第五章22 『ヘルメス決戦――その後』

教会内番号保有者ナンバー・ホールダーズ円卓会議ラウンドテーブル


◆◇◆◇


「ヘルメスの一件はうちの想定外やったわぁ」


「まさか僕たちが送った保険が役に立つとは思わなかったけど、ね」


「せやなぁ。うちたちの想定外やったなぁ。うちはガレスの矢で天使は片付くと思っとったわー。ちぃっとばかし、うちの見積もりが甘かったゆうことかなぁ?」


「――マサカ御遣イ様ガ負ケルトハ」


「ま、超越者でも死ぬときゃ死ぬっつーことだろよ。所詮、二枚羽の天使ということだわな」


御遣みつかい様を殺すとは何とも度し難い行為ではあるが、下層アンダーレイヤーの人間に殺されるということは、我々のうやまっていた存在もその程度であったということだ」


「お主ら……ちいっとばかし不敬だぞ」


「まぁまぁ。結果としては俺ら的にはラッキーだったんじゃねぇか。サイコロの目を10回振って全て6が出てるような馬鹿ヅキだぁ」


「疫病神である制御不能ベオウルフとロストナンバーの桐咲がこの国からいなくなってからは何もかもうまくいくわね。あいつら呪われてるんじゃないかしら……」


「ところで、制業不能の監視はできているのか?」


「あいつねぇー。風の噂じゃぁー各地を転々としているみたいよぉー。何をしているかは不明ねぇー。またどっかの街で博打でも打っているんじゃないかしらぁ?」


「はっはっは! 吾等われらに損害がない限りはほっておけば良い!!」


「教会が管理している召喚門セフィロトわぁー、一なる門ダアト。その制御権もぉーロストナンバーミトスフィア・ミーリアを使えば制御可能ぉー」


「帝政テスラ、覇道国ニコラ、辺境国ルルイエ、永世中立国ヘルメスの四か国が連合を組む動きもあるそうですよ。引き続きの警戒は必要です、ね」


「四カ国の大連合の根回しをしているのはあの礼拝堂の生き残りか――」


吾等われらが組めるのは神人達の国ヨグソトスくらいしかなさそうじゃな」


「さしたる問題ではあるまいよ。四カ国連合と言えど警戒すべきは覇道国ニコラくらいか」


この国イリアスも教会の卒業生に指示をだしさえすれば想いのままよ」


「そのために長い時間をかけ、一般社会に溶け込める聖徒を育てたのだ。国の主要な施設には潜り込ませてある。いつでもこの国を教会に染めることが可能だ」


「ははは。それはまぁタイミングを見てという感じですね。急いては事を仕損じるとも言いますし、ね」


「せやな。果報は寝て待てや」


「そうねぇー。全ての鍵はわたしたちが握っているのだからぁー」


「あとはロストナンバーの忌書の解読が完了すれば全て片が付く」


「それにねぇー。いざとなればぁ、この国イリアスがどうなろうがわたしたちには関係のないことかしらぁー?」


「まっ! 解読さえ済めばあとは予定通りに進めるのみさな」


「千年の眠りから召喚門セフィロトを呼び覚ます――」


「我」


「ら」


「の」


「目」


「的」


「は」


「一」


「つ」

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