第7話 待合

次の朝の午前9時。

俺は東門の前にいる。

「なんだ先に来てたのか、おまたせ」

「どうもノガミさん」

アリスとマナブが車に乗ってやってくる。

魔力を動力源として動く車、魔導車。

「馬車じゃないのか。馬車の方が早いだろ」

「こっちの方が気が楽じゃん。馬って扱いに困るだろ。それに今日は荷物はほとんどないし」

俺が聞くとアリスは馬は嫌だと仕草でも示す。

「まぁ、そんなものか」

魔導車は馬車に比べるとスピードが出ない。

燃料である魔力を自分自身で随時補給すれば出せなくはないが、相当な魔力を消費する。

基本的にはあらかじめ貯めてある魔力で走るものだ。

「後で魔力満タンにしておいてくれよノガミ」

「俺に補充させるつもりなのか……」

アリスの言葉にあきれ返る。

「あ、いえ、その時は僕がやりますので」

マナブが割って入る。

「いや、ノガミにやらせればいいんだよ。魔力もったいないし」

アリスがまた酷いことを言っている。

「まぁどうかとは思うが俺がやるさマナブ」

「でも……いや、わかりました。ありがとうございます」

マナブは魔術師だ。

信頼を得ている魔術師であり、国に使える魔術師としても標準以上だ。

「魔力の補充の件は置いといて、どこに行くんだ?」

「それはね、近くの洞窟」

「近くの洞窟? そこに何をしに?」

アリスに疑問を投げかける。

「魔物退治だよ。最近強力な魔物が出たって報告が上がってきてね」

「それを俺に倒して欲しいってことだな」

「いや、違う」

「は?」

思わず聞き返してしまう。

「私とマナブが倒すところを見届けてほしいって話さ」

「俺がやれば一秒もかからないことだろ」

「それじゃあ、私たちが育たない。腕試し兼修行だよ」

「でも、俺に見守っていろってことは相当な相手だろ」

「まぁそこらへんの詳しい話は現地についてからにしようか。マナブ行くよ」

「あ、はい」

アリスが声をかけマナブが返事をする。

二人とも魔導車に乗り込む

「はぁ……」

いまいち内容がつかめないものの魔導車のあいている席に乗る。

「じゃあ、安全運転で行くから、振り落とされないでよ」

「安全運転なのに振り落とされる可能性があるのか……」

アリスの運転に不安を覚えつつも、出発する。

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