【第5話】 巨大隕石を核ミサイルで破壊する作戦がはじまった!! オレは着弾点のすぐそばで、その様子を眺めている…。


三日後に地球に衝突する巨大隕石…オレは今、その巨大隕石の上にいる。


そして、今まさに、地球の科学の粋を集めた対巨大隕石用の核ミサイルが

NASAのミサイル発射基地から巨大隕石に向けて発射された。

(尚、当然だが、NASAはオレが隕石の上にいるなんてことは知らない。

と言うか、まさか宇宙空間の巨大隕石上に人間がいるなんて考えることも

ないだろうが…。)


一発目の核ミサイルが巨大隕石に着弾し、もの凄い衝撃波と高熱が発生したっ!!

これが、もし、空気の存在する地球上だったなら、

『ドオォォォーーーンッッッ!!!』という大音響が響き渡っていたこと

だろう。


オレは着弾点のすぐそばで、その様子を眺めている…。

当然、着弾点のすぐ近くなので、思いっきり核爆発の火球の中に入っている。


スキル『自動防御【完全】』の直径2メートルの防御壁により、衝撃波も高熱も

閃光も放射線も、全て遮断・防御しているから無傷なのだが、

もし、スキルなしの人間・春埼隆人の生身の肉体だったら、

消し炭すら残らずに消え去っているところだ。


…と、ここで、惑星アルファザード(異世界アルファザード)の

空中神殿内から、この状況を『千里眼』で視ているファイナとヒーリスと

アイネが『テレパシー』で話しかかてきた。


「なるほど~…たしかに、『かくみさいる』とやらは、アタシの『極大爆炎魔法

(メガ・フレア)』並みの威力がありそうっスね~…」


「たしかに、スゴイ威力ですね…。

 でも、それを間近で受けて無傷とは…さすがです! 創造主様!」


「完全にチート過ぎ…」(ボソッ)


「まぁ、138億年前にオレが起こした『大爆発(ビッグバン)』に

比べたら…って、比べるべくもないが…。

 それより、オレが『未来視』で視た時は核ミサイルが1000発くらい

撃ち込まれてたから、この後もドンドン来るぞ。」


言ってるそばから、2発、3発、4発…と、次々と核ミサイルが巨大隕石に

撃ち込まれていく…。


「マジっスかぁ~!? 炎の女神のアタシでも『極大爆炎魔法(メガ・フレア)』を

 連発なんてキツイのに、1000発っスか…

地球の魔法兵器はスゴイっスね~…」


まぁ、『地球人』視点で考えたら、一個人で核爆発級の魔法を行使できる

ファイナの方が遥かにスゴイ存在なんだが…


…にしても、核ミサイルなんて、本当はない方がいいんだがな…、

まぁ、今回のような『地球に衝突する可能性のある巨大隕石の破壊を試みる』

みたいな使い方が、唯一の正しい使い方なのかもしれないな…。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


1時間ほど経過した。


既に、50発ほどの核ミサイルが巨大隕石に撃ち込まれている。


ちょっと、NASAのミサイルの制御室(コントロール・ルーム)を『千里眼』で

覗いてみるか…


制御室を覗いてみると、怒号が飛び交っていた。


オペレーターが叫ぶ。

「現在、核ミサイル総1000発の内、50発を発射!!

 50発、全弾命中しておりますが、巨大隕石の損壊率は0.5%!!

 依然として、初期の99.5%もの質量が健在ですっ!!」


各国のTOP達も職員(スタッフ)達も、絶望の表情を浮かべている。


「そんな…50発撃って、たった0.5%しか壊せてないんじゃ、

 残りも全弾命中したとしても10%しか壊せないじゃないか…」


「巨大隕石の質量が100%から90%に減ったところで、

 焼け石に水だよ…」


「もう、おしまいだぁ~…」


「あきらめるなっ!! 奇跡を…奇跡を信じるんだっ…!!」



…どうやら、『未来視』で見た通り、核ミサイルでは、この巨大隕石を

破壊することはできないようだ。

見てるのも飽きたし、そろそろ、この巨大隕石相手に特殊能力(スキル)を

試すとするかな。


ただ…本当はスキル『消滅』を試したかったのだが、今回は避けるべき

かもしれない。

今、この巨大隕石はNASAや各国の宇宙機関が観測している。

そんな中でスキル『消滅』で巨大隕石を跡形もなく消し去ってしまったら、

どうなるだろうか?

『 大量の核ミサイルでも大してダメージを与えられなかった巨大隕石が、

  突如、一瞬にして跡形もなく消え去った!? 』

これはこれで、大騒ぎになるだろう。


そうだな、ここは…

『 一見、巨大隕石に大してダメージを与えられていないと思われた

  核ミサイル攻撃だが、実は巨大隕石内部には着々とダメージが

  蓄積されていた!

そして遂に巨大隕石は真っ二つに割れてれ、地球への衝突軌道から

逸れて、地球は助かったのだった! 』

ってストーリーにしとくか…。

(まぁ、『現実改変』や『時間逆行』などで、いくらでも

やり直しはきくしな…。)


オレは、核ミサイルの着弾点にできていたクレーターに向けて

スキルを発動した!

「 『念動力(サイコキネシス)』! 」


クレーターに巨大な亀裂が入り、その亀裂がドンドン伸びて広がってゆく…

空気のない宇宙空間だから無音なのだが、もし地球上だったら、

『バキバキバキバキッ!!』と大音響をあげていたところだ。


そして、亀裂は、巨大隕石の先端(クレーター)部分から

末尾の部分にまで達し、ついに、真っ二つに割れた!!


割れて二つになった(元)巨大隕石を更に『念動力(サイコキネシス)』で

地球への衝突軌道の外に押しやった。

NASAに『不自然だ』と思われない程度の力加減でだ。


ふむ…『念動力』は正常に使えるし、力の加減もできるようだな…。


とりあえず、この人間・春埼隆人の肉体でも、

『千里眼』、 『現実改変【最上位】』、 『未来視』、

『自動防御【完全】』、 『大気生成』、 『翻訳』、

『念動力』、といったスキルは正常に使用できるようだ。


まぁ、この分なら、他のスキルも問題なく使用できるだろう…たぶん。



そう言えば、NASAの制御室の様子はどうなったか、『千里眼』で再確認

してみるか…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る