15時間目。男子バレー大会


無事に会場に辿り着いた

なんというか大きい体育館であった。バレーコートが4つくらいある感じなのか、凄い活気も良い。なんの試合なのかわからないがそこそこでかい試合なんだろう


とりあえず、荷物のキャリーとか、監督代理としての参加登録やらを手伝うとやることがなくなってしまった

こう思うと生徒の自主性って大事だよな


「だーれかさんのせーいーでーあたまーがいたーいなー」


「・・・」


「じょせいのーあたまにーチョップー」


「・・・・・・」


とりあえず、準備運動している生徒達の近くにベンチ?まぁ椅子か

椅子があったので試合が始まるまで座っている

ドリンクとか買ってきた方がいいのか?でも各自持参してるっぽいんだよなぁ

監督でも何でもないので、やはり俺らがやることはとても少なかった。雄太郎の言う通りに本当に生徒たちの送迎係だけで大丈夫そうである


「だーれだー?チョップはだーれだー?ハーラーワーター」


うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

ハイタッチ拒否ってチョップしたら、もう凄い怒られた

もうほんとプンスカプンスカ効果音がつくぐらいに怒られた

そしてまだそれを気にしているらしい。チョップから2時間は経っているんだが

現在歌唱中である作詞作曲ミヨキチの不思議な歌はとりあえず、めちゃくちゃまだ気にしてますよアピールである


「いや、すまんって」


とりあえず、頭を下げる

とりあえず程度だけど


「許しませんーセクハラですー」


駄目だった。それ言われると男としては何も言えない

そうか頭にチョップはセクハラか…あれ?俺社会人として終了したぞ?

セクハラってあれだよね?普通に社会人としてやばいやつだよな?


「…えっと、今夜の居酒屋奢るから許してくれ」


これで許されなかったら、土下座する覚悟である


「えー、んー、まぁいいですよ」


やったぞ!お許しを得たぞ!!

ミヨキチさんからお許しを得た!!!

これで俺は教師を続けられる。やったぜ


さて、そんな感じでだべっていると試合が始まる

物凄い勢いで飛ぶボール

それをレシーブする生徒たち

サーブとかめっちゃ速いんだけど

何か凄い。そんな感想しかない

スパイクとか何あれ?打てないし、拾えないし

うわ、顔面レシーブとか痛そう

えぇ?これ時速100㎞とか出てんじゃないの?早すぎない?軽いとはいえ車で100㎞出したら人死ぬぞ。バレーボールは大丈夫なのか?怪我とか大丈夫か?


隣を見るとミヨキチも「うわぁ…」とか「ひゃっ!」とか変なことを言っている

全く応援してないぞ


たまにこういうのを見ていると、俺の能力があればどれだけ尽力できるか考えることがある

空間転移があればどうなっているか、

触れれば半径2mは移動できること

慣性などの外部からの力が全てリセットすること

その二つの条件で考えるのも楽しいか


まず、バレちゃいけないことが大前提である

そうなると、大々的な移動には不可能なので、まず無理


サーブ

…意味がない、完全に実力で決まるものだ。一番無意味である


スパイク

…真正面で叩いた瞬間に若干左右に移動させれば少しは乱せると思うが、芯に力の入っていないスパイクなんて、馴れられたらただのチャンスボールだ。無意味だな


レシーブ

…めっちゃ強烈な球でも触れた瞬間に同じ位置に空間転移させて外部からの力をリセットしても、結局ただのボールを跳ね上げなければならないので、バレる。無意味だな


トス

…まったく意味がない。これも実力だ。無意味2号だな


「…」


あれ?全く役に立たないぞ

空間転移って本当に役に立たないぞ。結局ダメだな

陸上でも考えたことがあるが、結局ばれないようにと考えると全く意味がなかった。多分ばれてもよければ時速かなり出せると思うが、疲れるし新幹線とか飛行機使った方が速いと思うからやっぱり無意味だ


「おっ!」


第1セットを取ったみたいだ

点差的には結構僅差だな。競っているみたいだ


「勝ったんですか!!?」


いや、第1セットを取っただけだから

って、ルールわからないだっけか、ならしょうがないか


「いや、まだだ。セットを取っただけだから、まだ続くぞ」


「えぇ!?この緊張感まだ続くんですか!?」


え?ちょ?俺悪くないよね?

肩を揺さぶらないでくれない?

やめて!酔うから!!酔うなら酒で酔いたいから!!!


「ほ…ら!応援しておけよ!!」


手首を無理矢理掴んで、とりあえず揺さぶりを止めさせる

これでセクハラ言われたらぶっ殺すぞ!!


「わかりました!頑張ります!!」


といいつつ、やっぱり無理だよね

第2試合が開始しても同じように「うわぁ…」とか「ひゃっ!」とかずっと言っている

人間はそんなにすぐに変わらないよな


結局、第1セットは取れたが、第2セット第3セットと取られてしまい残る第4セットもギリギリまで競ったが取られてしまって、ウチのバレー部は敗北してしまった


だけど、敗北してしまったが相手はそれなりの強豪だったのか、1セットを取れたことが嬉しかったのか、悔しそうであったがどこか満足しているようだ

まぁ、相手が競合なのは応援の数で察せた

相手側は結構観客席が盛り上がっていた。こっちは俺の隣くらいしか盛り上がっていない

勝利を知るのもいいが、敗北も知るのも良い。勝利は自信をつけさせるもので、敗北は敗北で次への挑戦という意欲になる

しかも、強豪を相手に1セット取れたなら、それは努力と自信の裏付けになるだろう

若いんだ、君らにはまだまだ未来がある

頑張れよ


「負けちゃったんですか!?みんな頑張ってたのにぃ!」


隣で泣き叫んでるミヨキチ

うるさいぞ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る