第三章1  『ジュデッカの転生者――プルート』

 俺の名前はプルート。年は19。前世では常に争いが絶えないジュデッカという世界で農夫として暮らしていた。


 この世界の神話ではジュデッカ僕の故郷は地獄と認識されているそうだ。世界の名前が偶然同じだけかもしれないが、この国の生い立ちを考えるとまんざら関係ないとも言い切れないところだ。


 農夫とか漁師とかも戦争があれば強制徴用されるような荒んだ世界だ。小競り合いなんかも含めれば平和だった時代が無いんじゃないかというくらいに荒廃した世界だ。


 転生することになった直接的な原因は、何者かによる背後からの刺殺による失血死だ。とはいえ、俺が特別な人間だから殺されたという訳ではなく、俺が殺される理由があって殺されただけだ。


 失血死した後は転生部屋で目を覚まして、“投影アップロード”という能力を与えられ、この世界に転生者として生まれ変わったのである。おわり。


――冗談です。もう少し自分語り続けさせて下さい。


 まず俺が殺された理由について具体的に経緯を話させて欲しい。俺は学校に通うことができない近所の子供相手に、簡単な文字を教えたり、英雄が活躍する物語を語ったりと子供相手に遊んでいたのだ――ヒマだったので。


 この日課はあくまでも自己満足の暇つぶし程度の気持ちであった。


 だが、そんなことを許してくれるほど転生前の世界ジュデッカは優しくなかった。転生前の世界では知識や教養というものは、闘争心を損なわせ臆病者にするとして、俺のような下層階級には許されなかったのだ。


 その禁を破り無自覚に教育を施したというのが俺が殺された理由だ。俺の認識としては子供とたわむれて、子守をしたりして、お山の大将を気取っている程度の認識だったのだけど、悲しいかな……許されざる行為と認識されたのだ。


 俺が過ごしていた世界は”無知が美徳”とされる世界だった。露骨に支配階級にとって都合のいい論理である。戦争が起これば強制的に徴用される俺のような農夫は無知である方が扱いやすいと考えてのことであろう。


 このバカバカしい価値観が成立するための最大の前提条件が”被支配階級が無知であること”で成立しているので、俺が殺された理由も理解できなくはない――理屈の上では。感情的には怒りしかないが。


 まぁ、そもそも、飽きもせずに戦争を繰り返している時点で、支配階級の人間ですら俺たち庶民とそれほど知識レベルが変わらないのではないか? という疑問も実はある。


 支配者階級の人間とは直接話したこともないのでこれは想像の域をでないが、本当に支配者側が賢ければ終わらぬ戦争などはしてないよなーとか。思ったりもする。だからこその地獄ジュデッカなのだ。


――ざっくりだがこれが転生前の話だ。


 この世界に転生した時は戸籍など身分を証明できるものがないもので、奴隷階級の棄民きみんとして扱われたので苦労したが、スラムで同じ境遇の奴隷仲間の気のいい男アストラと、優しい女の子ティティアに出会ってからは、大変だけほんとーに毎日面白おかしく過ごせている。正直幸せだ。転生前の世界ではありえないことだ。


 こいつらに出会ってからは、いつも楽しい。生活は苦しいが異世界生活最高である。この異世界で出会った。俺の二人の親友を紹介しよう。


 俺の親友のアストラ。あだ名はストラ。彼はちょっとお調子ものだけど、気のいい青年。外見の特徴だが金髪ショート、緑目で背が高い。そして俺と同じ人族だ。「戸籍がないので正確な年齢は把握していないが20歳くらいかな」とのことだ。


 もう一人の親友のティティア。あだ名はティア。彼女は天真爛漫な前向きな元気っ子だ。容姿の特徴だが、赤髪ポニーテール、青目で、標準体型、そして……おっぱいがでかい!彼女も俺と同じ人族だ。年は18。


 異世界にきてから異種族含めて多くの女性を見てきたが、客観的に見てもティアは整った顔で、かわいいと思うのだ。――そしておっぱいがでかい。大事なことなので二回言いました。


長々と話した自分語りの結論だが。つまり――おっぱいは正義である!

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