【第6話】 アメリカとロシアと中国の3か国のTOPが、喜びのあまり抱き合っていた。
「 オーマイガッ!!? 」
「 しっ…信じられないっ…!! 」
「 奇跡だっ…!!! 神様は本当にいたんだっ!! 」
NASAの『対巨大隕石用核ミサイル制御室』で巨大隕石を観測していた研究員たちが口々に叫び出した。
オレは、その様子を宇宙空間からスキル【千里眼】とスキル【翻訳】を使って眺めている。
「 なんだっ!!? 何が起こったんだっ!!? おいっ!! オマエ、詳しく説明しろっ!! 」
アメリカのTOPが叫び、研究員の一人に激しく詰め寄った。
「 奇跡ですっ…奇跡が起きたんですよっ!! 神様は本当にいたんですっ!! 」
感極まっている研究員の説明は要領を得ない…。
その(要領を得ない)研究員に代わって別の研究員が、アメリカを含む各国のTOPたちに詳しく状況を説明し始めた。
「 皆さんっ!! 喜んでくださいっ!! 地球は救われましたっ!! 核ミサイル攻撃により、巨大隕石は先端から末尾まで真っ二つに割れ、割れた元巨大隕石は二つとも地球への軌道を外れましたっ!! もう一度言いますっ!! 地球は救われたのですっ!! 」
( まぁ、実際は、オレのスキル【 念動力(サイコキネシス) 】で真っ二つにした後、同じく【 念動力 】で地球の軌道から外れるように動かしたんだけどな…。
(^_^;) )
それを聞くやいなや、各国のTOPたちも研究員たち同様に感情を爆発させた。
「「「「「 WOOOOOOOooooooooっ!!!!! 」」」」」
大声で叫び、ある者は笑い、ある者は泣き、ある者は抱き合っている。
ふと見ると、非常にレアな光景が見えた。
普段ちょくちょくいがみ合っているアメリカとロシアと中国の3か国のTOPが、喜びのあまり抱き合っていた。
…が、数秒してから3人とも『 ハッ!? 』と我に返ったようだ。
素早く離れると、顔を赤らめてモジモジしている…
『 地球が助かった嬉しさのあまり、思わず手近にいた3人で抱き合ってしまったが、数秒経って我に返ったら恥ずかしくなった 』といったところなんだろうが…
( 「 いや~…コワモテでゴツイおっさん3人が抱き合ったり、顔赤らめてモジモジしてる姿は、ちょっとキツイものがあるっスね~… 」 )
どうやら、ファイナ、アイネ、ヒーリスの3人も【 千里眼 】でNASA内部の様子を視ていたようで、今の毒舌の【 思念波(テレパシー) 】はファイナだ。
( 「 ま…まぁ…絵面的には少々あれだが、地球が救われて感極まってたんだろうし… 」 )
…と、なんとなくフォローを入れてみた。
これにて一件落着…と思ったが、研究員の中には冷静な者もいるようで、
「 核ミサイル50発撃っても全質量の0.5%しか破壊できてなかったのに、数百発でいきなり真っ二つになるなんておかしい! 」
と語っている。
だが、周りからは、
「 表面上は大してダメージが無いように見えたけど、実際は内部にドンドンダメージが蓄積されてたんだろうさ! きっと! そんなことより、オマエももっと喜べよっ!! 」
と一蹴されてしまっていたし、考えても結論はでなそうなので、その冷静な研究員も素直に周りと一緒に喜び騒ぐことにしたようだ。
まぁ、とりあえず、地球の危機は去ったし、特殊能力(スキル)もいくつか試せたことだし、異世界(惑星)アルファザードに戻るとするか。
( 「 スキル【 空間転移 】! 」 )
オレが心の中で念じると、オレの身体は一瞬でアルファザードの空中神殿内に戻った。
「 お疲れっス~ 」
「 お疲れ様… 」(ボソッ)
「 お疲れさまでした。 創造主様。 」
アルファザードの女神3人(ファイナ、アイネ、ヒーリス)が出迎えてくれた。
「 そういや、今回はスキル【 消滅 】とか【 爆発 】は使わなかったんスね? アタシはてっきり、あの『 かくみさいる 』の爆発に乗じて、スキル【 消滅 】か【 爆発 】で巨大隕石を消しちゃうものだと思ってたんスけど… 」
オレはファイナからの疑問(質問)に答えた。
「 あぁ…核ミサイルが思った以上に巨大隕石に効いてなかったからな…あの状態で巨大隕石を一瞬で消滅させたら、さすがにNASAのやつらも『 これは変だ! 』って思うだろうからな。 」
「 なるほど~そういうことっスかぁ~ 」
「 頭いい… 」(ボソッ)
「 さすがです! 創造主様! そこまでお考えとは… 」
「 ふ…まぁ、それほどでもないさ… 」
うむ…やっぱ褒められるのは気分がいいな。
…と、ここでひとつ思い出した。
「 そういや、ファイナはお土産に隕石のかけらが欲しいんだっけ? 」
「 へっ…? あぁ…創造主様の出がけにアタシが言ったあれっスか? いや、ほんの冗だ… 」
「 スキル【 千里眼 】、【 爆発 】、【 念動力 】、【 空間転移 】! 」
オレは4つのスキルを連続で使用した!
次の瞬間、オレの手のひらに星形のペンダントが3つ出現した。
「 ほら、お土産。 ファイナだけじゃなんだから、アイネとヒーリスにも一個づつな? 」
「 へっ…? これって、いったい…? 」
「 あぁ…今、スキル【 千里眼 】でさっきの巨大隕石の片割れを視ながら、【 爆発 】で隕石の一部を加工しやすく細かく砕いて、【 念動力 】で星形に加工して、【 空間転移 】でオレの手のひらの上に移動したんだ。 正真正銘、隕石のかけらだぜ? 」
「 えっ…今の一瞬で…!? 天文学的に距離が離れてる隕石を砕いて、精密加工して、空間転移でこの場に持ってきたんスか…。 …ってか、えぇっ!!? このペンダント…チェーンの部分も隕石で作ってあるんスかっ!!? それも3つも… 」
「 スゴイ… 」(ボソッ)
「 今の一秒にも満たない一瞬で、それだけのことをやってのけるなんて…宇宙を一瞬で消す【 大爆発(ビッグ・バン) 】のようなパワー系の能力だけではなく、今のような精密動作系の能力まで完全に制御(コントロール)されているなんて…創造主様の能力(ちから)には本当に驚かされます… 」
「 はは…そう褒めるなよ? 何もでないぜ…ってこともないか…。 ほい、隕石製の星のペンダント、3人分だ。 」
「 ありがとうっス♪ 正直、冗談半分で言ったんスけど、このプレゼント、スゲーすれしいっス♪ 」
「 ありがとう…大事にする… 」(ボソッ)
「 ありがとうございますっ! 大事にしますっ! というか、家宝にしますっ! 」
「 ははっ…家宝は大げさだな… 」
うむ…段々、特殊能力(スキル)の使い方に慣れてきた…ってゆーか、思い出してきたわ。
…と共に、行動や言動がちょっと『 ラノベ主人公っぽくイキってきてる 』ってことを自覚してきた。
まぁ、これからラノベ主人公みたいに地上に降臨して魔王軍を倒す旅に出るんだから、多少イキってるくらいがちょうどいいだろう。
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