第二章4 『おっぱいマッサージ』
僕はミミをパジャマに着替えさせるのと就寝前の全身マッサージをするために第零課正史編纂室ミミの寝室に訪れた。
「悪剣遣いを3人同時撃破っていうのはさすがにミミもびっくりしたから、
僕がミミの衣服を脱がせ、
パジャマのに着せ替えている
最中にミミが語り始めた。
僕は脱衣技術のみならず、
着衣技術も
目隠しをされていてでもミミに
パジャマを着させることができる。
「なんか面白いことが分かったの?」
「なんというか報告書読んで
「そうだね。確かに悪剣遣いを3人同時に撃破したのは“生ける英雄譚“の異名にふさわしいベオウルフさんらしい豪快な闘い方だとは感じたよ」
ミミの凝った肩を強めに揉む。
朝起きて寝るまでずっと座り仕事を
しているせいか、かわいらしい容姿とは
不釣り合いなくらい本格的に凝っているのだ。
ちなみに僕はミミが何を研究しているのか
さっぱり分からない。何度かミミの書いた
レポートを読んでみたけど理解不能であった。
「ミミが読んだ感想はきーちゃんの見方とは逆かな。結論から言うね。あの悪剣遣いの3人は闇討ちさせられたんだよ」
「ミミ。させられたってのはどういう意味?」
「そうだね。もうちょい詳しく説明するね。悪剣遣いの3人はあの夜が
「誤認?」
「そういうこと。
人の口には戸が立てられないっていうけど
「なんというか豪放磊落な無頼漢ベオウルフさんとしては意外な闘い方だな。それは傭兵というよりも暗殺者としてのやり口だ」
「まー。
「へー。人は見た目じゃ分からないものだね」
ミミの背中にぴったりとくっつき
後ろから胸を揉みしだきしながら答える。
ミミがどこからか仕入れた情報かは知らないが
“男におっぱいを揉まれると大きくなる”という
情報を仕入れたらしく、それからはおっぱい
マッサージは日々の日課になっている。
どこの誰かは知らないがグッジョブだ。
もみもみ
ただ――いっこうにミミのおっぱいが
大きくなっている気はしないのだけれど。
それを指摘したらおっぱいマッサージを
打ち切られかねないのでこの事実は
墓場まで持っていこうと思う。
ミミ。悪いやつに騙されるなよ――。
もみもみもみもみもみもみもみもみもみ
「きーちゃんはおっぱいばっか揉んでないで他のところもマッサージして!」
という悲鳴とともに裏拳が飛んできた。
裏拳は僕の鼻にクリーンヒットした。
スポンジで殴られた程度の威力だけどね。
「そうそう。たとえば
「人間の頭をたまごのカラのように破壊するなんて人間離れしてるね」
「うん。でもね。よくよく調べてみるとその前に
これ
「なるほど。それで
「どういう手段を使って情報を仕入れたのか知らないけど――。
「
ミミをうつ伏せにして、上から馬乗りに
またがり腰のあたりを集中的に指圧する
「あふぅーん」
とかいう艶っぽい声が聞こえた
気がするがたぶん幻聴だろう……。
ベオウルフさんのせいで僕も疲れた。
それはともかく、ミミは労働時間が長すぎる
せいか毎日マッサージしないと、すぐに
凝りが酷くなるから可哀そうではある。
座り仕事の時間が長いミミにとって腰と肩の
コンディション悪化は特に致命的な問題である。
「結果はご覧の通りね。
「そうなの? 報告書を読む限りは
「断言するけど
1人だったらたいした脅威じゃないけどヤケクソになって1000人とかを隷属されてたら想像できないほどの脅威だよね。
仮に
「確かにね。1000人に襲われるとか地獄絵図だね。
ミミの手のひらのツボを親指で強く押す。
ハンドリフレクソロジーというやつだ。
親指でてのひらを指圧する。
「いいわぁー指圧いいわぁあー」
どうやらお気に入れのようである。
僕も褒められるのは嬉しい。
さすがは僕だ。
ハンドリフレクソロジーでミミの
特にお気に入りなのは、ミミの指の爪を
ちょっとだけ強めに親指と人差し指の
間に挟んでぐりぐりしてから
”キュー……ポン”とやるマッサージだ。
「もっとやってー」
というリクエストがきたので
今日もリクエストに応える。
――キュー……ポンッ
「ベオウルフさんは策士だってことは分かったよ」
「でもね――。本当に
「ミミ。説明を頼めるか?」
「うん。そもそも策なんて最初っから必要ないのに策を
”策は
「ミミがベオウルフさんを苦手としている理由が分かったよ。確かに……可能であれば関わりあいたくない相手だね」
最後に愛情をこめてヘッドマッサージをしていたら、僕の上司のミミはすやすやと寝息を立てたので……疲労困憊しているミミを起こさないように毛布をかけ――僕はアサシンらしく足音を立てず静かに退出した。
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