第三章16 『彼岸花』
「きーちゃん。この礼拝堂の中の様子は、ミミが見遂げてあげるから安心して殺してね」
この言葉が意味するは――この密室を外部から観測する者の証明
「ここは外部の観測者の存在によって密室空間から
「そんな馬鹿な――
――否。この隔絶空間は
ミミの生みだした隔絶空間に上書きされている。
「それでは
「バラバラでぼーぼー燃えてるから絶対死んでる。煙りすごいね」
――外部の観測者によって明確に生物としての死を観測されてしまったシュレーディンガーの猫とヘンペルのカラスはその肉片のまま消し炭になり礼拝堂の床を黒く染め――消滅した。
「馬鹿な……。神人たちが生みだした外法が打ち破られるなんてことは――そんなことがありえるはずがない!!」
「現実逃避は見苦しいよ――美しくない」
「見苦しいだと……そうか――なれば美意識的に使いたくなかったがキミの言う通り美しくない方法を使わせてもらう」
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孤島に十人 舞台は密室
探偵は犯人 犯人は探偵
そして誰も いなくなった
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この『
フランシスは一息で
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『この礼拝堂内にはわたし、プルート、ストラ、ティア、桐咲の5人とは別に、まだ姿を現していない真犯人が1名いる。この礼拝堂の惨劇を引き起こしたのはその真犯人である。この6人目の実存を証明せよ。なお、天井からこの礼拝堂を覗いている観測者はこの人数に含めないものとする』
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ただの詭弁――6人目は存在しない。
存在しない者を証明するのは不可能。
「貴様は苦しめて殺す――その手癖の悪い両手を破壊する」
出でよ――
空中から小型の槍が現出し、射出される。
――槍は桐咲の両手首を貫く。
――両手首の骨が砕かれ両手の指が動かない
「これで貴様もおしまいだ」
《限定的に
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『この礼拝堂内には私、プルート、【ストラ】、【ティア】、【桐咲】の【5人】とは別に、まだ姿を現していない真犯人が1名いる。この礼拝堂の惨劇を引き起こしたのはその真犯人である。この【6人目の実存】を証明せよ。なお外部からの観測者はこの人数に含めないものとする』
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【私】とは誰を指す指示語か
【5人】ではない私も含めて6人
【ストラ】という人間はいないアストラである
【ティア】という人間はいないティティアである
【桐咲】という人物はいない桐咲禊である
【6人目の実存】は――ソフィアである
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《前提が破綻しているため、この外法は
「
――術式が破壊される音がこだまする
フランシスという男の持つ全異能と策がことごとく打ち砕かれる
「死ね――」
――
「やだね」
――
両手が使えない桐咲は、
因果反転により投擲した本人の
心臓を正確無比に貫く。
彼のやったことを考えれば
あまりに――因果応報。
「僕でも知ってるほど有名な武器だよ。二度目は対策するにきまってるじゃん」
臓腑も心臓も破れている人間が生きていられるはずがない。それは召喚者と同格の力を得た
「はぁはぁ……。せめてお前も道連れだ。究極外法――
――
桐咲がそう語り終わると、花弁がボトリと落ちるようにフランシスの首が礼拝堂の床に落ち、代わりにもともとそこに首があったはずの場所から鮮やかな
フランシスが知るはずもないことではあるが手を使わずに足だけでも
手癖だけではなく足癖も悪い――唯一彼が殺人者として他者より秀でているのがこの糸を使った殺人術である。
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召喚者の
おめでとうございます
「
「
「
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