14時間目。男子バレー大会への移動


「疲れた」


「お疲れ様です。長距離はきついですよね」


現在、SAにいる。ちょうど中間くらいだ

生徒たちを引き連れて雄太郎の代わりに送り迎えの途中である


200㎞程度ならバイクで行くのなら特に問題はないが、車となると話は別である

しかも、生徒を連れて…

絶対に事故の無いように気を付けないといけないので、普段より疲れは倍に刺さる


ミヨキチと一緒に2台で進めているのもあるが、なるべく足並み揃えていこうとしているのも疲れる原因だ

アプリで通話しながら休憩とかを挟む必要があるので、既に2回目の休憩だ

大人数を移動させるのは疲れるな


俺は絶賛タバコを吸っている

流石に生徒たちがいる車内でタバコを吸うのは忍びない。というか普通に無理だ

喫煙所は室内なので、モクモクとした煙が充満している。しかし、ミヨキチはコーヒー片手に俺の隣に座る。どうやら本当にタバコの煙を気にしないらしい


「どうぞー」


どうやら、2缶買ってきてくれたみたいで俺にもコーヒーを渡してくれた


「おぉ、ありがとう」


しかも、俺が好きな缶コーヒーの微糖である

普通のコーヒーはブラックが好きだが、缶コーヒーはどうしても微糖が好きだ

ブラックの缶コーヒーは本当に嫌いだ

ミヨキチからのコーヒーを受け取ると、プルタブを開けて飲む

開けてコーヒーを飲んだ俺を見ると、ミヨキチは手をこちらに向ける


「120円です」


いや、そんな催促しなくても普通に払うからな。ちゃんと財布出そうと準備してるから

そんなガメツイことしないからな

俺、一応先輩だぞ


「おら、利子付けてやんよ」


200円を渡してやる。そう、大事なのはちょい増しである


「ありがとうございますー!」


「結構ミヨキチは意外に運転上手いよな」


不安だったので、なるべくミヨキチの後を走るようにしていたのだが、意外と普通に走っていた

ちゃんと合流もスムーズに出来ているし、車間距離もちゃんと掴んでるし、結構安心して見れていた

そんな俺の感想を聞いたミヨキチは俺に殴りたくなるくらいなドヤ顔を決める


「友達からも…と、友人からも運転上手いねって言われますから」


「いや、そこまで畏まらなくて大丈夫だからな、大体2時間くらいで着くけど疲労とかは大丈夫か?」


別に敬語なんて気にしない

ため口を職場でやられたら、生徒たちの目があるからちょっとあれだが、そこまで細かい敬語はいらん

タバコの灰が落ちそうなので、ゆっくり慎重に灰皿までもっていく


「いつもより緊張しますけど、全然大丈夫ですよー!」


腕をぐるんぐるん回すミヨキチ

子供か


「とりあえず、今回の俺らって送り迎え係だと思うんだけど、ミヨキチってバレーのルールわかるか?」


俺は昨日一夜漬けで覚えた

とりあえず、話題にはついていけるというのは道中の部員達との会話でわかった

専門用語でよくわからないのがあったのも、正直に頭下げて聞いたので情報共有はできたので多分大丈夫だろう

やっぱり、専門職に聞くのが一番だ。ただの教師よりバレー部員のが知っているは当たり前だろう


「…え?…わかりませんけど……えっと…頑張って応援してます!!」


運転がある程度安心したが、そうだったこいつは頭ふんわりガールだ


「まぁそれで十分か」


脳内ふんわりガールだが、色々と整ってるからな。男子バレーなら、やる気は上がるだろうな

元々、うちのバレー部は強豪とかそんなでもなく、大会でも2~3回勝てれば上々らしい

監督とかも特に居ないので、生徒達で色々と作戦やら指示を出し合っているとのこと


三年のキャプテン佐藤政次(さとうまさつぐ)から聞いた話である


「けどやっぱりバレー部員って背が大きい子ばっかりですよね。みんな私より大きいです」


それはミヨキチ

お前は背が小さいからだろう


「まぁそうだな。俺より背が高いのばっかりだ」


俺は175cmくらいだったから、基本的に180cmは超えてそうだ

ミヨキチが付けている腕時計を確認すると、休憩で設けた時間はまだあるようなので、もう一本タバコに火をつける


「そういえば、気になってるんですけどバレー部の部員の背が高い人ばかりなのは何故でしょう?」


「あー、確かにそれは気になる」


バレーとかバスケやってる連中はみんな背が高いイメージがある


「あれじゃないか?身長が大きいと得するスポーツは最後まで残るのは優勢な高身長だからとかじゃないか?」


全てを身長で片付けてしまうのはあれだが、向き不向きで考えると、やり続けるのは厳しいだろう

まぁ真実はわからない、たまたまうちのバレー部が身長が高い者ばかりなだけかもしれない


「確かにそれっぽいですね」


納得されてしまった

ミヨキチお前、詐欺とか気をつけろよ・・・


「あっ!原田先生今日夜飲みに行きましょうね?」


「あぁ、元から1人でもそのつもりだったから全然いいぞ」


考えるまもなく、誘いを受ける

せっかくの遠征である

日帰りではなく1泊2日なら当然居酒屋に行くに決まっている

ミヨキチは話がわかるやつだ

スゴいぞミヨキチ!流石だミヨキチ!!


「いぇーい!!」


だがハイタッチは拒否する

代わりに頭にチョップでも食らわしてやろう

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