35時間目。カラオケPart2


おふくろからの電話にびっくり。まさかの妹であるななみが失踪とは

ちょっとだけ、酔いがさめてしまった


「なんか言ってた?」


「家出するってボストンバッグもって出てった!!わたるも早く探しなさい!!カラオケいるの!!?あんた下手なのに珍しい」


うるせえよ!

家出するって言ってたのね。じゃあ問題ないか


「あーはいはい、探しとくわー」


これ以上はうるさくなりそうなので、通話を切る

とりあえず、罰ゲームをくらいに部屋に戻ることにした


「すまん、待たせた。罰ゲームなんだ?」


「えっと、電話は大丈夫だったんですか?何か大きな声出してましたけど?」


あぁ、こっちまで聞こえてたのか

何か心配そうな目で見てくる北野裕子だが、特に大事ではなかった


「あー、問題ない。問題ない」


手をへらへらと振ってお気楽に答えながら、LINEを起動

宛先はななみだ。


[帰るの20時くらいだから飯はてきとーに食ってなさい]


メッセージを送信

一瞬で既読がつく


[りょ]


二文字で応答が来る

「り」よりはマシだが、最近どれだけ省略が起きてるねん。普通に考えて「り」で通じるか!!!


俺が一人暮らしするようになってから、家出といって出た場合は俺の家にいる

いつも大体64のマリオで120個スター集めるまで寝泊まりし、集まると帰るみたいな家出である

あいつ高校2年だけど大丈夫か?まぁいいや、ってかそろそろ布団買おうかなぁ


罰ゲーム:異性に愛してると囁く


あー、こういう系ね。大学の頃に愛してるゲームとかやってたから、別に耐性あるし問題ないわ

生徒にやったらあれだし、ミヨキチでいいや


「ミヨキチー愛してるぞー」

「はーい」


終わり。ミヨキチも慣れてるらしいので楽


「はーい!!囁いてない!!から別の人でやり直しー!!!」


あー、そっか囁くか。失敗した。テキーラ入ってっから思考が微妙に遅い

別の人…隣に座ってるのは北野裕子

隣のが楽だよな…でも、北野裕子に言っちゃ駄目だろ。女神だぞ

俺が見ると俯いてるからやっちゃダメなやつ。セクハラになる

大崎麻美は…立花弘が物凄い眼で見てるから止めといたほうが無難だろう

そうなると、麻倉舞か本田ほたるか

近いのは3つ離れてる麻倉舞でいいか


「麻倉舞…愛してるぞー」


囁くと小声って同じで良いよね


「えー!!?聞こえなーい!!!別の人でもういっかーい!!!小声じゃなくて囁くだよー!!隣の方がいいんじゃないのー!!!?」


「いや、囁けって言っただろ。ってか反応してんだから聞こえてんだろ」


確信犯だ。こいつ俺をセクハラで捕まえる気だな

本田ほたるお前録画してんだろ

え?俺今日捕まるの?


「北野裕子ー愛してるぞー」


囁く


「…ぅぅ」


ごめんなさい

めっちゃ俯いて恥ずかしがってる。こういうの耐性無いだろマジで

大人になっても清いままでいてくれ


ピコんと携帯が光る

ななみからのLINEだ


[セーブデータどれ消していい?]

[1以外]


家出妹は絶賛ゲーム中らしい

1は俺が使うという長男ルール。他はななみが使ったので自分のデータを消しなさい


[りy]


あと一文字頑張れよ

携帯を仕舞い、この場を仕切ってるカースト1位の麻倉舞を向く

ちょっと大人として一言いっておかないといかんな


「一つ打診があるんだが…」


「んー?何々ー!?」


「このままだと俺がフルボッコされるからハンデくださいお願いします!!」


今この瞬間は教師と生徒という関係ではない。勝つか負けるかの対等な相手である

少しくらい下手に出ても良いだろう


「却下ー!」


「じゃあせめて…せめて…罰ゲーム先に決めね?俺に決めさせて?あと点数じゃなくて歌う曲をメドレーにして歌えなかったら罰ゲームとか…な?な?」


これ以上…一方的な虐殺は嫌だ…


「うーん、罰ゲームOK!食らった人が罰ゲーム決めれるようにしよー!」

「メドレーにするとジェネレーションギャップでやられそうだから却下で良いよね?」


くっそ!!

罰ゲームはどっちでもよかったが、メドレーはお前の読み通りだ本田ほたる!!

生まれてない時代のメドレー食らわせてやろうかと思ったわ!!


第4回目

罰ゲーム:1位が下から2番目に熱い告白


フハハハハハ!!!フハハハハハハハハハハ!!!!!

誰が罰ゲームが最下位になると思った!!!

こういう条件付けもできるんだよ!!基本最下位舐めんな!!!これが大人というやつだ

やべぇ酒入ってきて楽しくなってきた。完全に友達と飲むときと同じようなことをしている。まぁ良いだろ。テキーラじゃないし


麻倉舞:81点

本田ほたる:83点

北野裕子:82点

大崎麻美:80点

山崎亮:88点

立花弘:88点

ミヨキチ;84点

俺:81点


良し!!!罰ゲーム回避!!!!!

やはり男子は頑張るよな。立花弘も山崎亮も気合が違ったわ

絶対ガチ曲だろ

トップ4を牛耳ってた女子達とミヨキチは明らかに点数を下げてきた

これが大人の力だ

1位が二人。まぁこういう時は短縮で


「えっと、とりあえず亮ちんと弘っちがじゃんけんだね」


流石本田ほたる。即座に適した回答をたたき出してきた

山崎亮と立花弘がじゃんけん

山崎亮の滅茶苦茶気合入ったグーが立花弘のチョキを打ち破った


「ん?」


「じゃあ舞ちゃんとわたる先生でじゃんけん」


あれ?二人?


「わたるせんせ!まいとじゃんけんー!」


あれ?俺も下から2番目?やべ、ちょっと酒のペース抑えよう、完全に麻倉舞確定だと思ってた

麻倉舞と同率じゃん…え?山崎亮の眼を見ると殺意こもった目で負けろって言ってる

なるほど!!お前は麻倉舞狙いか!任せろ!!負けてやる!!!


「こないだの雪辱戦と行きたかったが…負けを目指す」


「よしー!やってやろーじゃないかー!!!」


よし、気合のグーで行こう

俺はこういう時はグーを出す


「じゃーんけーん」


あれ?勝つつもりでグー出してるから負けようと思うならパーじゃね?


「え!?」

「ぽん」


俺はパー

麻倉舞はチョキ


あぶねぇえええええ!!!ギリギリの勝負だった

そうだよ。大事な時にグーを出すんだからグー出したら勝っちまうよ


「……ギリギリで変えられたー」


これで麻倉舞との戦績は2連敗だが、これは勝利の敗北だ!!


そしてそのあと、本気のリアル告白かというレベルのものが山崎亮から麻倉舞に放たれ、麻倉舞のごめんねーの笑顔で断った


「第2回席替えターイム!!!」


本田ほたるの掛け声でまたしても席替えが始まった

結局フリータイム終了までに3回席替えが開始された

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