第一章12 『歴史2――魔人と神人』

 うとうと……。やばいやばいやばい。先生の話を聞いてたらミミ寝ちゃうとこだった。子守り歌かな? 気を引き締めて集中して聞かないと。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


「それがおよそ800年前の出来事じゃった。ちなみにこの異世界からの召喚者……つまり異界の神の血を引く血族達は神人と呼ばれておるの」


 そう。召喚者たちの血脈を引いているものは

神人と呼ばれている。ちなみに召喚者というのは、

きーちゃんと同じように異世界からきた存在。


 異世界転生者が無作為の選定者ノーマルガチャだとすると、

異世界召喚者はシオンに選ばれた存在星5確定ピックアップガチャ

転生者と召喚者の違いをザクっと説明するとこんな感じだね。


《真面目そうな生徒が先生に質問》


「シオンは1000年前の歴史にも800年前の歴史にも登場しています。シオンは不老不死だったということでしょうか?」


「うんうん。良い質問だね。まず最初の質問について答えよう。全知者シオンは召喚者達の異界のなんらかの技術で延命していたようじゃ」


 シオンは老化を止めていたんだよ。

てろめあ――とかいうのを不活性化して。

不老だけど不死ではないね。


「もう一つ質問ですが、現在も召喚門セフィロトはこの世界の各地に現存しています。そのような危険な物をなぜ今も破壊せず残しているのでしょうか?」


「それはあの召喚門セフィロトを破壊すれば異世界との繋がりを完全に制業不能になるためじゃな。あの召喚門セフィロトは簡単に言うと蛇口のようなもんなんじゃ。厄介なのは一度蛇口を開いたが最後、蛇口を完全に締めきることはできないという点じゃな」


 シオンっておっちゃんのせいで

バベルの図書館アカシックライブラリとこの世界が

強制的に紐づけられちゃったせいだね。

だから、この世界の独立性はその時点で

損なわれてしまった。永遠に。


 好む好まざるに関わらず多元可能性世界の

介入を許してしまう破綻した世界。

それがこの世界の真実。


《真面目そうな生徒が先生に質問を続ける》


「実際の蛇口を壊せば水が溢れ出すように、召喚門セフィロトを壊せば更にこの世界と異界の繋がりが強くなってしまうということでしょうか?」


 世界の独立性どころかそうなったらもはや

どんなカオスになかミミにも想像つかない。 

それにしてもこの生徒真面目過ぎるね……。


「その認識で正しい。この10年の間、再び異世界転生者とおぼしき存在が目撃されるようになっているのも全知者シオンが召喚門セフィロトにかけた封印が弱まっているせいだと考えられておる」


 召喚門セフィロトの封印が弱まったことだけが

その原因とミミには思えないのだけど……。

ミミも仮説段階だから何とも言えないや。


「異界の知識や技術は国家間のパワーバランスを崩すこともある。逆に言えば、この知識や技術を独占できれば、弱小国も大国の仲間入りできたりもする可能性もある」


 そうだね。異世界転生者をうまく使えた

国は文明レベルが何段階か進化する。


そのたびに戦争が起こり――大勢の人が死ぬけどね。

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