12時間目。痴漢撃退Ver原田


本田ほたるから相談を受けた俺はまずスプーナー先生を探した

職員室には居なかったので、きっと喫煙所だろう。まだ就業時間内だし。


「お疲れ様です。スプーナー先生」


やはり、喫煙所にいたので俺もタバコを取り出して火をつける

スプーナー先生はこちらを振り向くと、ニカっといい笑顔を見せる

度入りサングラスを常時つけている本当にマッチョ。スプーナー先生の人の良さを知っているといい笑顔と思うが、恐らく知らない人が見たらめっちゃ怖いだろう


「原田先生お疲れです」


日本語も達者

そう、痴漢撃退に必要な人材である

生徒名は伏せておきたかったが、どうしても今回の作戦上身分は説明する必要がある


「すいません、スプーナー先生に一個内密な相談がありまして、今大丈夫ですか?」


「Oh...わかったよ。じゃあもう一本吸おうか」


とりあえず、状況の説明とやることを説明した

簡単である。サングラス、スーツ、オールバックとりあえず威圧が出せる格好で、本田ほたるの両隣を確保し、痴漢を発見次第スプーナー先生につまみ出してもらう

それだけである


「なるほど、わかったよ。OK、協力しよう!生徒が困ってたら助けるのが仁義だね、痴漢野郎は撃退しよう」


二つ返事でOKを貰えた。やはり、良い人である


「ありがとうございます」


「いいよいいよ!そしたらさ、僕が英語のみで何か喋った方が威圧感であるかもね!あとは原田先生が本田さんをお嬢とか呼ぶとか良くないかい?」


めっちゃ乗り気だ。凄い良い表情である。そうか、この人日本好きだから任侠系も好きなのか


「ありですね!」


上手くいったら、居酒屋でも奢ろう


=======


そして、当日

目覚まし時計よりも早く起きて、準備を始める

スーツにサングラス。前日に購入したジェルで髪をオールバックに固める


鏡で自分の姿を見ると、結構いかつくなっていた

ただ、そこまで筋肉はないのでラインは微妙である。そこはスプーナー先生に任せよう

それっぽくするため、内ポケットに長財布とタバコを入れておき、何か懐に入っている状態を見せておく


そして、スプーナー先生と合流する。

めっちゃ怖い。知らなかったら絶対目も合わせたくない。めっちゃ怖い

何か首に入れ墨入ってるんですけど…教師だから入れ墨NGじゃないの?

そんなことを聞いたら、やっぱりいい笑顔で入れ墨のシールだと教えてくれた。簡単にはがせるらしい

気合入ってるので、凄い助かる


そして、計画通り本田ほたるの両隣を確保


「…」


しまった!本田ほたるに何も説明していない!!!

物凄い怖がってる!そりゃそうだよね!スプーナー先生もどうしようってちょっと困った感じで俺を見ている…とりあえずそのままでというのを吊革につかまっている手を放して指の動きで何とか伝える。本田ほたるにはちょっとひと段落ついたら謝るろう…


そんなこんなで、痴漢野郎を発見し、見事ホームに叩きだすことができた

本田ほたるには学校に行ってもらって、後は警察…ではなくあの人の仕事だ


====


スプーナー先生に協力を取り付けた後に向かったのは、理事長の古里さんのところである

というか、スプーナー先生と古里さんの協力が今回の計画としては必須である

スプーナー先生の協力が難しくても、俺が頑張ればなんとかなるが古里さんの協力が得られないと作戦は失敗である


「ということで!古里さんの能力を使って欲しいです!!!」


背景を説明した後に全力で頭を下げる

機嫌がよさそうであったのでチャンスであった


「おう、いいぞ。生徒が困ってんなら俺が動かない訳ないだろ」


そう、警察なんぞに叩きだすなんて生温い

ここはやっぱり、古里さんに全てを任せた方が早い。というか勝手に警察沙汰なんてものにしたら何されるかわからない。なので、全面的に協力してもらう必要があった


=====


「うげ!」


頭に靄がかかったような感覚に襲われた。これは古里さんの能力の影響である

凄い気持ち悪くなるので、本当に嫌だ

だが、古里さん曰く能力を持っている人間はある程度は前兆がわかるそうで、これが前兆らしい

他の人達はさっきまで俺とスプーナー先生と痴漢に注目して駅員さんも騒ぎに気付いて向かって来る最中であった

しかし、今はまるで俺らのことが見えていないようにいつも通りの平和で地獄な出勤ラッシュ風景に戻っている


「スプーナー先生お疲れ様です。学校があるので後はこっちで対応します」


人込みの中から古里さんが普通に歩いてくる

まだ気持ちが悪いので絶賛能力発動中である


「理事長おはようございます。遅刻しては教師として恥ずかしいので学校へ向かいますね」


さっきまでの痴漢騒動を忘れたかのように、後続の電車に乗るスプーナー先生

痴漢騒動を忘れたのではない。記憶が操作されて今は警官に引き渡した後に古里さんがやってきたという記憶になっているはずだ


「んで、わたるも戻っていいぞ、あとはこっちでやっとくわ。逆にHRあるんだから遅刻したら…」


「行きます!!!」

行きます!!

何があっても、何を犠牲にしても学校に行きます!!!

というか、依頼はしたのは良いけどこの後は我関せずにしたい。気にしたくない


電車が行ってしまったので、後続を待とうと思ったが何故か非常停止ボタンが押された。見ると人が倒れていたので救護による停止だろう

…遅刻確定ですやん


古里さんがこっちを見ていた

その表情は電車遅延で遅刻すんなよといった目である


へい!!!タクシーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

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