18時間目。いたずら娘V2
帰りのHR
北野裕子の言いつけ通り、いたずら娘によるいたずらが作られていた
廊下にいる
そう、教師である俺が廊下で教室のドアを開けるのを躊躇っている
「…おい」
ドアに挟みこまれている黒板消し
いや、流石にバレバレだからさ。普通に直撃しねえよ
っていうか普通に考えて黒板消しなんて当たらねえんだよ
考えてみろよ。ドアを開けながら入らないと直撃しねえ
普通に考えると開けてから入るから黒板消しは地面に落ちるものだ。だからこのいたずらはそもそも成立しない
つまり、これには2段階のいたずらが仕込まれていると推測できる
恐らく黒板消しを回避しようと逆の扉から入ろうとしたら、本命が待っているだろう
それを避けるためには、一番楽なのは黒板消しが落ちてから入室すること
しかし、これは本命の近くになるため、危険性が高い
それならば、教室の教卓とは反対のドアから入る方がよいだろう
馬鹿め大崎麻美
こちとら25年生きてるんだ。生徒の良いように動くわけが無いだろう
そして、更に裏をかくべきである
右を見る
誰もいない
左を見る
誰もいない
注視したが、特に録画機材も回っていない
となると、手は一つ
空間転移!!
本命が待ち受けているだろう黒板消しの逆ドアを勢いよく開いた瞬間に空間転移で教卓の反対の方から扉を開けて入室する
そうすれば、ドアが開いた瞬間に本命にひかれて普通に入室できる
距離的にも9m弱も無いからまだ物理でもギリできる範囲だ
やってやるさ
生徒の上を超えるのが、背中を魅せ続けるのが教師の使命だ!
ばれても最悪古里さんにお願いすればOKという保険もある
漢ならやってやれ
「おらぁ!!」
ドアを勢いよく開けた瞬間に空間転移
2mしか移動できないので、連続空間転移
一気にドアを開ける
「どーん!!」
「グハァ!」
正面から全身に衝撃が襲い掛かる。なんだ?何をされた!?いきなりのことに思考が散漫になるが、相当に強い衝撃に体勢が維持できない。これは転倒する
まさか、待ち受けていたのか?俺の更に上をいったというのか!大崎麻美!!
咄嗟に頭を守ろうとするが、自身の危機を感じてか思考が高速に回転する
生徒たちのやったぜ的な表情も見ることができる。めっちゃ爆笑してる本田ほたるは後で髪の毛40本引きちぎってやろう
何が当たったのかを確認しようと、こけながらも目線を下におろすと頭に回そうとした手の動きが止まる
大崎麻美めぇ!!ここでお前が突撃してくるのかよぉ!!
ラグビーのタックル的な勢いできやがってぇぇ!!
というか、この勢いって結構普通に暴力だかんな。凄い痛いからな
衝撃凄いかんな!
下手したら頭打って死ぬかんな
ちょっと、流石にこれは本気で説教しなければならない
ってか衝撃強いからな着地
気合入れろ俺!!
頭は顔を上げて何とか後頭部の直撃を回避する。その間に腕を大崎麻美の背中に回してくっつける
頭が浮くとバウンドで俺の身体のどっかにあたって鼻血になりかねん
何かのバトル漫画的なレベルで思考が回っていたが、遂に限界が訪れる
どうしよう…正直一瞬だけ同じ位置に空間転移したい。外部からの力も消えるから痛くない。だが、そうするとまずい。生徒の注目がある中、一瞬だけなら気のせいですむと思っている
だが、大崎麻美は別である。流石に衝撃無しは怪しまれる
「んぐ!!!」
「ぐぇぇ!」
そして衝撃
空間転移使っておけばよかったよ畜生!!
「いたずらにしてはやり過ぎだ馬鹿…お前後で生徒指導室な」
ちらりと本命があると予想した方を見ると、本命なんて無かった…こっちが本命であった
読み負けた…生徒相手に…
とりあえず悔しいのもあるので、大崎麻美の頭を小突いておく
「いたっ」
「麻美ちゃん何抱き合ってんのー!?わたるせんせセクハラだよ!!」
「おいこらハラワタ先生!!お前離れろやぁ!!」
これ別にしょうがなくね?俺悪くね?ねぇねぇ麻倉舞よ?俺被害者だよね?
あと、何で立花弘は怒ってんの?ねぇねぇ?俺被害者だよね?お前大崎麻美に恋してんな?応援してやるぞ
起き上がり、大崎麻美を解放
「いやぁ先生、まさかの相思相愛じゃないですかぁ!思考ぴったりぃ」
抱き着くな、阿呆が!!!
立花弘がよくわからん表情で俺を見ている。いや、やめてください
「お前マジで生徒指導室だかんな、マジで。いや、ホントに今回のは指導だからな?覚悟しとけよ?」
今回ばかりは心を鬼にする
これを普通だと思われてしまうと、怪我につながる
しかも威力的には下手したら後頭部がもってかれる。後頭部はまずい。本当にまずい
流石に周りにも聞こえるくらいの声で伝えておく。今回のは周りも傍観していたのでまずいことだと伝えるのは大事だ
というか北野裕子よ、何で土下座してるんだ?綺麗な完璧な土下座だけど、めっちゃ顔真っ青だから責任感じてるのか、いや、気にしないで…北野裕子は悪くない、まずいとは思うけど悪くない
俺と大崎麻美の間にクッションがあるのって、北野裕子が言ったんだろ?このクラスの良心お前だけだからな?わかるよ。というか土下座はやめて…しかも他の生徒にはバレないように後ろの方で
「えぇ?…ホントのホントの本当にですかぁ?」
「おう!覚悟しろよ!!」
俺の真剣さが通じてくれたのか、ようやく後悔の表情が生まれる
後は滅茶苦茶みっちり説教だ
「あと大爆笑してた本田ほたるは頚髄2回ぶち折るからな」
「なんで!!?酷くない!!!!!!?」
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