38時間目。お昼ごはん


何故かついてきたので、4人で和食レストランに入店

まぁ、ななみと麻倉舞と北野裕子は同い年だから会話も弾む………かなぁ?

メニューを麻倉舞と北野裕子に渡しておく


「ウチの生徒の麻倉舞と北野裕子」


改めて自己紹介


「えっと、よろしくー?」

「よろしくお願いします」


「よろしく。何頼むか選んでおいて。お兄」


席を立つ

これは水を持ってくるということである


「持てんの?」

「楽勝」


ななみはサムズアップすると、セルフサービスの水を取りに行った


「んで、妹の原田ななみ。年は同い年だから」


「あー、家庭の事情ってそういうことかー」


どこか納得した風な麻倉舞

北野裕子もあーなるほどとポンと手を叩く


「水」


水を三つ持ってくる。流石ななみだ。一番いて楽


「あれ?わたるせんせのはー?」


「メニュー決まった?」


麻倉舞の疑問を流して言いながらも店員呼び出しを押す

え?ちょ?という動きで麻倉舞が慌ててメニューを決める。北野裕子は決まっていたみたいだ


「生ビールと生姜焼き定食1つとお刺身定食1つお願いします」


俺の分も注文するななみ

基本ななみといる時はめんどくさいので注文は任せている。食べたいものが注文されるのでもーまんたい


「えっと、未成年の方にはアルコールを提供することができません」


あぁ注文してるのがななみだからか、財布財布


「すいません。お酒は連れが飲みます。連れは二十歳を超えているのですが、年齢確認必要ですか?」


普段は愛想を浮かべることをあまりしないが、対店員さん等には恐ろしいほどの愛想を振りまく。滅茶苦茶作ったような笑顔で俺を見る


「どうぞ」


財布から免許証を取り出した俺から奪い店員さんにお見せする


「いえいえ大丈夫です。一応確認するように言われているだけなので」


アルバイトの接客レベル高いなこのお店

お話している間に麻倉舞と北野裕子もメニューは決まったらしいので注文はスムーズに終わった


「えっと、メニューって事前に決めてたんですか?」


決めてません

刺身食べたいと思ってたら勝手に注文された


「お兄、昨日飲んできてたからお昼はあっさりしたいからお刺身。んで酒好きだからとりあえず生ビール飲みたいでしょ」


麻倉舞と北野裕子がこちらを見る。俺からできる行動はただ一つ頷くだけ

流石でございます

今俺の喉はビールを求めていた。水など不要だ

こってりはきついから刺身最高

料理を待っている間は麻倉舞の話術が爆発し、当たり障りのないような話で弾み??うーん、弾んでは無いがまぁ…


「生ビール一つお願いします」


俺のビールが1/3くらいになった瞬間にななみが頼んでいた

俺のビールが来ると同時に、料理が運ばれる

丁度いいタイミングだ。麻倉舞からは昼から飲み過ぎーと茶化されたがこれが日常だ

目の前に提供される刺身定食


「ほい」


3種盛りで一切れずつななみに提供


「ん」


刺身の対価である生姜焼きが1枚ご飯の上に提供される


「おい」


足りない

こっちは3枚だ。なのに1枚って釣り合わない。3枚寄越せ

眼でそれを伝える


「お兄…」


どんだけ食いたいの?

7枚中2枚提供してくれればいいのよ?俺は3/9渡したよ?

でも絶対にこれは譲ってくれない…でも2枚は食べたい


「…デザート」


「はい、お兄あーん」


魔法の言葉を放つと素早い動きで生姜焼きの1枚が口にねじ込まれる

ななみよ欲望に忠実過ぎだろ

っていうか俺ご飯と一緒に生姜焼き食いたかったんだけど


「はい追加。ここであんみつ、後でクレープ」


ご飯が追加でねじ込まれる

いや、自分で米食おうと思ったよ。何でねじ込むのよ

強制的にこの後クレープ奢ることになったじゃん…貯蓄はあるからまぁなんとかなるか


「…御兄妹仲が良いんですね」


『普通じゃない?』


北野裕子からの返答にハモった

周りの兄妹と比較したことが無いからわからないが、大体こんなもんじゃないのか?

あー、歳の差離れてるからか、近いと思春期反抗期重なるもんな


「私一人っ子なので兄妹って憧れるんですよね」

「あー、まいもそうかもー」


二人とも一人っ子か


「…うーん、料理作ってくれるから楽…?あとはゲーム対戦できる」

「…一緒にいて気軽とかか?」

「あーそれあるかも。自然体で良いから楽」

「下着姿で活動するのは自然体ではないからな」

「めんどう」


一人っ子に向けて兄妹からの意見である

そうか、ななみよ。俺の価値は料理とゲームか…


「え?下着?」


「こいつ家だと下着」

「家で服着るのめんどう」

「冬だとくっついてくる」

「あったかいし」

「高校生なんだからきちんとしなさい」


冬になると下着姿だと寒いのかこたつでカタツムリになるか、俺が寝てる中布団から追い出され、俺の温もりが残っている布団で寝る

それかカタツムリの時に布団あっためておいてと言われ、ななみの布団で寝転がり温めておき、ある程度温まったらカタツムリがナメクジになり俺が追い出される。俺は豊臣秀吉かな…

もう服着ろよ。着てくれよ


「えっと…やっぱりふつーに仲良いと思うよ?ほたるちゃん弟居るけどそんな仲良しっぽくないし!」


まぁ思春期と反抗期は扱い難しいからな


「お昼ご飯後はどうするんですか?」


布団買うために来てるから、布団買うだけだけどさっきクレープ食いたい言ってたから遊ぶ方がいいのか?

ななみにどうするか確認のために目を向ける


「クレープ食べて、食品買い出しして、布団買って、家帰って、昼寝」


だそうである


「夜はピザ」


そして、夕飯はピザを出前で取るらしい

恐らく、麻倉舞は北野裕子が質問を出した瞬間にこの後一緒に遊びにいこーとでも言うつもりだったのだろう

ごめんな。ななみってマイペースマイウェイを貫く出不精なんだ…


「えっとー良かったら一緒にショッピングとかー!?」


「え?クレープ食べて食品買い出しして、布団買って、家帰って昼寝するからショッピングする必要ないよ?買うもんないし」


ウチの妹は出不精ではあるが、節制ができる子である

無駄なモノを買うことが無い。服も最小限。欲しいゲームがあると俺にLINEが飛んでくる

恐らく今日の麻倉舞や北野裕子のようにとりあえず買うものはないけど、何か買おうかなというレベルのショッピングはやったことが無いはずだ


「えっとーほら、夏に向けて服見たりとかー…」


「去年、一昨年着たのまだ着れるし、別に」


ごめんなぁ…女の子は毎年毎季節服買ったりするんだよな

こいつそんなことしないの

勿体ない精神で生地が破れたり、成長して着れなくなったものは流石に捨てるが、それ以外は着るんだよ…服なんて1年に一回買うかどうかなんだよね

しかも親父がいる時のみ(お金を全部出してくれる(俺には出してくれたことは無い))


「そ…そっかー!ならしょうがないねー!!」


麻倉舞が敗北した


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