君は架空ラジオ
部屋が君の放つ声で満ちる。
僕はテラリウムを連想した。壁は透明になって目を楽しませる細工でいっぱいの直方体になる。世界の透明度が上がっていくなか、面白みのないワンルームの余白に様々なものが配置されていく。
次々と変わる景色が見える窓が浮かびあがる。水の塊が床の上を生き物のようにぽにょぽにょ可愛らしく移動して、部屋の隅に吸い込まれて消える。本棚の隙間という隙間から生え始めるシダ植物は、厄介だがどこまで増えるのか気になる。夢でみたシルクハットの怪人が椅子にかけて、勝手に淹れた珈琲を啜っている。そして、部屋の真ん中に突っ立って僕の分厚い日記帳を高らかに読みあげる君。
毎晩、僕は君に書いた架空の日記を朗読させる。そこには起きなかったことばかり載っていて、君に捧げたい物語がある。
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