眼を覚めても異世界
「ん・・・・・・・朝か」
鳥のさえずりが近くに鳴り響いたせいか栄治は目を覚めるが周囲は見慣れない小屋の中で布団を敷いてたので違和感を覚える。
「あれ?なんで俺こんな所にいるんだ?確か俺はあのボロアパートで寝てたはずなのになんでこんな所にいるんだ?」
栄治は今ここにいる場所は遠き異世界の地だと思えず寝ぼけており、しばらくすると、目を覚める。
「あ・・・・・・思い出した確か俺、この地に来てしまったんだった。・・・・・あれ?歳三さんは?っていうか無意識だったが俺昨日あの人と寝たのか」
栄治は、隣にある歳三の布団があったのでそれをいち早く理解し公開する。なんせあの有名な土方歳三は、美少女剣士で何も知らず彼女と同じ屋根の下で寝ていたのを罪悪感を感じてしまう。
「昨日は色々疲れてご飯食べたと用意してくれた釜風呂に入って寝てしまったからな・・・・・いやそれはさておきどこ行った」
栄治はあの後歳三にこの小屋だけではなく近くの馬小屋で飼ってる栗毛と黒毛の二頭の愛用の馬を見せられ、親切にも寝床を用意してくれたのだ。
そのことについて恩があるので栄治はうだうだ考えるのを止め布団からいなくなった歳三を探し出した。昨日みたいに突然急に飛び出し行方を暗まさないか不安感にかられながらも相変わらず謎の爺さんが持ってた太刀を携帯し外に出る。
扉を開けまずそこから目に入る湖に目を移るとそこには湖の前でさらし姿で長髪の髪をポニーテールにしてひたすら木刀を振り続ける歳三の姿があった。
何回か素振りをしたか知らないが彼女はすでに全身汗だくになっており、背後に朝日が照らされていたせいか、吹き出す汗は虹色に輝くほどの絵になるほどの振りを見せる。
「せいっ、せいっ、せいっ、せいっせいっ、せいっ」
「・・・・・・・・・なんだか綺麗だ・・・・・ものすごく絵になる」
「ん?栄治。そこにいたのか?」
「うわっ気づかれた」
「気づかれたって。バレバレだよ」
背後にいたのにも関わらず歳三は気配で察知し後ろの栄治に声をかけた後に、素振りを止めそばに置てあったタオルを手に取る。
「え?もういいのか」
「うん、もう十分に素振りをしたからね。ここでうち止めにするよ。それより、朝食を作るよ。昨日と同じだけど・・・・・パンは嫌いかな?」
家に戻り歳三は黒の洋装を着て朝の支度をしており、数分後にはご飯が出来ており、朝食は昨日と同じくコッペパンと昨日のあまりのスープに加えデザートのイチゴとブドウに似たような果実がのっておりとても小食な感じであった。
「では食べるとするか」
「う・・・・・うん」
「ん?どうした栄治。もしかして、昨日と同じじゃ嫌かな・・・・」
「そんなわけじゃない・・・・・ただ俺が知る土方歳三と違くて」
「???」
栄治の言葉にスープを片手に吸う歳三は頭に?マークが浮かぶくらい疑問となった。
「確か歳三さんって、たくあんが好物って聞いたけど、あまり食べないなっと思ってさ・・・・」
「う・・・・・・そうなんだよ・・・」
それを聞いたとたんに歳三は急に内気になり背が縮こまっていた。
「実はさ、この世界来て思ったけどたくあんどころか・・・米さえなかったんだよ」
「はっ?」
「いやそうでしょ。米がなければ、ぬかができない。ぬかができなければたくあんもできないんだ。野菜は無駄にこことはあまり変わらないのに・・・」
「ああ・・・・」
歳三は悲痛そうに涙目を浮かべていた。この異世界の地は基本洋食がであるパンが主流で米を食べるのは少数の種族が食べるくらいのマイナー食でましてや漬物を作るという概念がなかった。
「だからわたしは一年間たくあんが食べれないという悲しみをくれたのだがそれはもう終わりだ。なんせわたしは一年の歳月を経て独学で米を作っており、今は栽培の時期だ」
「え・・・・本当に?」
「ああ・・・・昨日も話したようにここの湖より下山した小さな、サンダラ村の村民に協力してもらってね。皆見ず知らずのわたしの提案を受けてもらって助かったよ」
「で、それどうやって完成に至ったんだ?」
「勿論この頭に記憶してるよ」
「まさか、想像で・・・・」
歳三は武士である前は、豪農ではあるが一人の農民の為に農業の知識と経験は幼いときに剣術以上に嫌というほど覚えさせられたのだそれであってかこの未開の地でも、米を栽培をすることができたのであった。
「そして今日は、約束の日の米の受け取りだ。これでぬかを作ればグへへへへへへ」
「(うわっ・・・・・・この人飯食ってるさなかによだれを垂らしてるよ。この光景を歴女に見せたら失神するな)
歳三の予想以上のたくあん愛を見たせいで栄治はさっきまで空腹だったお腹がこれを見たせいで一気に食欲がなくなった。
「ところで昨日も聞いたけど、君はその老人に面識がないの」
「ああ、あの爺さんか?いいや全く、むしろ俺の食料を食ったがめついじじいだ。今度会ったら一蹴り入れてやる」
そう愚痴をこぼしながら栄治は舌打ちをするが、歳三には彼よりも彼が常に腰に差している太刀が気になった。
「ねぇその太刀ってその老人の?」
「ああ、ボロイが現時点で俺が持ってる道具はカバンとこれしかなくてな・・・・・さび付いているけど昨日みたいにいつ魔物に襲われたらあれだから・・・・常に携帯することにした」
「ふ~~~~~ん(・・・・・・・・・昨日彼が寝てる間に改めてこの太刀を見たのだけど・・・あの黒塗りの鞘に柄の黒綿巻にあの独特の刃紋忘れるはずもない・・・・・あの男だ・・・・・・でも、しかしなぜ顔を見せないんだ?)」
歳三はなにかを察したかのようにあの老人の正体に感づいたようだがそれについては栄治は知る由もなかった。
そしてそう考えるうちに食事を終わらせ歳三は次の仕事である近場の村に米俵とその他の食材を運ぶ為の荷馬車を用意しようと準備をする。もちろんその仕事も栄治も手伝いなんとか愛用の馬に荷台を連結する。
「それじゃ米を取りに行こうか・・・・・」
「え、俺も行くのか?」
「当たり前よ。君にはこの世界の事を色々知って貰わなければいけないからね」
「まぁ、そうだけど」
栄治は行きたいのは嬉しく思えているのだが、その半分は昨日みたいにおっかない魔物と出くわさないか不安でしょうがなかった。
「まぁなにも起きはしないわよ。こっちには魔除けのお香があるからね。まぁそれが効かなかったらこれで屠るしかないね・・・・」
「ああ・・・・・」
物騒そうに腰につけている刀を見せながら荷馬車を動かせるが栄治はあることに気づく。
「なぁ俺らがこの場所を出て行って大丈夫なのか。もし不在の時魔物が出入りしたら・・・・」
「それは心配なく、実はあの家一帯には複数の結界を張っているから弱い奴なら到底入ることはできないはずよ」
「ああ、なるほど・・・・・だから昨日の夜はあんなに静かだったんだ・・・・」
歳三いわくあの一帯には魔除けのお香と同じ質で形成されている結界が張られている。
彼女はこの異世界にて一年で魔法という概念は詳しくないが、下山先の村の住民に魔法を知りこの一年農業と共にそれを極めており、今ではこの世界の初級魔法と結界魔法をある程度身につけれることが出来たのだ。
そしてしばらく走らせると歳三が張った結界の領域を変えて周囲の空気はうってざらざらとした空気に変わりそのまま下山することになった。
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