第4楽章 『にゃんこ侍とH氏』
「にゃんこ侍氏ぃ…………。昨年の
「にゃんと………同士H氏。それは、お主に時代が追いついていないからでござる。きっと将来は、戦艦や、お城の擬人化とか流行る日が来るでござる。その日が来るまで拙者たちは臥薪嘗胆の日々でござるなッ」
「同士にゃんこ侍氏……妄想乙にゃり。さすがに戦艦擬人化とか無理あるにゃり。だって戦艦でかいし。刀はありだけど。戦艦はちょっとないにゃりねぇ~。にゃんこ侍氏も現実を見るにゃりよ」
「お……お主…………。言うに事欠いて…………拙者の名著、戦艦娘~暁に死す~を愚弄するかああああッ! ここであったが100年目死ねぇっ!!」
「ぎぃえええええええぇぇぇぇえええ!! 死んだにゃり~~~~~~!!!」
H氏がテーブルの上でテンション高く
暴れたせいで、紅茶の入ったポットを
床に落としてしまった。
「ご主人様ぁ。ちょ~っとだけお静かにして欲しいにゃん☆ まわりのご主人様たちが会話ができなくなるからお願いにゃん☆ おねがいにゃん☆」
「「しっ…………失礼しましたああああ!!!! 土下座ぁッ!!!」」
ガツン
勢いよく謝罪をしたせいでテーブルに頭を打ちつける。
どうやら、お給仕してくれたメイドさんは新人のメイドさん
だったようで、あまりのH氏のオーバーリアクションに
若干顔が引きつっている。頑張れ、パーラーメイド。
銀髪の少女が、遠くの席から覗いていたが、
あまりの光景に声をかけるタイミングが
分からずに唖然として、目を下に向けて黙りこくるのみ。
それにしても。うーん。このノリは。
うーん……2005年通称『黄金期』のノリ、
なのかな? ちょっと……ついていけないかも。
原典世界の物語に目を通していたので、
そういう文明があるということは辛うじて
知ってはいたが、あまりの光景に言葉を失う。
ここが地獄だ。ここで跳べ。
「同士にゃんこ侍氏ぃ。最近の悩みを聞いて欲しいにゃりよぉ~」
「うむ。同士H氏、拙者で良ければ何なりと言うが良いッッ!」
「助かるにゃり。実は最近夜しか眠れなくて…………ぼふぉっ! ってここは笑うとこにゃりよおおお!」
「セルフボケ & セルフ突っ込み乙!」
「このネタ。ぼけったーで6RTももらえたネタにゃりよぉ~」
「なぬうぅぅぅ! おおお………本当だ。お主ぃいいいやるなぁ!」
「ところで、同士にゃんこ侍氏ぃ相談いいにゃりか? 抱き枕のことにゃりよ~」
「だだだ…………抱き枕あああ!? あの2次元キャラクターを3次元世界に顕現するという禁じられた禁忌の錬金術ッ!! なお、禁じられていると禁忌で言葉が重複しているとか細かいことを突っ込む奴は100叩きなりいぃぃいい!!」
「ふふふふふ…………。甘いにゃりよ。ただの抱き枕じゃないにゃり…………キラーン☆」
「ままままさか…………同士H氏。抱き枕のこっ…………股間に■■■を入れるという魔改造仕様…………ふひっ? ネットでみたにゃり。ふひひひひひひひ」
「貴様あああぁぁぁあああ!!! 歯を食いしばれぇ!! だからおぁ前はぁ…………アホなのだぁぁっっ!! 貴様は萌えの何たるかを分かっていないぃ! 萌えと性は混ぜるな危険! それはさながらショートケーキにカレーソースを掛けるが如き愚行ッ! でも最近はポテチチップスにチョコレートソースかけたり柿の種にチョコレートソースをかけるのもあるけどそれは結構おいしいよねえええっってそんなことはどうでもいい!! 先人たちは二次元に愛を見出し! 萌えというより高い次元へ昇華させてきたのだ!! それを貴様は嘆かわしい!! 卑怯者!! 恥を知れ!! 貴様それでも帝国軍人かぁあああぁ?! だいたい最近流行りの獣人ブームはなんだ! ただ人間にミミをはやしただけで獣人を騙るとは嘆かわしいッッ! 至高なのはメイドインアビスのななちだろッ……!! けもミミと尻尾を生やしただけで獣人を語るとは おお勇者! にゃんこ侍よ! そんな亜人に萌えてしまうとは情けない! でもまぁ…………ぶっちゃけ確かに狼と香辛料のホロとかかわいいと認めざる負えないよね。だってわっちとか廓言葉使うんですよ。おまけに声優はCCと同じじゃないか、そして相手はルルーシュ君、なんだよこの作品はコードギアス番外編か!? アマプラビデオで流し見してたら、あれっ? コードギアスにこんなシーンってあったっけってなったわっ!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 煩悩の数は108つ!! 右の頬出したら左の頬も差し出せ!! 歯を食いしばれぇ!!!!!!」
にゃんこ侍さんは床に三つ指ついて
床にひれ伏し、H氏の演説に涙を流し、
許しを乞う。
「申し訳ございませぇん…………。すべてはぁ拙者の未熟さ故…………。死んで…………死んで詫びますうぅう!!」
丸めたエロゲのポスターを刀に見立てて切腹を行う。
何という…………。茶番。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 同士にゃんこ侍氏ぃいいい! 貴殿の見事なハラキリ見届けたにゃりぃいいいい!」
「ところで同士H氏。さっきの抱き枕の話結局どういう話なり? 拙者気になるなり」
「ふっふっふっふ。聞いて驚くが良い。刀に擬人化した刀剣娘ちゃんのシーツを被せて一緒に寝るにゃりん。ダモクレスの剣の逸話を知っているにゃりか? ぶっちゃけディオニュソスの剣と名付けたほうが正しいと個人的には思うにゃりがそーんなことはどうでもいいにゃり! 王者としての胆力を鍛えるため玉座の上の天井から細い糸で剣を吊るし、常に死を意識することによって胆力を鍛える高等技術! 死中に活を求める生き方こそ漢の生き様にゃり。 不殺といいながら鉄の棒で頸部を強打するのは許されないっ! というか、普通に半身不随とかになるよねあれって、これはどうでも良い話。…………つまりは、自分で作った愛刀と自分で描いた二次元嫁を愛で、愛しつつ、温故知新、過去の王の試練を応用した胆力を鍛えるる高等テクニック!! 一粒で二度おいしいどころか三度おいしいという超トレーニングにゃり!!」
モブA「オイオイオイ」
モブB「死ぬわアイツ」
メガネ「ほう刀に抱き枕シーツですか………。たいしたものですね。鞘から抜いた刀の殺傷効率はきわめて高いらしく、レース直前に帯刀するマラソンランナーもいるくらいです。それにロりっ子巨乳に制服とパジャマのリバーシブル仕様。これも即効性の高い萌え要素です。しかも、ほのかに赤らめた恥じらい顔も添えていてバランスもいい。それにしても就寝前だというのにこれだけ危険な組み合わせができるのは超人的な妄想力というしかない」
「よし………と――って。お…………お前たち一体誰にゃりかあああッッ!」
謎の人たちは言う事を言うだけ言って各々自分のテーブルに戻って行った。銀髪の少女は手持ち無沙汰で今やパフェも完食し、ショートケーキとチェキ付のオリジナルカクテルの注文に入ろうとしている。
「同士H氏。さすがに拙者もやめておいた方が思うなりよぉ。刀鍛冶師のお主が、自分の愛娘でもある刀に対して(性的な意味で)愛情をもって接することに拙者は文句を言うつもりは毛頭ないでござる。実際全世界刀コンペティション。通称カタコンではH氏は10年連続の壁サークルを許される前人未踏の快挙を達成しているなり。H氏の代表作、輝く剣は炎バージョン、氷バージョンのどちらも刀マニア内では刀剣の歴史を変えたとも言われる逸品。ファイアー & アイスの2バージョンの輝く剣を購入すると限定10名にプレゼントされる夢剣。これもなかなかの評判だったでござる。拙者も額縁に入れて飾っているでござる。なのであるが、刀は愛でるとともに、こちらの命を奪う可能性もある、飼い慣らすこたができない、にゃんこのような存在であることを忘れてはいけないなりよ。 要約すると、危険だからやめといたほうがいいよ。死ぬぞまじで」
「正論にゃりぃ~」
「あなたは生きたいですか? それとも死にたいですか?」
タイミングを見計らっていたのか、少女が話かける。女性に話かけられたら、普段だったらきょどって、まともに返しができなかったかもしれない…………だが、H氏は知っている。これは、アニメのネタを振られているということに! ラッパーがリリックでディスられたらリリックで返すのが作法であるように、アニメネタで喧嘩を売られたら、アニメネタで切り返すというのはもはや聖闘士にとっては常識ッ!! これは民明書房にも載っている!!!!!
「ぐああああッッ!!! そっ………その台詞は煉獄少女主人公の決め台詞ぅ…………?! おまけにそれは第肆期23話Bパートの親友に告げる特別バージョーン!!!? しかもしかもその台詞を語るのは、致死性の高い白銀ロりっ子!! しかもしかもしかもしかも1000年間コールドスリープしているから1000歳以上で成人しているから18禁的なシーンもオッケー的な年齢制限を掻い潜り条例の網をかいくぐる仕様だとおおおおッッッッ!!! そういや昔のエロゲとかそういう設定乱用していたよねっ! あきらかにおまえ小学生だろというイラストで、いや成人しています(笑)よ的なッ!! おまけに低身長という設定もハーフリングという種族的な設定にして切り抜けるという合わせ技!! そ…………それならこう返すにゃりッ!!!! 『いいえ……。うちはもう死にとうないっちゃ。だって今のうちにはあんたという大切なパートナーがおるんやからなぁ。はっは』にゃぁああああ!!!」
「さすが!!!! 同士H氏!!! 参期目は通称『惨期目』と言われ離脱者続出した視聴率2%。円盤予約300枚の爆死アニメ最新話の台詞も完全再現!! 突然の謎の少女のアニメ台詞の無茶振りも一刀両断!!! そこにしびれる!! あこがれるぅうううう!!!」
「さ……流石ね。ミ…ミィーの負けにゃん。さっきの話立ち聞きしてたにゃん。死にたくないにゃら、刀に抱き枕カバーを掛けるのはやめておいた方がいいと欲しいにゃん☆ ミぃーとの約束にゃん☆」
「「「「了解でござるうううううぅぅぅ!!!」」」」
関係の無い人にまで了解されてしまった…………。
少女は言い放って、逃げるようにお店を立ち去った。
お店のポイントカードは作っていったようだ。
「ふふふふふ。拙者…………。三次元の波動に目覚めそう也よおおお」
「同士にゃんこ侍。それは修羅の道。我ら紳士同盟の合言葉は…………」
「「YESロリータ! NOタッチ!」」
お給仕していた新人メイドさんが半泣きになっている。
…………あっ、これ明日あたりに辞めるパターンだ。
ひとしきり楽しんだあとに店を出る。
「へぱいとすお兄ちゃん。にゃんこ侍お兄ちゃん。また遊びにきてね~☆」
「了解にゃりぃ~」
「拙者も了解なりぃ~」
お兄ちゃんなのか、ご主人様なのか、
旦那様なのか、決め切らないファジーな設定も
試行錯誤の黎明期の特徴であったとさ。
そして、刀ショップとか、武器商店とか、
ケバブとか食べて帰った。
寝る瞬間にへぱいとす氏はこうつぶやいた。
「あのロリっ子も言っていたけど、常識的に考えると、やっぱ枕カバーに刀入れるとかありえないにゃりね。死んだら終わりにゃり。ダモクレスの剣とかぶっちゃけアホな発想にゃり。危ないから普通に寝るにゃりよ」
そして普通にロングピローにロリ巨乳っ子の
枕カバーを被せて、それを抱きしめながら
ぐっすり寝てまた聖地に繰り出したとな。
めでたし☆ めでたし☆
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