14.開戦・・・、そして敗北

その人は開戦後しばらくして敵国の白旗を奪いました

降参する術を無くした敵国の王は憤慨し その報せを伝えた側近の命を誤って殺めてしまいました

王は とっさのことに動揺しましたが 遺体は玉座の裏に隠すことにしました

ところが それを戦況を報告すべくそこに来た男に見られてしまいました

その男は殺された側近の娘婿でした

王はその男の命まで奪うことはできませんでした

なぜならそのあとすぐに 王を守るべく配備されることになった兵たちが駆けつけてきたからです


夜になっても戦いの激しさは増す一方で 兵の死者数は全体の半分にもなっていました

その数を知った王は残りの兵を戦地に送り込むよう 新たな若き側近に命じました

その側近こそ 王のあの失態を目の当たりにした男でした

王は苛立っていました

そして若き側近は悩んでいました

そんな時 彼の妻が父親に託けがあると二人のもとにやってきましたが 当の本人が見当たりません

父親の代わりに夫がいることを不思議に思い 彼に訳を聞いてみましたが なぜか言葉を濁します

これを見ていた王は なんとも言えない不安な気持ちで一杯になりました

それは若き側近が自分が犯した過ちの事を この女に言うのではないかと心配したからです

「二人を殺してしまえばいい」と王は思いました

しかし今すぐにとは行きませんでした

王を守るために配備された兵たちが彼らの近くにいました

王の苛立ちは焦燥へと変わっていました

側近とその妻の側で王は悩みました

これと言って良い案が浮かばない内に とうとう若き側近が重い口を開きました

その時大きな音と衝撃が城を激しく揺さぶりました


王は死にました

死因は謎に包まれたまま その年の終わりに奪われた白旗が返ってきました

それを返しにきた人物が 奪った人物と同じかどうかも分からないまま その国は敵国下に置かれました

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