19.君との遭遇

地上絵を描く 君に関する全てのことを 我我の手で


君と遭遇したのは 異星の者としては恐らく我我が最初

だから 君と話したのも 我我が初めてに違いない


君の姿は 人間と呼ばれるものに非常に近い

そして 君の声も 人間の出せる声域の範囲内であるからして・・・


友好の証としてだろうか 君は手を差し伸べてきた

我我の中の一人が握手をすると 君は顔をほころばせた


我我は家なる所へと招き入れられた

その中で 君以外の人間を見ることになった

だがその者たちは 小さな枠の中に収まっていて まるで動かなかった

そういう物がここには多くあった


君は 我我の話を聞きたがった

聞いてもつまらない話を 目を細めて聞いていた

時折 小さな枠の中の者たちへと 目を遣ることもあった


我我の話を聞き終えると 今度は自分の番だねと 君は言った

君のことを知るうちに この惑星のことも段段と分かってきた

星はもうすぐ終わり 君は この星の最後の住人ということだった


見送ると言う君を 我我は共にと誘ったが 君が断ることは分かりきっていた

我我は 別れの言葉を言ったが 君は またねと言った


回る円盤の中から手を振ると 見る見る小さくなっていく君が 大きく腕を振っているのが見えた

惑星の最高度の輝きを背に 我我は帰った 故郷の星へと


我我は描いた 我我の星に 人間がやって来た時のために 

君という人間と遭遇したという証を 地上絵として・・・

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