【第4話】 オペレーション『隕石破壊(メテオ・ブレイク)』
ここは異世界アルファザードの空中神殿内。
オレの周囲には3人の女神たちが佇んでいる。
オレは人間・春埼隆人に転生した(元)創造主だ。
スキル『未来視』により、三日後、地球に巨大隕石が落下することを知ったオレは、
地球を救うのと、自身の能力を再確認する為、単身、巨大隕石に乗り込むことにした。
「 まぁ、そんなわけで、
ちょっくら巨大隕石に乗り込んで、ぶっ壊してくるから。 」
「はい。お気を付けて。」
「ん。」(ボソッ)
「おみやげは、隕石の破片でいいっスよ~♪」
女神たちからの返答は、まるで緊張感が感じられない。
まぁ、たかが隕石ひとつ相手に、オレが失敗するなんて、あり得ないからな…。
「とりあえずは…スキル『自動防御【完全】』! 常時展開!」
オレがスキルを発動すると、一瞬、オレの周りを直径2メートルほどの光る球体が
覆ったが、すぐに球体は見えなくなった。
これは、スキル『自動防御【完全】』…
物理攻撃・魔法攻撃・スキル攻撃、等、あらゆる攻撃を自動で完全に防御する、
防御スキルだ。
敵がスキルや魔法で、『時間停止』しようとしても、『死』の呪いをかけようと
しても、『無効化能力』でオレの能力を無効化しようとしても、
それら全てを遮断・防御できる。
また、敵意のある攻撃のみならず、突発的な事故なども自動で防御してくれる。
例えば、居眠り運転のトラックが背後から突っ込んで来た場合も自動で発現し、
トラックから使用者(オレ)を守ってくれる。
「じゃあ、行ってくる。 『空間転移』!」
次の瞬間、オレの身体は、異世界アルファザードの空中神殿内から消え、
地球に向かって進行中の巨大隕石の上に現れる。
そして、現れる瞬間に『自動防御』が発現し、オレの周囲を直径2メートル
ほどの不可視の無色透明な球体が覆った。
隕石の上は地球のように大気はなく、宇宙空間そのものだ。
当然、生身の肉体では死んでしまう。
そこで、『自動防御』が発現して、真空状態や低温や有害な宇宙線からオレの
肉体を守ってくれているのだ。
…と、いけない。
『自動防御』は発動していても、このままでは、いずれ酸素は尽きてしまう。
そこで、追加でスキルを発動する。
「スキル『大気生成』!」
このスキルにより、オレの周囲の空間は地球の大気と同じ成分に生成される。
オレの呼気(酸素少なめ二酸化炭素多めの息)も、すぐに地球上の大気と同じ
成分に変換される。
これで、『自動防御』の範囲内(直径2メートルの球体内部)の空気は常時
新鮮な空気に満たされるようになるわけだ。
さて、宇宙空間の問題と呼吸の問題が解決したことだし、本格的に動くとするか…。
ここで、ふと、さっき見た『未来視』の冒頭のシーンを思い出した。
「たしか、地球から、この巨大隕石に向かって、核ミサイルが1000発くらい
撃ち込まれるんだったな…。」
と、ここで、ファイナからのテレパシーが入ってきた。
「創造主様~! 『かくみさいる』って、なんスか~…?」
どうやら、女神たちは巨大隕石の上にいるオレの様子を『千里眼』で視ており、
オレの独り言を聞いていた(視ていた)ようだ。
尚、3人の女神たちの地球の文化に対しての知識は、『トラック』程度なら
知っているが、『核ミサイル』となるとわからないようだ。
ただ、『トラック』に関しても、『科学ではなく魔法で動いてる』と、
誤った認識をしているようではある…。
(面倒くさいので、3人には訂正・説明はしていないが…。)
「核ミサイルってのはだな…アルファザードの文化に照らし合わせて説明すると…
オマエ(ファイナ)の得意な極大爆炎魔法(メガ・フレア)を巨大な円筒形の
金属に詰めて、遥か遠くの敵に向かって放つ魔法兵器…みたいなもんだ。
しかも、放射能…猛毒を含んでいるんだ。」
「マジっスかぁ~!? 地球の魔法兵器も侮れないっスね~…」
「たしかに…」(ボソッ)
「ファイナさんの極大爆炎魔法(メガ・フレア)を遥か遠くに放つことができる…
しかも、猛毒を含んでいるなんて…ものスゴイ…と言うより恐ろしい魔法兵器
ですね…」
まぁ…魔法兵器ではなく、科学兵器なんだけどな…。
…にしても、なかなか、核ミサイルが飛んでこないな…。
「さっき『未来視』で視た核ミサイルの発射地点付近を、
『千里眼』で視てみるとするか…。」
『千里眼』で発射地点付近を視てみると…
そこはアメリカのミサイル基地(のひとつ)だった。
規模はかなりデカイ。
巨大なミサイル発射台が何台も並んでいる。
まぁ、宇宙空間の隕石を地球から核ミサイルで狙撃しようってんだから、
これぐらいのデカイ規模の設備なのは当然か…。
『千里眼』で更に深く視てみると…
かなり広いミサイルの制御室(コントロール・ルーム)が見えた。
そして、中には数十名の職員(スタッフ)の他に…
なんと、大国・先進国と呼ばれる国々のTOP達が集まっていた。
そうそうたる面子(メンツ)だ。
この作戦の成否によって、三日後に地球が(人類が)滅びるかどうかが決まる…
そう考えると、これだけの面子が揃うのも納得がいく。
アメリカのTOPが大声で叫んでいる…
「 我がアメリカのぉ~っ!! 科学力はぁ~っ!!
世界一ィィィ~ッッッ!!! 」
おそらくは、巨大隕石落下の恐怖に対して、自分自身や周囲を鼓舞して
いるつもりなのだろう。
それを耳にした中国とロシアのTOPは、二人とも自国語で、
「 やれやれ…うぬぼれの強い男だ…あのミサイル発射技術の一部は
我々が提供したものだというのに… 」
と呟いている…。
地球の危機だから一応、協力し合ってはいるものの、やはり根本的には
仲はよろしくないようだ…。
ちなみに、日本のTOPはというと……いた!
アメリカのTOPのすぐ後ろに引っ付いてわからなかった…。
と、ここで、アメリカのTOPの声が一段と大きくなった!
「 これより、人類の命運をかけた作戦!!
オペレーション『隕石破壊(メテオ・ブレイク)』を決行する!!
では、いくぞっ!!?
オペレーション『隕石破壊(メテオ・ブレイク)』始動っ!!! 」
作戦の始動と共に、制御室内の職員たちが慌ただしく動きはじめた。
同時に、ミサイル発射台の方にも動きがあった。
いよいよ、核ミサイルが、この巨大隕石に向かって発射されるようだ!
…まぁ、既に『未来視』で視てるから、失敗するのはわかってるんだが…
(^_^;)
そして、遂に核ミサイルが発射されたっ!!
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