28時間目。体育祭:アンカーですよぉ?


私は急いでいた

多分、生涯で初めて必死になってる自分がいる

だって、あんなに期待されるなんて思ってもなかったんだよね

屋上から階段を下る。こけないように注意は払いながら

でも最高速で


3階の踊り場を下りながら窓を見ると、やっぱり窓は閉まってるし鍵も閉まってる

少なくても私が屋上の扉の外にいたんだからどうやって登ったんだろうなぁ?

おもしろぉ


2階

1階

と階段を降る

そっから疲れない程度の最高速でグラウンドを目指す

ちらって見ると凄いカメラを構えてるわたるさんがいる

おかしいなぁ…私最高速で走ってるんだけどなぁ。なんでいるんだろうなぁ?


まぁいいっかなぁ、後で聞けばぁ

今走ってる人はぁそこそこ速いから安心かなって思ったけど、わぉコケちゃった

あれぇ?これやばいんじゃないのぉ?

とりあえずグラウンドまで来たので間に合ったということでぇ


「2年3組のアンカーですけどぉ、どこいればいいですかぁ?」


ゼッケンしてる人に聞いてやっと場所まで案内されたので、準備運動は屋上から降りたときに終わったので準備万端ー


「あっ原田先生が説得しに行ったの麻美ちゃんだったんだ!」


「えぇっと、そうみたい?」


裕子ちゃんが凄い満面の笑みでこっちに来たぁ


「あと、任せるね!原田先生が麻美ちゃんを指名したんだから私も安心!!私じゃ無理だから」


裕子ちゃんって、軽くわたるさん大好きだよねぇ…要注意


「ぼちぼちやるよぉ」


裕子ちゃんが手を挙げたので面倒だけど、形式的にバトンタッチ

さて、状況確認しておこ

んーちゃんと見てるけど、やっぱり舞ちゃんの計画通りにはいかないみたい

さっき第3走がコケちゃったのがでかいねぇ

多分ほたるちゃんがいないから代わりに自分も頑張ろうって思って力んじゃったんだろうね


舞ちゃんの頭の良さは凄い

正直ありえないと思うくらいやばい、人の心でも読んでるのかって程正確に詰めてくる

IQとか実は200超えてるんじゃないかなぁ?でも最近わたるさんに近すぎだから警戒必須

でも、舞ちゃんの計画は全て最善の結果で考えてるから少しあまぁい

ほら、舞ちゃんちょっと焦ってる。焦ってこけないでねぇ?


恐らくは1位で本田ほたるちゃんにバトンが渡される計画だったと思うんだけど、現在5位

まずいなぁ


まぁ、舞ちゃんは速いから3位くらいに浮上してくれるかなぁ?

相手は?ん~よくわからないけど多分速そうなのがいっぱいっていうか男子いっぱいだぁ

アンカーだもんねぇ

よく舞ちゃんこの中で走ろうと思ったなぁ…私にはそんな度胸はないなー疲れるし

面倒だし


舞ちゃん速い速い

二人抜き

でも、二人抜きが限界かなぁ差を縮めてくれるだけで充分


先に二人がスタートする

私も準備に入る。バトンはきちんと受け取れるかなぁ

あー緊張する


助走開始

舞ちゃんは追いついてきて、綺麗にバトンが渡される

流石舞ちゃん、空気を読める子No.1

私にも合わせられるなんて正直はんぱない

え?心読んでないよね?


わたるさんの方をみて、凄いカメラに向かってちょっとだけ微笑んでみよう


「いってきます」


よし、恥ずかしいし走ろう

ダッシュダッシュ!


私は別に運動が得意な訳ではないけど、得意なのは最小限に最大限の力を出すこと

モットーは面倒なのはやらない。面倒になりそうなのもやらない。面倒なのは最小限に本気、後は自分が好きなことだけして全力で生きていく

いたずらも相手の反応が面白いから全力だし、わたるさんリアクション面白いから好き

昔から面倒なのは嫌いだし、中学までそのポリシーを貫いてて高校から変わった

そのポリシーを貫くと何故か面倒が増えた

ちょっといつも通りに走ったら、何か騒がしくなった

部活に入れぇだとか、何だとか、うざいったらありゃしない

遊びに行こうって友達だった子が言ってきて、行ったら部活の練習とか騙された瞬間とかもう駄目だったねぇ


私は努力っていう言葉が嫌い。本当に嫌い。

だって、努力って面倒だから

確かにちょっと運動神経は良い方だけど、それで陸上部に入って記録を出せとか言われてもさぁ、努力をできるのも才能だし、才能ある努力者が報われるべきだと思う

私は才能は少しあるかもしれない面倒くさがりだから、部活に入っても幽霊部員も真っ青な帰宅部員になると思うんだよねぇ


でも今回だけは特別

だって、わたるさんがやれって言ったんだもん

回避策も作ってくれたし、1つだけ言うこと聞いてくれることになったし、何を頼もうかなぁ…付き合ってとかは絶対無理だよねぇ

まぁ色々考えておこ

横道それちゃった


真面目にやろ


「ふぅ!」


息をしっかりと吸い込む

追うべきは2人

やっぱり速いけど、無駄な動きが多い

私は別にそんなに走り方を知らない。ただ、不要な力は込めないで必要なところだけ頑張るだけの最低限で走る

それだけで、速く走れる


面倒だからって今回だけは面倒くさがらないよぉ

全力で、最小限に、最大限


ほらほらぁ、上体に無駄な力が入ってるから遅くなるんだよ

一人抜いたぁ


さてとぉ、次は無駄があんまりないけど無駄に地面蹴ってるよ?疲れない?

最小限に最大限に力を込めればもっと速くできるよ?こういうふうに


「ふっ!!」


加速する。最小限に最大限を全力で、でもゴールまで結構近い

やばい、ちょっと距離が足りないかも?わたるさんにお願いされたのに2位だとちょっと格好着かないよねぇ


「いけぇ!!!!大崎麻美ぃ!!!!!!」


「!?」


聞こえましたよぉ、凄いですねわたるさん

滅茶苦茶力が湧いてきたんでこれいけますねぇ


一歩全力で地面を最小限に最大限蹴る

もう一歩最小限に最大限蹴る

並んだ


「え?」


あれぇ?自分の脚力に自信があったんですかぁ?今の私は最強ですよぉ?

だから、あと一歩!

最大限に最大限蹴って!

ゴール


目の前には誰もいない

左右を一瞬見てもいない。いるのは後ろだけ…なら私が一位だ


こういう時はぁ

疲れたけど、わたるさんの方に向いて凄いカメラで良い笑顔をとってもらおう

思わず惚れさせられるような?


「いぇーい」


まぁあの生徒大好き堅物わたるさんには意味が無いと思うけどピース

多分良い笑顔かなって思うよわたるさん

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