27時間目。体育祭:合同リレー
今現在クラス会議が開かれている
理由は二人三脚でのアクシデントである。本田ほたるの負傷により合同リレーに参加できなくなったためだ
「さて、ほたるちゃんは現在保健室でー治療中ー、代走を探しておきたいけどほたるちゃん並に足が速いっていないんだよねー」
そう、それが一番問題だ
勝つことではない。当然勝つのが良いことであるが、本田ほたるにとってこれで負けた時のショックが大きくなる
本田ほたるも明るい性格でアホであるが、いっぱしの女子高生でまだまだ子供なんだ。性格上自分のせいだと思い詰める可能性がある。そうなった時は麻倉舞と北野裕子の仲良いコンビに任せるしかないが、それは最悪中の最前手にすぎない
理想は勝つことであるが、本田ほたるの運動神経の良さは高い
クラスでも5本の指である
「ゆっちーはどう?」
そう、北野裕子は中々に運動神経が高い
「私じゃ多分遅いと思うよ」
だが、平均以上なだけであり、本田ほたると同等かと言われると1枚か2枚ほど落ちる
隣にいるミヨキチはあわあわしている。流石脳内ふんわりガール
これは、子供に任せることじゃない。大人の教師である俺が責任を全て負うべきだ
周囲を見渡してもいない。だよねー
「…麻倉舞、悪いがアンカーから第4走に変更して走ってもらえないか?」
探すのと説得に時間がかかると思われる
「え?いいけどー?どうするのー?」
「ちょっと説得しに行ってくる。んで間に合わなかったら北野裕子にアンカーを頼みたい」
「わかりました!」
流石女神。返事が速くて助かる
「責任は俺が取ってやるよチクショー!!これでクラス景品取れなくても俺が旅行連れっててやるわぁあああ!!!!!」
全力で駆けだす
そんな貯金はギリギリのギリで足りないと思うけど!!貧乏旅行とか!!野宿でキャンプとかならいけそうだけど!!!それ以上を求めるならニンちゃんを売るしかねぇ!!!それは嫌だ!!愛娘を失いたくない!!!
だから!とりあえず!!!大崎麻美はどこだぁあああああああああああ!!!!!!?
あんにゃろう!自分の出番が終わった瞬間からどこか行きやがってぇええええ!!!
とりあえず考えられるのは、あいつは面倒くさがりだ
なので校舎の一階ならともかく二階以上はありえないはずだ。何故なら閉会式は強制参加だからだ!大衆がいるところも面倒だと言いそうなのでありえるなら…校舎裏!!!
正直、大人になってからこんなに走った
バイクで走ることはあったけど、足で走ることは無かった。正直借り物競争の時の麻倉舞に連れられてのダッシュも相当来てる
運動してない人間の筋肉なめんな馬鹿が!!!
「おっしゃあ!」
校舎裏に到着
そこに大崎麻美は
「ですよねー」
いない
さぁ、時間が無いぞー、どうしよっかなー
「…これはしょうがない」
周りを見る。誰もいない
防犯カメラも無し。最悪あっても古里さんが何とかしてくれる!!
役に立ったじゃねぇか空間転移!!
目指すは屋上
とりあえず上から覗いて見つけてやるわぁ!!!
たった2mしか移動できない。だが、2mは瞬間的に空間転移できる
誰にも見られなければ2分程度で東京タワーの天辺だって登ってやるわぁ!!
「しゃあ!!大崎麻美はどこだこらぁ!!!」
屋上に転移完了
柵に身を乗り出して下を見る。見るならなるべく人がいないところだ
校舎裏はいない、ならフェンス裏とかがありえそうだ!
「あれぇ?先生どうしたんですかぁ?」
フェンス裏?
いや、これ裏?っていうか後ろ?
ゆっくりと振り向く
ここ屋上だぞ。普通に出入り禁止だぞ。鍵かかってるぞ?何でいるの?えぇ?2階以上にいかないと思ってたのに…
「私に何か用ですかぁ?っていうか屋上の扉開いてないですよねぇ?」
「…お前がここにいると思ってな。3階の窓からよじ登ったんだよ」
騙せたかな?いけたかな?
確か3階の踊り場から行けたよな
「情熱的じゃないですかぁ何ですかぁ?告白ですかぁ?」
クスクスといたずらな笑みを浮かべている大崎麻美
確かにこれは告白だな。ある意味で
「大崎麻美、お前に合同リレーのアンカーを走ってほしい」
「えぇ?なんで私なんですかぁ?走る人決まってるじゃないですかぁ」
「本田ほたるが怪我して走れない。代走が必要で俺には大崎麻美しか浮かばなかった」
「えぇ??私そんな速くないですよ?」
高校2年の成績で言えば中の中、もしくは中の下
「俺は…こういうのもあれだけど…ウチのクラスの生徒たちが大好きだ!!!」
「…えっとぉ関係あります?」
「大崎麻美の成績は良く知っている!中学から高校1年の1学期まで運動が得意であることも知ってる!!高1の1学期以降お前めんどくさがってるから皆忘れてるけど!俺は知ってる!!高校一年のときの体育の記録でも麻倉舞以上の速さだったことも知ってる」
「…変態ですかぁ?」
ちょっと待って!!そういう感じ?あれ?何でおれ変態?
もう無視だ無視!!!
「だから!お前にアンカーを頼みたい」
「えぇ?嫌ですよ」
最近の若い子難しいいいいい!!!まぁ確かにこれで大崎麻美がOK言ったら俺もびっくりするけど
っていうか時間が無い!もう合同リレーの前の競技が終わりつつある
ウチのクラスは順番が早かった方だから良かったが、もうその貯金も消えかけた
「…なんでだめなん?」
もう要望を聞こう
「えっとぉ、私って面倒なの嫌いなんですよぉ中学と同じようにふつーに走ってたら何か勧誘とかうざくてぇ、これでまたアンカーとかちゃんと走ったら面倒になるじゃないですかぁ」
あー、ありありとその光景は浮かぶ。タイム的に勧誘がやばくなるのも想像できる
「よし、じゃあそういった面倒なのは全部俺が引き受ける!それでどうだ!?」
「どうやって?」
いつものいたずらチックな眼ではなく、真剣な眼になっているのがわかる
子供が本気なのだ。大人も本気で立ち向かわなければいけない
「部活に入ってることにしよう。テキトーな部活を作って俺が担当だ、そしたらもう部活入ってるんでの一言で終わる」
「へぇ~、魅力的な条件じゃないですかぁ。そこまでするのは何でですかぁ?やっぱりクラス景品?それともほたるちゃんのためですかぁ?」
「青春だからだ!!!」
「…は?」
「体育祭っていうのは青春だ!クラスの団結や対クラスの対決なんて、こんな祭りは学校生活でしか味わえない!!大学何て体育祭もないしな!」
大学何て、目標が無ければテキトーに単位とってグータラするだけだ
サークルなどで楽しむことも一杯できる。だが体育祭なんて代物は高校で終わりなんだ
それを皆が満足に全力を出し切れずに終わるなんてもったいないじゃないか!!
「ふふ…ふふふふ!!!ふぐぅ!!いっ息がぁ!!」
何故大爆笑する
普通、何か、もう少し、ね?何かほら違う反応っていうかね?感動しました!的なね?いや。大崎麻美が言ったら気持ち悪いけど
「面白かったんで良いですよぉ!ただ、それプラスなんか何でも言うこと聞いてください」
「…まともなやつなら、無理な願いとかは無理だからな」
ニンちゃんを売れとか
100万渡せとか不可能なこと言われても無理だし
「軽めにするんで大丈夫ですよぉ?アンカーですよねぇ?」
またいたずらチックな眼に戻りやがった。これは覚悟しておこう
「おう、アンカーだ。良い見せ場だぞ」
「今第一走が準備してるんで急がなきゃですねぇ」
ポケットから屋上の鍵を取り出す大崎麻美
何で君それもってるん?
鍵を開けると投げてきたのでキャッチ
「頑張ってくるんでぇ、何かあの凄いカメラでちゃんと映してみててくださいねぇ。あとこれ貸しておくんで後で返してください」
笑いながら上着を投げると駆けていった
「青春だ~」
ふぅっと一息
「!!!!!!!!!!!?」
カメラ!!!回してない!!!!!!!
もう第一走始まってる!!!
校舎裏の方の地面を見るが、誰もいない
役に立つじゃねえか空間転移!!!
そのまま身を乗り出してダイブ
大崎麻美のやる気を出したからには万全な状態でカメラで撮影してやろうじゃねえか!!!
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