13時間目。平和な日常


いつも通りに食堂のおばちゃん(お姉さん)によいしょをして、特盛にしてもらったお昼ご飯を食べている


「お前さ、滅茶苦茶コミュ力あるよな…俺とお前の量を見るとそれを感じるわ」


目の前には、同期の雄太郎

同じ味噌ラーメンを食べているのだが、雄太郎は普通にもやしとコーンと麺(普通)

俺はもやし(特盛)とコーン(特盛)と玉子(2つ)と麺(2玉)である

これが同じ値段って面白いよな


「いや、おばちゃんのことをお姉さんって言えばこれくらいしてくれるからな」


「その発想が普通に出てこないぞ」


「え?高校時代にやらなかったか?俺普通に食堂通いだったから、必須手段だったんだけど」


というか、雄太郎も努力家だしコミュ力あるだろうに

高校時代も使っていたからもはや大人になっても使ってしまうのもしょうがない


「んでさ、お願いがあるんだけど」


「金は貸さないぞ」


大体それからの言葉はお金を貸してだ

考えるよりも先に返事がでてしまった。よっぽどの事情が無ければ金を貸すなんてもってのほかだ


「ちげえよ!!いや、今度大会があるんだけどさ、冠婚葬祭が重なっちゃって送り迎えできなくて…お願いしたいなと」


なるほどな、言いたいことは分かる。うん、凄いわかる


「…え?いつ?」


「今週の土日」


二日間!!!!?

せめて一日にしてくれないか?一日だったら行けると思ったよ!


「送り迎えって…何すんの?」


だけど、冠婚葬祭ならしょうがない。それは友人として変わってやろう

でも、せめてもうちょっと早く教えてくれてもいいじゃないか


「えっと、部員15名を大会場所まで送るだけ…車で3時間くらいかな。指示とかはあいつらが勝手にやるから大丈夫」


そうか、こいつは指示出せないからな。頑張ってるんだけど、まだ多分無理なんだろう


「無理!!」


いやぁ、無理だわ

ちょっとだけ頑張ってみようと思ったけど、無理無理

車で2時間?まぁいいよ今週の土日に予定は無いし

送り迎えだけ?まぁいいよ生徒のためだし

でもね、俺お前と違って


「15人は無理に決まってんだろうが!!俺は普通自動車免許だからな!!」


「あっ…」


「そりゃ冠婚葬祭だったら、やってやろうと思ったけど、物理的に無理だから」


いや、流石に法律無視はきついっす

雄太郎が凄い残念そうな顔をしてるのもわかるが、それだけはしょうがない

男子バレーだし、電車で大丈夫だよきっと。うん


「私も手伝いましょうか?私も普通自動車免許持ってますから」


ミヨキチィィィィィィィィ!!!!???

急に隣に座ってきたら何を言い出すかと思えば、この野郎!!ナイスだ畜生め!

これなら、何とかキャリーできるが…


「おぉ!マジかミヨキチ!助かるわ!!」


雄太郎は嬉しそうに笑顔を浮かべる

ミヨキチも任せてくださいという感じで笑顔である


「え?ミヨキチって運転できんの?」


脳内ほわっと人間であると思うミヨキチが運転するイメージができない

もはや事故るイメージしかない

アクセルとブレーキを間違えて覚えていてもおかしくない

ただ、そんな俺の言葉にムッとしたのか、右肩に軽い衝撃が…


「失礼ですね!できますからね!!」


殴られた

暴力反対


「じゃあちょっとお願いしていいか?二人とも今度奢るよ」


まぁしょうがないか…土日潰されるがしょうがない


「ん?土日?往復?するの?」


ふと思った、土日って両日ってことだよな

片道3時間?往復6時間?え?辛くないか?


「いや、ホテルとってっから1泊2日だから、修学旅行的な感じで見張っといてくれ。料金は俺が出すから」


「‼?」


あ~やっぱそうだよね。宿泊代を出してくれるなら全然問題ない

そうなるよね。逆に助かるからいいや。ニンちゃんが使えないけど……ん?


「待った雄太郎、俺は車無いぞ」


俺にはニンちゃんしかいないよ

車はどうせ結婚とかして家庭持たない限り買わないつもりだし


「あー、レンタルしてたのがマイクロバスだからそこら辺はこっちでやっとくわ。部費でやるし」


「え?一泊二日なんです!?」


何かミヨキチが言っているがスルー

協力するのは全面的に賛成なので、準備さえ整えてくれたら問題ない


「ハイエース×2で頼むわ。荷物とかあるだろうし」


「了解ー手配しとく。ミヨキチもすまんが」


「いや、確かに…私も2日間暇ですので大丈夫です」


じゃあ問題ないな。ミヨキチもOKなら特に問題ないから大丈夫か

土日がつぶれるのはしょうがないが、予定はないから大丈夫だ


「おー先生たちー飯一緒に食べよーぜー」


ある程度決まったところで、ウチのクラスの立花弘が雄太郎の隣に座る

こいつは成績もやばいので、こんな感じでポイントを稼ごうと必死である

だが、俺はお前の遅刻だけは本当にやめてほしいといつまでも願ってるからな


「どーん!!」


「んげ!!」


後ろから衝撃


「わたるせんせご飯一緒に食べようよー!!」


おいこら麻倉舞

後ろから突撃ってなんなん?俺普通に教師だよ?

俺の返事もなしに、隣に座る


「へいへーい!!」


再度後頭部に衝撃、どうあがいても犯人は分かる

ぶっ殺すぞ本田ほたる


「57回眼球抉るぞ」


「酷くない!!!!!?」


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