第一章13 『歴史3――覇道王ガレス』
異世界からの転生者を味方につけた
国は文明レベルが何段階か進化する。
――そのたびに戦争が起こり大勢の人間が死ぬ。
悲しいけどこれはこの世界の歴史的事実。
転生者のせいじゃなくて人の
「異界の知識や技術はその国の軍事力、文化、経済を発展させるための大いなる福音である。同時に、敵対する国にとっては大いなる災いにもなる存在じゃ。だから各国は異世界転生者を
その秘匿された異世界転生者を殺すのが
きーちゃんとミミの第零課正史編纂室――。
「具体例で説明しよう。8年前に小国ニコラと、大国エディンスとの間に戦争があった。単純な戦力差で言えば小国ニコラは大国エディンスの10分の1程度の戦力しか保有していなかった」
あまりに圧倒的な戦力差。
ミミも当然だけど小国ニコラが
無条件降伏すると思っていたよ。
「当然ながら小国ニコラは蹂躙されるか、無条件降伏するかのどちらかだと思われていた。だが、結果は違った。小国ニコラが10倍の戦力差のある大国エディンスを武力で下し、その支配下に置いたのじゃ」
これはミミも素直にびっくりした。
戦争の勝率は
だから局地戦ではなく――総力戦において、
小国が大国に勝つのは確率的にあり得ないこと。
もちろん少年向け
1万の軍が10万の軍を天才的な奇策で
倒したという話はあるけどね。それは物語のお話。
この世界の戦争の基本原則はこんな感じかな。
この原則は、悲しいほどに
【局地戦:戦闘力=武器効率 × 兵力数】
【総力戦:戦闘力=武器効率 × 兵力数の2乗】
――異世界転生者の介入を考慮しなければね。
兵力数が10分の1の小国ニコラが”総力戦”で勝てた
ということは、この数式に当てはめると”武器効率”が
異常な値になっていたという事を意味するね。
「その際に小国ニコラの軍を率いたのは異世界からの転生者、
異世界からの転生者
彼のもたらした
は、この世界の戦争のありようを変えた。
対人兵器、対軍兵器、対城兵器という
概念に加え――。対国兵器という概念が
この世界に生まれた瞬間でもあった。
ただ皮肉なことに、
世界では、戦争の絶対数は減った。抑止力という
観点ではうまく機能しているのかもしれない。
幸いなことだが
あの戦争の後に
他国に対して使うことは無かった。無駄に血を流すことに
愉悦を感じる人間ではないのはラッキーだったね。
「そのような異世界からの脅威を秘密裏に暗殺することを目的としている組織。それが”
いまこの教室で惰眠を取っている
きーちゃん。授業聞いてなかったのね……。
そう。きーちゃんとミミの2人だけの部屋
それが第零課正史編纂室――。
「異世界からの転生者は他国にとっては災いであるが、自国にとっては
とはいっても脅威に対して、全く対策をしないのは対外的に
”地球”という異世界からの転生者峰岸亨の
殺害の件については、教会内でもごく一部の
人間しか知らない事実だ――。なので、
きーちゃんにはずっと肩身がせまい想いを
させることになっちゃうね。ごめんね。
「今日の授業はここまでじゃ。次回の授業は旧支配者と異界の神との戦争で使われた兵器について説明する。宿題は忘れぬように」
ふぁー。さすがに眠かった。
ミミの部下のきーちゃんなんて、
授業中ほぼ寝ていたし……。
おっと、きーちゃんが授業から戻ってくる。
ミミとお風呂一緒に入ってくれるって
約束してくれてたからいまからたのしみだなー。
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