お兄が弁当を作ってくれてるはず

気分的に白米よりチャーハン食べたいんだよねっと思いながら弁当をオープン

はいきたチャーハン!流石お兄!


「いただきます」


両手を合わせて食材に対して感謝

何だお兄は私の心読み過ぎでは?流石に17年も兄妹やってるとイシンデンシンも当たり前にできるんだね

あっ、玉子焼き!しかも絶対これ甘いやつ、賭けても良い!


「甘い」


だしか甘いかと言われるとどちらかといえば、ママの作る玉子焼きはだし、お兄が作るほうは甘い方が好き

朝(昼)からテンション上がる


「ご馳走様でした」


作ってくれたお兄に感謝

夜ごはんはどうしよっかな。カレーにしよ。月曜日だしお兄もカレー好きだし

その前に、バッグを漁って


「あっ」


制服忘れた

んー、まぁいっか私服で

お兄のジャージで良いかな。大分ずぼずぼだけど、紐締めればいけるし

めんどうだし


「さて、行こうかな」


ちょっと外は暑いから袖はまくる

ズボンも裾上げても無理だから、スカート理論で巻く


定期はまだ失効してないから無料

無料って素晴らしいよね

ぶらぶらーっと面倒だけど学校に向かう。お兄の家に家出してしばらく泊めてもらうことが決定してるし、流石に大学は出ておきたいし

今の高校に行く気はまっっっったくないけど、必要なものは回収しておきたい


そんなこんなで学校に到着


「けど、このお嬢様学校にジャージで来るってやばいよね」


ひらひらしたワンピース型のセーラー服

それがウチの学校の制服だ。この制服可愛いからお気に入り

(なにより着るのが楽)


学校を選ぶ理由の第一は制服

パパとママが女子高を選べというから、制服で選んだ。お兄は共学かつ公立が絶対条件らしかったけど、私は私立でも公立でも何でもいいから女子高が絶対条件だった

学力は高い方だから選び放題、そしたら制服だよね。


「さて、ぶっ殺そ」


校門で柔軟、全身の筋を伸ばしていつでも戦えるように身体を作る(ネットで調べた)

これなら逆切れされて襲い掛かられても殺しきれると思う

グッと拳を作って私の教室に向かう。多分今授業中だから丁度いい


「はーい、おはようございまーす」


ドアを勢いよく開ける

ドカンって大きな音を出して入室。先生も馬鹿どももビックリしてるらしい

特に馬鹿どものビビり具合半端ない。ウケる


「原田さん!貴方いきなりどうしたの!?」


先生が何か言ってるけど無視

私の机は無傷。ビックリ。正直教科書ノートとか全部捨てられてるかと思った

なるほど、多分関わらない方向にシフトしたかな

好都合。教科書とノートをカバンに回収する

徐々に教室が騒がしくなったので、一回全力で足で地面を踏む

バン!!!っと大きい音が鳴る


「っ!」


それだけで周りがビビって静かになる。カバンに詰め終わったしどうせなら嫌がらせしよ

こっちの人生を少し壊したんだからそれくらいの代償は必要だよ。さぁここからの人生ハッピーで過ごせるといいね

馬鹿ども筆頭の机に向かう。周りはまだ動けてない

良かったね。お兄とかパパだったら本当に人生やばかったよ。その時は私の身内から犯罪者が出るから本気で止めるけど。いや、過保護過ぎでしょ

まぁ、そんな愛すべき馬鹿達の暴走を止めるために必要なこと

手を挙げて勢いよく平手で机を叩く

それだけで縮み上がる馬鹿ども筆頭。霞と水月食らったの思い出した?痛かったよね


「蚊がいた。危なかったね」


そう、蚊がいたから叩いただけ。暴力じゃないから罪にも問われないし、退学も食らわないし、停学もありえない

だって蚊がいただけだから


「外で蚊がいたら大変だから、その時は叩いてあげるね」


ニッコリ愛想笑いしたら相手の顔が真っ青になった

副音声で言えば、外で見かけたら全力でぶっ潰すよ?の意味

ついでにもう一つあげようかな。私のとっておき


「《この町の空気があってないかもね》」


命名…ギアス

なんとなーく力を込めて喋ると発動、相手はなんとなーくそんな風にしたほうがいいかもしれない?と心の隙間に意識させることができるっぽい

相手が精神的に追い詰められてたらほぼほぼ言うことを効かせられるから、詐欺師に向いてるかもしれない

気付いたら使えるようになった技?ゲーム的には特殊能力?お兄にも言ってない。小さいころに見た超能力者がテレビに出て有名になって、国の機関から追いかけられて捕まって解剖されるって映画でトラウマがやばい。絶対に人に言わないようにこっそり使用していたりする

お兄には通じないんだよね。まぁお兄は大体私の言うこと叶えてくれるから効いてるかわかんないんだけど。


「じゃあ帰ります」


さぁすたこらさっさとお家に帰ろう

視界に黒いのが横切る。蚊だ。ドアに止まる


「あっ蚊だ」


蚊を叩く

割と全力の拳で…ドアが外れるのは正直びっくりしたけど、これで賠償金とか言われたら怖いので先生に拳を見える


「《蚊を潰しただけです》」


拳の先には血を吸ってない蚊が潰れている

ギアスも使ったし何とかなんとかなるよね?多分


「さぁ、カレー作ろ」


ルーは買ったから、煮込むだけ

隠し味もお兄が好きな味になるように色々買ったし、勉強しながら作ろ


「あっ帰ってきた」


グツグツとカレーが良い感じ

味見してるとお兄が帰ってきた。ニンちゃんの音でわかりやすい


「おかえりお兄」


「おう、ただいま」


「今日はカレー、後で勉強教えて」


「おっいいね。美味そうな匂いだ。勉強は教科書無いと無理だ」


流石お兄、無理なことは無理という男

しかし、そんなお兄の行動は読めてるから、指を指す


「…教科書だな」


「回収してきた」


これで説明は終わり。お兄は大体理解してくれる


「お前…なんもしてないよな?」


あっやっぱり?お兄は私のことキリングマシーンと勘違いしてるんじゃないかな

精々転校する人が一人出るくらいだよ


「問題なし」


「なら良い、ご飯は3杯くらいおかわりするけど量はあるか?」


それは知ってる

ご飯は3合炊いてあるし、私は1杯しか頼まないから大丈夫だよ

まったく…妹のことを舐め過ぎだよ。お兄


「あー、このカレーの味美味いなぁ。カレーはななみが作るのが一番美味しい」


これ毎回言ってくれるけど、うん。まぁ嬉しいね



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