金曜の武器職人
ヒールを磨いて漆黒をつくる。今週もやりきった。またコイツを履くのは二日後。
私はせっせと墨を塗り込む。やりすぎってぐらい真っ黒いクリームをのっける。薄汚れたボロ切れでこする。
出来上がっていく黒を見つめながら空想する。ふと、足下を見たとき、そこに一分の隙もない漆黒があると安心する。私を構成するものにも、一つぐらいは本当があると思える。
そのときのために、そういうときのために。
完璧になれ。完璧になれ。私のために、いつかのために、足にくっつけるタイプの闇をつくる。
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