8.無念

その時 そこで 泣けなければ 人ではないと

その時 そこで 笑えなければ 人ではないと


私は そう思うのです


だから あの時 あそこで 泣けなかった私は

ならば あの時 あそこで 笑えなかった私は


人でなし だったのだと思うのです


泣くには 何が必要でしょう?

悲しさや 虚しさ 時にやるせなさ でしょうか?


笑うには 誰が必要でしょう?

家族や 友人 偶に赤の他人 でしょうか?


人でなしのこんな私が 泣くためには 笑うためには・・・


私は こう思わずにはいられませんでした


なぜ 私は ひと欠片でも 感情を持たないのだろう

なぜ 私には ひとりでも 笑い合える誰かがいないのだろう


そう思うと 涙が出てきて 止まりませんでした


そう思うと 笑いがこみあげてきて なりませんでした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る