第三章15 『礼拝堂前術式ハック』
「これが
――ミミは礼拝堂の扉の前で
「脳にかかる負荷がきついねー。これだけ膨大な情報の流入耐えられる村人はそんなにいないと思う。ほとんどが意識失ってるんじゃないかな? それでも意識や記憶の
「この部屋は『
「同じような隔絶空間を作る
************
二つの 隠し通路から
孤島に 一人探偵が
双子の 姉妹が犯人で
六感が 犯人を捕える
************
「きーちゃん。術式の書き換えは完了。この隔絶空間はミミの
――ミミの術式上書きにより礼拝堂の扉に隠し通路が形成される
「ミミありがと。それじゃ――行ってくる」
◆◇◆◇
腹部の刺突と臓腑の損壊、顔面の抉れによってフランシスは満身創痍のように見える。だが、それでも男はまだ倒れない
「クソ――。いい加減にくたばれ!」
プルートの全体重を込めた一撃が右腕から放つが、いなされる。目の前には靴底が迫る。気がついた時には、遅い。前蹴りを顔面で受けきり必然――後方に吹きとばされる。
「遊びは終わりです――。お前を殺したあとに残りの2人を人質にしてこの村から一旦撤退します」
――バリィン
硝子の爆ぜる音。
「……どうやってこの空間に割りこんできたのかは知りませんが、死体袋が一つ増えるだけですよ」
突如現れた男を殺すため
フランシスは神速の一撃を振るう。
無駄のない――精緻な一閃。
――ガギィン
「
神速の一撃による衝撃をフランシスに還元される。――反動により
ただの蹴りではない臓腑を破壊するための蹴り。桐咲のつま先がズブリと腹の穴に侵入しフランシスの腹直筋の筋繊維を左右に歪にズタズタに引き裂き内臓を掻きまわす。殺すことのみに特化した蹴り。蹴りの勢いでフランシスは後ろにふきとばされる。
血反吐を吐きながら、
フランシスは
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我が血 既に神なれば
我が身 天に帰する也
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神人――1000年前の召喚者の末裔。自身の命を贄とすることにより一時的に始祖と同格の力を引き出すという神人のみが使える
今のフランシスは召喚者と同格となった――。
「プルートさん――。ティティアさんと、アストラさんをできるだけこの男から遠い場所に引き離して下さい。僕の戦闘に巻き込む可能性があります」
「了解――。桐咲さん……ありがとう」
――最初に出会ったときは頼りなく思えた、あのハーフリングの少女をおぶっていた少年の背中が今はとても大きなものに見える。
「お前は美しいままでなど殺しはしない、お前の手足を引きちぎって、ウジ虫のように床で這いつくばらせてから捻り潰す。
礼拝堂に黒い虎の魔獣と巨大な黒鳥が召喚される。
外部の観測者の存在によって消滅する飴細工のように脆い存在。だが外部の観測者の介入が不可能なこの隔絶空間内においては不死の存在。
その獣が今まさに桐咲を食い殺さんと襲いかかる。
――使い魔とはいえ所詮は畜生。
桐咲の目の前に仕掛けられた
これが
「それで勝ったつもりか。我が眷族は『観測』されるまで決して死ぬことはない。――その証拠にお前がバラバラにした肉片が元に戻ろうとしている」
「厄介な相手だな。
輪切りにされた使い魔に
肉片が再生しようとするそばから燃えていく
――獣の焼けるにおいが礼拝堂に満ちる。
だが眷族達はそれでも死なない。燃え盛りながらも、憎々しげに桐咲をにらみつける。このままではジリ貧だ。
――天井の上に突如術式が浮かび上がる。
ミミは
「きーちゃん。この礼拝堂の中の様子はミミが観測してるね」
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