第零章10 『アラフォーおっさんの人生初デート』
――というようなソフィア先生のアドバイスもあり“作戦会議の打ち合わせ”という名目で、カッツェちゃんをデートに誘うことにした。
アラフォーおっさん――驚愕の人生初デートである!
なおデートに誘う場所はズバリ! ソフィアに教えてもらった。
ソフィアお勧めの街一番雰囲気のいいBARを予約し――決戦の日に備えた。
◇◆◇◆◇◆◇
「きょっ…今日は夜遅くに呼び出してすまんなカッツェ。明日のダンジョン探索の相談をしようと思って誘ったのだが……。やはり迷惑だっただろうか?」
――しまった! しょっぱなから噛んでしみゃった!
テンパり過ぎて心の中でも噛んじゃった!
「誘ってくれてありがとにゃ☆ でーとに誘ってもらってボクも嬉しいにゃ」
「カッツェよ。これはデートではないぞ! あ……あくまでも、さっ作戦会議だから…。そういう……下心は決してない……ぞ!」
目の前のカッツェは小悪魔的な悪そうな顔でにやにや笑っている。小さくぴょこぴょこ動く猫耳がかわいい。やばい俺の心臓がヤバい――。
「ふーん。そうにゃのかー。ボクの早とちりだったにゃ。恥ずかしい。うるうる。ご主人様はボクのことが好きじゃにゃいんだね」
「いやー。まあ……。その! 下心が少しなくはないというというか、カッツェが来てくれたことは素直に嬉しいしぃ……その――。つまり何が言いたいのかと言うとだな。カッツェの誤解ではないぞ!」
テンパりつつも一応想いを伝えることはできた。
カッツェはちょっと悪そうな顔でにやにやしている。
――。そこでちょっと横やりが入った
「大賢者のだんなー。いちゃついているところ水差してわりぃー。向こうのお客様から大賢者のだんなに感謝の贈り物だって預かっているんだけど。どうするよ? けっこー値打ちのする酒みたいだぞ」
(地元限定の)大賢者と呼ばれるようになってから、知らない誰かから贈り物をいただいたりすることはわりと日常的になってきている。ありがたい話である。スイーツ系の贈り物は主に4人の仲間の胃袋に入っているが――。
とはいえ金ぴかの王ではないのだから慢心はいけない。慢心は死亡フラグに繋がっちゃうからな!
「凄くいいお酒にゃ! エリーゼ産プラチナマタタビ酒30年ものにゃ!」
「ほう。酒の銘柄はあまり詳しくないがそれほど良い酒なのだな。それではありがたく好意をいただこうか。店主よ贈り主には感謝を伝えておいてくれ」
「大賢者のご主人様でも知らないことがあるにゃんて意外にゃ☆ それにしてもご主人様が街の人気者でボクも嬉しいにゃ! それじゃあ。 早速乾杯にゃー!」
「「かんぱーい!」」
その後――。いただいたお酒が結構度数の強いお酒だったせいか、情けない話だが――べろんべろんに酔っぱらってしまった。
アラフォーにもなりお酒の飲み方も心得てないとは――我ながら情けないはずである……。転生前の俺はいったいなにをやっていたのであろうか?――それは考えるな!
マタタビ酒が効いているせいかカッツェが上機嫌でめちゃめちゃ絡んでくるのが嬉しい。なんというか――これ恋人っぽいぞ!
さすが猫科獣人――。やはりマタタビには弱いのか……。とにかく今日のカッツェはかわいい。いやいつもかわいいんだけどね。どこの誰かは知らない――謎人よ。粋な贈り物をありがとう!
「カッツェよ大丈夫か? 足元がふらふらだぞ……。仕方ない肩を貸すぞ」
――という言い訳でさりげなくボディータッチだ!
「ボクもう歩けないにゃー。ご主人様のとこ泊めてもらってもいいか……にゃ?」
「おっ……おう! もちろんだ! 問題ないぞ! 泊まりにくるがよい!」
「むー。ご主人様えっちなこと考えてにゃいかにゃー?」
「けっ…決してそんなことはない……。ないが。泊まって欲しいと思う――ぞ!」
「ご主人様がそこまで言うなら……。よろこんで泊まらせてもらうにゃ☆」
「えっ? マジで!?」
――心の声が思わず口から出てしまった……。酒に飲まれ過ぎだ
頭の中が真っ白になった。何を話していいか分からず沈黙が続くが……。
悪い感じではない。
俺の方によたれかかってくるカッツェはの胸の感触と吐息がこそばゆい。
アラフォー俺氏。異世界にてついに男になる!(仮)
おっさんは心の中でめっちゃガッツポーズしたのであった――。
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