第四章1  『ユウタ』

 仮想世界MMORPGからの転生者、ユウタは魔人達が

 統治する辺境国家ルルイエの民を虐殺する。


 ――そこは迫害された魔人の隠里かくれざと


「オープン・ステータスウインドウ」


*******************

NAME:ユウタ

LV:723


HP:72193 MP:52193


攻撃力:79219 防御力:89399 

素早さ:76999 魔攻力:45998

耐性:全属性・全状態異常無効


特殊能力:

主人公プレイヤー』取得経験値10倍の受動能力パッシブスキル

勇者ヒーロー主人公補正ご都合主義受動能力パッシブスキル

健啖家グルメ』食べた魔物の能力を修得する受動能力パッシブスキル

美貌ナルシス』好感度を自動で上げる受動能力パッシブスキル

挑戦権トリプル』無条件で相手より3倍強くなる能動能力アクティブスキル

九死九生フェニックス』窮地に陥るほど強くなる受動能力パッシブスキル(上限:10倍) 

残機コンテニュー』100回まで死ねる受動能力パッシブスキル

再戦権100枚のコイン残機コンテニューと対の能力。一手前に遡行そこうする受動能力パッシブスキル

真向勝負ワンマンショー』相手の能力を強制解除する受動能力パッシブスキル

全適正マスタリー』全ての武器を使いこなす受動能力パッシブスキル

*******************


「おー。なかなか成長してきてんな。この調子ならレベルカンストまであっちゅーまだぜ。なんなんだここ。経験値10倍の主人公プレイヤーがあるとはいえ、まるでボーナスステージだぜ」


 ユウタが転生した国は神人たちが統治する国であった。彼は”魔王を倒す勇者”としての命を受け、魔人と魔王の撲滅に向け――ルルイエを蹂躙じゅうりんする。

 

 辺境国相手とはいえ宣戦布告のない戦争行為は明らかな国際法違反、だが勝てばそんな制約は意味をもたない。


 すでに港町インスマス、古都ダンウイッチもユウタによって壊滅させられた。


 恐るべきは転生者の異能――。


「ふひひ。事前情報と違ってこいつら見た目は普通なんだよねー」


 ――ファンファーレ音

 *ユウタはレベルが上がった*


「こんなおいしい狩場は転生前の世界ではソロプレイヤーが独り占めできることなんて不可能だったよなー。転生後の世界は楽勝過ぎだ。ひひひ」


 ――ファンファーレ音

 *ユウタはレベルが上がった*


 逃げ惑う住民を追いかけ――焼き、凍らせ、感電させ、蹴り、殴り、叩き、捻り、回復し、斬り伏せ、抉り、解して、削り、揃えて、砕き、転がし、並べて、千切り、契り――殺す。これが彼の遊戯方法プレイスタイル


「手応えが無さすぎる――。まあ俺が強すぎるだけか。ふひひひひ」


 ――ファンファーレ音

 *ユウタはレベルが上がった*


「ちょっとだけ手こずったのはサハギン魚人もどきと、クラーケン巨大イカもどき、とグロい犬コロくらいか。なんか拍子抜けだなー。ボス級の敵ですらソロで狩れるとか、オフゲーかっつーんだよ。バランス間違ってんぞ――運営」


 ミス 

 *ユウタのこうげきはかわされた*


 逃げ惑う女性の悲鳴――。


「うぜーなー。潰れろ」


 グシャリ 

 *へんじがないたただのしかばねのようだ*


ここの狩場首都アーカムもこれでおしまいか? 経験値はおいしいけどさぁ、雑魚敵がリポップしないのがうぜーよなぁ!!」


 勇者ユウタ玩具おもちゃを取り上がられた

 子供のように癪癇かんしゃくを起こす


「金で買った女奴隷たちは一向にレベル上がらないし、弱すぎて気付いたら全員死んじゃってるし。使えねー。別の街でもっとましな女奴隷補充しないとなー」


 魔人の最後の砦、首都アーカムは壊滅した――。


「さーて――次はどこでレベリングするかな。きしし」


 ◆◇◆◇

 血と硝煙漂う首都アーカムにて


「アーカムも陥落した――ルルイエは壊滅じゃ」


 護衛が命を張って守りこの惨状から

 生き延びたアーカムの市長は告げる


「――被害状況を教えろ」


「女子供も残さず殺された……。一流の戦士もまるで紙切れのように捻り潰され殺された。頼むベオウルフ……我ら魔人の仇を……」


「……。俺は傭兵、報酬次第だ――まずは話を聞かせろ」

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