6.泥む私と不知な僕

「本当の」にこだわる私・・・ 優しさに 詩に


本当の優しさは 願いや 祈りの中に

願う人の合わせたその手が 祈る人の手のその仕草が

本当の優しさであると なぜかそう思える


本当の詩を書けない私は 詩人ではない

詩は学んで書くものではないと

書かれた詩に優劣などつけようがないと

誰もが誰しもが詩を書けるのだと

分かっているからこそ 私は詩人ではないと思う


「本当の」を知らない僕・・・ 愛と 死と


本当の愛を 思い出の中に探す

そこにきっと見つけられると思うから・・・

その泉では 贋の愛と 嘘の愛が提示されるだけ

だからお話の通り どちらも違うと真実を述べるだけ


本当の死は 悲しみを孕むもの 嘆きを生むもの

暗い部屋に灯された光は 静かに揺らぐ

窓に打ち付ける雨は 激しさを増す

ふと前を向いた拍子に 何かが頬を伝った――

本当に誰かが死んだ時 慰めてくれるものなどあるのだろうか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る