第零章11 『不穏な気配』
ひとけのない深夜の裏路地
カッツェが何者かが背後から近づいている気配に気づく――。
「ご主人様……ボクたちの背後に誰かが尾行している気配がするにゃ――。ご主人様にはこのまま背後の存在に気づいていないふりをしてふり返らずボクの話を聞いて欲しいにゃ……」
カッツェのシーフとしての職業スキル”
――カッツェの勘はいつもよりさえわたっている
「俺を狙った盗賊か暗殺者の類か。カッツェと俺の二人がかりならなんとかなりそうな相手か?」
カッツェはフルフルと首を振る
「ご主人様のご好意は本当にありがたいにゃ……。だけどこの気配、かなりの手だれにゃ。そして相手の狙いはご主人様。
夜目の使えないご主人様を護りながら、この狭い裏通りで闘うのはちょっとボクには厳しそうな相手にゃ……。
ご主人様には出来る限り距離を取って、まずはご主人様の身の安全を確保して欲しいにゃ」
カッツェの状況判断、戦闘における勘にはいままで何度も助けられた。カッツェを一人残すのは心配だ。だが、俺がいることでかえって足手まといになりカッツェを危険にさらすことになるのは必定――歯を食いしばり俺は答えた。
「分かった――。力に成れずにすまない。カッツェなら万が一ということは絶対に無いとは思っているが、
少しでもヤバそうと感じたら――真っ先に逃げてくれ。深追いは厳禁だ。カッツェの身の安全を最優先に考え行動してくれ」
カッツェの足手まといにしかならない俺が情けない――。
「もちろんにゃ! ご主人様が勇気をだしてデートに誘ってくれたこんな素敵な日に怪我をするつもりはないにゃ!
ちょっと引っ掻いてやったらとんずらするにゃ☆ ご主人様は安心して先で待っているにゃ」
「――。力になれずすまない……。カッツェもすぐに逃げてくれ」
「そこは『すまない』じゃなくて、『ありがとう』って言って欲しいところにゃん☆」
そう言ってカッツェはかわいらしくウィンクをして僕を見送った
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