20.「人」

寄せ集めの記憶で 人を装う

取り繕った仕草で 人を演じる


装うにはそれくらいで充分だった

いつまでも演じられる自信もあった


なのになぜ? だのにどうして?


人ではないと教えられる

人ではないと諭される


それは 優しい言葉の一つも吐けないからだと

それは 一人で居てばかりでは無理もないのだと


分からなくなった 次に何を言えばいいのかを

知りたくなかった 誰も一人ではないことなど


人なら容易に生きられると思ったのに・・・

人なら難なく死ねると思ったのに・・・


いつしか装うのでなく 生きるようになっていた

いつから演じるのを止め 人になろうとしたのか


優しい言葉の一つでも言えるようにと

誰か一人ではなく 誰とでも居たいからと


自分だけの記憶を紡いでいった「人」は

自分らしい仕草を覚え いつか私となった

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