鍋を囲みながら化粧に見入る
時折冷たい風が吹き、無防備な顔を撫でていく。顔の冷たさが全身に回るような錯覚を覚え、身をすくませる。電車を降り、大学に向かって歩いているところだ。電車の中は暑いくらいなのに、この外の寒さときたら。
肌や血管や筋肉に始まり、およそ体を構成する全ての組織が収縮しきっている気がする。いくら恒温動物とはいえ、この寒さは厳しい。ヒトも冬眠する習性があればよかったのにと毎年思う。しかも昨晩雪が降り続いたおかげで、今日は雪が積もっている。
生まれてこの方二十年弱、ここ千葉県に住んでいるが、雪が積もる頻度は数年に一度くらい。従って積雪は非日常感があって、少し心が躍る。例年は二月に積もることが多いと思うが、今は一月中旬。いつもより少し早めの積雪だ。二月に入ると試験期間になるので、早めに降ってくれて助かる。もちろん二月にまた積雪がないとは限らないのだけど。
頻度が低い分、世間的には交通機関がどうのと積雪のたびに大騒ぎだ。住んでいる人たちも雪国の人と違って雪の上を歩くのに慣れていないので、気をつけないと足を取られて転んでしまう。マンホールなど金属の上に雪が積もっているところが特に要注意だ。今も両手に荷物を持った女子学生がバランスを崩して転びそうになって、手に持ったポーチを落としていた。
例年はうっすら薄化粧、という程度の積雪であることが多いが、今日はどちらかというと厚化粧だ。十センチメートルほどの積雪がアスファルトを全て覆い尽くし、道の切れ目もわからなくなっている。
空も雲が厚く覆っており、薄暗く白い。吐く息も白く、どこもかしこも白、白、白、である。
私はいつも早めに学校に着くようにしているので、周りを歩く人は少ない。子供じみているのは承知だが、なるべく足跡のついていないきれいな雪の上を歩いていた。雪を踏むたびにきゅっきゅっと音が鳴る。それにしても寒いな。
「寒い、寒い、寒い、寒い……」
一歩踏み出すごとに寒い寒いと呟いていたら、だんだん寒いという言葉が意味を持たなくなってきた。ただ同じ作業を繰り返すことで読経しているときのような忘我の境地に近づき、だんだん寒さが気にならなくなってくる……ということはなく、やっぱり寒い。心頭を滅却しようが寒いものは寒い。
大学の正門を通り抜け、真っ直ぐメインの通りを進む。左手に学食、右手に図書館と、図書館の手前にちょっとした広場がある。
寒くて早く講義室に入りたいという気持ちもあったが、入学以来初めての雪でもあり、広場に足を向けてみた。さぞかしきれいに雪が積もっているだろうと思ったのだ。果たして、足跡が皆無とはいかなかったが、きれいに白く埋め尽くされていた。とりあえず真ん中を横切っていくかと歩き出した。
広場には灌木がいくつか植わっているが、その灌木も雪に覆われ、遠目にはかまくらか、作りかけの雪だるまといった風情だ。
童心に返ったついでに、灌木の雪に指を差し込みながら横を通っていた。灌木に積もった雪に筋がつき、雪が音を立てて落ちていく。なにやら動物がマーキングしているような気分になってきた。
いくつめかの灌木を通り過ぎたとき、陰に人がいてびっくりして立ち止まった。女子学生が雪の上に座り込んで呆然としているのだ。一瞬、童心に返っていたのを恥ずかしく感じたが、その女子学生はうつむき加減であり、こちらを見てはいなかったようなので気を取り直す。周囲には鞄からこぼれ落ちたであろうものが散乱していた。
この距離では無視するわけにもいかず、声をかけた。
「あの、大丈夫ですか」
女子学生が顔をあげ、私を見た。口を動かしたようだが、声にならず、よく聞こえない。
朝によく見かける子だった。おそらくよく同じ時間帯の電車に乗っているのだろう。でも面と向かうのは初めてだし、こんなに近くで見るのも初めてだ。
私を見上げる顔はお手本のようにきれいにお化粧されている。ファンデーションはムラ一つなく、ハイライトやチークで自然な陰影が表現されている。アイラインとマスカラで目元が強調され、黒のカラーコンタクトで虹彩も大きく見せている。唇は薄いピンク色でつややかな光沢を帯びている。化粧のおかげか元々の造作か不明だけど、とてもかわいらしい。毎朝どのくらい時間をかけているのだろう。
「……じょうぶ……す」
女子学生が再び口を開いた。蚊の鳴くような声、かつ顔に似合わぬハスキーな声ながら、大丈夫ですと言ったのが何とか聞き取れた。大丈夫なら、もう私は立ち去っていいだろうか……。とはいえ、周りに散乱したものを放っておくのも気がひけ、少し拾うことにした。
落ちているのはお茶のペットボトル、赤いハンカチ、ルーズリーフに教科書が数冊、チョコレート、ピンクのお財布、その他もろもろ。転んで撒き散らしたのだろうか。鞄の中身がほとんど全部落ちているようにも思える。ぺたんこになった鞄はその子の手元に落ちている。
「これ、どうぞ」
「す……せん」
その子はやっと体を起こし、私が差し出したものを受け取る。差し出した手からは手袋が脱げかかっており、地面に突いたときにでも切ったのか、少し血が出ている。その血は雪の上にもいくつか赤く点を穿ち、白と赤のコントラストの鮮やかさに私は一瞬目を奪われた。
彼女は私から受け取ったものを鞄に入れながら、もう行っていいというようなことを言った。
「あの、血が出ているみたいなので、これ、どうぞ」
余計なお世話かもと思ったが、後から気になるのも嫌なので、ポケットティッシュを差し出した。手袋したままだと鞄から取り出せないので、寒い中手袋を取った。手袋をつけていてもこれ以上は冷えないだろうというくらい冷え切った手が、さらに寒さを感じる。
ここまですれば通りすがりとしての責務は果たしただろうと思うので、立ち去ることにする。
雪の上にはいくつか足跡が広場の外に向かって延びている。私は改めて童心に返り、まだ足跡のついていない方を選んで歩き出した。
この学校では、外国語として英語と、もう一ヶ国語が必修となっている。選べるのは、中国語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、等々。珍しいところでギリシア語やラテン語がある。
私は中国語を選択した。中国史や漢字は好きだったし、中国語は何より活用がないのがとてもいい。英語だけで汲々としているのに、同じアルファベットで別の活用や読み方をしなければならない言語なんて、とてもじゃないが頭に入らない。
「大家好」
「老師好」
講師が教壇から挨拶をし、学生が声をそろえて挨拶を返す。毎回の講義はこの挨拶から始まる。その後出欠だが、名前は中国語……正確には、北京語の読みで呼ばれる。返事も「はい」の代わりに「到(ダオ)」と言うことになっている。
私の名前、秋月ゆみえはチウユエコンホェィとなる。ひらがなの名前は、適当に漢字を当てて、それを中国語読みすることになるらしい。
例えば由美絵とするとヨウメイホェィで、苗字とあわせるとシュイウーユエヨウメイホェィという人名とも思えない長ったらしいものになってしまうため、弓絵としてコンホェィと読むことにしているのだ。
この講義では、中国語会話の合間で文化紹介のコーナーが設けられている。しばらくテキストに沿って講師の言葉を繰り返したり周囲の人と組んで会話の練習をしたりした後、一枚プリントが配られた。
今日のテーマは纏足。プリントには纏足の説明とともに、写真が載っている。白黒であまり鮮明でないのが救いだが、はっきり言ってグロテスクである。鮮明な画像だったらおそらく直視できない。
女性の足は小さいことが良いという価値観らしい。幼いころから布で足を固定することで、足の形を変形させ、小さいままとするのだ。親指はそのまま、その他の指は曲げた状態からさらに足の裏側に向かって折り曲げる。いや、折りたたむと言った方が当たっているのだろう。足全体が三角形となり、ハイヒールのような形で固定される。
そんな足ではまともに歩けなくなるのだが、女性はあまり行動せず、室内で過ごすように制限させる意味合いもあったのだろうから、この場合、まともに歩けなくなるのが正解なのだ。
働かなくても生きていけることがステータスだったりもしたのだろう。元々上流階級の習慣だったものが庶民にも広がってきて、纏足をしていない女性は結婚できないという状況もあったということだ。
男性は男性で小さい足に性的な魅力を感じていたとか。見た目もさることながら、無理やり折り畳んで人体を改造するという行為自体もどう考えてもグロテスクなのに、そこに魅力が生まれるとは、何とも恐ろしい話だ。その時代、その場所に生まれなかったことに心から感謝である。
ただ、生物として先天的に異性に惹かれる部分とは別に、後天的にそういう魅力を感じる要素が発生するというのは、何だか興味深い。
一日の講義が終わり、帰ろうと駅に向かって歩いていた。朝とは違い、雪は人に蹂躙されて穴だらけだ。道の端はまだきれいな雪が細く残っているけど、さすがにそこまで行ってきれいな雪の上を歩こうとは思わず、踏み荒らされた雪の上を歩いた。朝に比べると寒さもほんの少し和らいでいる。
「やあ、秋月さん」
駅に着いたところで突然名前を呼ばれた。うつむき加減で歩いていたので気付かなかったが、すぐ近くに知り合いの千里さんがいた。千里さんは学食でアルバイトをしている人だ。ひょんなことから知り合いになり、時々お喋りをする間柄になった。人見知りの私にしては珍しいことだ。
「こんにちは。寒いですね」
見ると、千里さんは丸々と膨らんだビニール袋を二つずつ両手に下げていた。
「すごい荷物」
「学食で夕方に鍋を始めたんだけど、結構受けててね。今日は急遽団体の予約が入って、材料が足りなくなったので買い足してきたところ」
「鍋かあ、いいですね」
「普段はお一人様も歓迎だけど、今日は残念ながら貸切だよ」
「学食で一人鍋の勇気はないですねえ」
「まあ、気が向いたらどうぞ。じゃあ急ぐんで。またね」
そう言って千里さんが学校の方へ歩き出した。この寒さの中、大量の荷物が大変そうに見える。
「少し持ちましょうか」
ちょっと迷ったが、この後特に用事もないし、声をかけてみた。
「あ、そう? 助かるよ」
白菜やら豆腐やら食材が詰まっている袋を一つ受け取った。袋はずしりと重く、両手で持って、千里さんの隣を歩く。
「そうだ、今朝、怪我をして雪の上に座り込んでいる人を見たんです」
朝の出来事を聞いてもらおうと思った。
「雪の上に血がついてて。まるでおしろいに紅を差したかのように見えました」
「ふうん。秋月さんらしい感想だ」
「その子がきれいにお化粧していたんで、そこから連想したのかも」
化粧と言えば、と千里さんが口を開いた。
「水仕事しているとさ、ささくれが酷くて、寒くなってから特に辛かったんだ。指がどこかに触れるたびに痛いし。ところがハンドクリームを塗るようにしたら、全くささくれができなくなったんだ」
「保湿は大事ですからね。」
千里さんの手に目をやるが、手袋を着けているので指先は見えない。
「こんな劇的な効果があると思ってなかったから、衝撃的だったよ。女の人にとっては当たり前のことなんだろうけどね。ある意味カルチャーショックだった」
「そうですねえ。あんまり男の人はハンドクリーム塗ったりしないんでしょうね。
手を拭くときもごしごしぬぐうんじゃなくて、タオルを押し当てるようにする方がいいですよ。あ、顔のお手入れもするといいと思いますよ。冬は顔の肌も乾燥するでしょ」
言ったそばから風が顔に吹き付けてきて、二人そろって目を細める。
「顔ねえ。顔はささくれができないからいいや。何より顔の手入れに余念がない自分を想像すると気持ちが悪い」
「そうですか? いいと思いますけどね。その昔は男性もお化粧してたし」
「へえ、そうなんだ」
「さっき話に出てきたおしろいですけど、平安時代の公家は、男性もおしろいに眉化粧、そしてお歯黒をしていたんですよ」
眉化粧というのは、眉毛を剃って、墨で眉を描くものだ。本来の眉毛の位置より上の方に描くことが多かったようだ。
「ふうん。バカ殿か……」
「それから平家の武士たちは公家に倣ってやっぱりおしろいと眉化粧とお歯黒ですね」
平敦盛が有名だろう。中学校の古典の授業でも出てくる。
源氏方の武将、熊谷次郎直実が平家の武将を捕まえ、いざ討とうと顔を見てみると、我が子と同じ年頃の美しい顔をした若者が薄化粧にお歯黒をしている。愛しく思い助けようとするが、後ろから味方の軍勢が押し寄せる中、見逃すことは不可能と考え、泣く泣く首を取る。そんな話だ。
「時代が下って戦国時代は、有名どころだと今川義元はやっぱり公家風のお化粧してたし、豊臣秀吉はおしろいやお歯黒に加えて付け髭もしてました。その他大勢の武士も、出陣前に顔におしろいを塗ってたとか。上級武士になるとお歯黒もしたようですね。首をとられたときに見苦しくないようにということらしいです」
「その理由は理解しやすいな。ハレの日の化粧ってことだね」
「ああ、そうですね。今でも結婚式の時なんかは男性もお化粧しますもんね」
「えっ。そうなの」
「そうですよ」
「ヒゲも流行り廃りがあったようで、強そうなヒゲが好まれる時代や、男性も躍起になって脱毛するような時代が繰り返しあったようですね。江戸時代初期にはヒゲなしという悪口から刃傷沙汰に発展して死人が出たこともあったとか。
そう、顔に塗るおしろいも人体に害があると分かってもなお使っていたりで、何かこう、化粧に命を掛けているなって感じですね」
おしろいの原料として鉛や水銀を使っていたという。いかにも身体に悪そうで、恐ろしい。
「ヒゲなしは、今ならさしずめ、このハゲってところか」
「ああ、いかにもトラブルになりそうですね」
それと、と千里さんが呟く。
「平家も今川義元も豊臣秀吉も、首を取られる覚悟の武士も、皆敗れる側だね。男の化粧は敗者の象徴のようだ」
「あ、本当ですね。貴族も武家に政権を取られて。」
ふむ、化粧をする男は化粧をしない男に敗れるのか。
「やっぱり千里さんも顔のお手入れはしないほうが良さそうですね」
いやまあ、とは言え、今川義元も豊臣秀吉も敗れるまでは飛ぶ鳥を落とす勢いだったわけで、最期に敗れるところばかりが注目されているだけかな。
学食の前に着いた。中では、数人の学生がテーブルや椅子を移動させていて、準備の真っ最中といった様子だ。
「お茶くらいなら出せるけど、飲んでく?」
「あ、いえ、これ置いたら帰ります」
温かいお茶は魅力的だったけど、知らない人たちがいるところでは落ち着けないので、辞退した。
ドアを入ると、室内はほどよく暖かい。頬から体から、全身が弛緩していく心地だ。
「ゆみえ」
呼ばれて振り返ると、席の準備をしている人たちの中に友人の高科三果がいた。同じ学部で唯一の友人だ。
「ああ、三果ちゃん」
三果が席の準備をしている人たちから離れて私の側に近づいて来る。いつもながらきりっとした表情だ。
「買い物のお手伝い? 感心だねえ」
「ちょっと持つのを手伝っただけだけどね。そこに置いたらもう帰る」
千里さんがありがとねと言って、私の手から袋を取って厨房に入っていった。
「じゃあもし良かったら一緒にお菓子でも食べない?」
普段ならやめておくと即答するところだ。でも最近は少し人との交流にも興味が出てきており、どうしようかと口ごもった。ちらっと準備中の人たちを見る。やっぱり初対面の人たちと同席するのは抵抗あるかな。
「六時から新年会で鍋やるんだけどね。幹事メンバーが先に準備しに来たんだ。んで、始まるまでちょっと軽く飲み食いしてようかというところ。私も初対面の人たち」
三果も初対面か。であれば私も入りやすいかな。
「ちょっと試しに、でよければ……」
「うん、いいよ。帰りたくなったら帰ればいいし」
その場には男子学生二人と女子学生一人がいた。三果と私を合わせて女子が三人になる。席の準備は終わっているようだ。
二つのテーブルを縦に並べた島が二島。一つのテーブルの長辺に椅子が四つずつで八人がけになっているので、最大三十二人が座れるようになっている。テーブルの上にはお椀やお箸、コップが並べられている。脇にはもう一つテーブルがあり、そこにはクーラーボックスが置いてある。飲み物が入っているのだろう。
今はテーブルの端に幹事メンバーの人たちが座っていて、小袋に入ったチョコレートやビスケットなどを摘んでいる。これから鍋だから、お腹の膨れない程度にというところだろう。
「同じ学部の友達の秋月ちゃん。ちょっとお茶だけ誘った」
三果がそういって紹介してくれたので、こんにちはとだけ挨拶した。
「どうぞー。麦茶でいい?」
「あ、はい」
「みんな同学年だからかしこまらなくていいよ」
女子学生の一人がそう言ってくれ、麦茶を注いでくれた。
「今日は一年生限定で、適当に知り合いに声をかけて、さらに知り合いが知り合いに声をかけてという感じで、だから、参加メンバーは私も知らない人の方が多いんだ。
あ、ゆみえは苦手だろうと思ってあえて声かけなかったんだ」
「うん、ありがとう」
「いいじゃん、飛び入りで鍋も参加したら」
男子学生の一人がそう言った。そうだよな、そういう流れになるよな。どうしよう。
「ま、途中で帰りたくなったら帰っても全然構わないし、ゆみえの好きにすればいいよ」
三果がさっきと同じ言葉を掛けてくれた。
「じゃ、じゃあちょっと参加させてもらおうかな……」
「ちなみにほとんど未成年なのでアルコールはなしね」
なんか緊張してきたが、こういう経験もきっとしておいた方がいいだろう。元々の参加者は三十人だから、座席の数は問題ないということだった。
「コンロと鍋の準備しますね」
白衣を着てエプロンと三角巾をつけた千里さんが、卓上コンロを持ってやってきた。テーブルに一つずつ、計八個のコンロと、食材の入った鍋を手際よく並べていく。そういえば千里さんのお茶を断っておきながら今こっちでお茶を飲んでるんだった。後で謝っとこう。
「あと十分くらいか。腹減ったなー。先始めてない?」
「十分くらい待てよ。これでも食ってろ」
チョコレートの投げ合いが始まったころ、ちらほら参加者が集まってきた。
「私受付するから、後でね」
三果がそう言って、もう一人の女子学生とともに学食入り口に向かった。
俺たちも飲み物並べるか、と男子学生二人も席を立つ。途端に身の置き所がなくなったような心細さを感じる。飲み物の準備を手伝おうかとも思うが、男子二人が談笑しながら準備しているところに後から混ざる勇気も元気もなく、とりあえずテーブルの端の座に陣取っていることにした。今座っているのは二組並んでいるテーブルの間の席の、右端だ。左手側に席が並び、背中側に、もう一組の二つのテーブルが並んでいる状態。
席は決まっていないということだったので、受付でお金を払った人たちが思い思いの場所に座っていく。ほとんどの人が二、三人で連れ立ってやってきているようだ。当然わざわざ一人座っている私の隣に誰かがすぐ座ることはなく、離れた席から埋まっていく。
最終的には、私の左側には男子学生が、その男子学生の正面には女子学生が、それぞれ少し遅れて入ってきた。私を入れて参加者が三十一人、席が三十二席なので、席は一つが余るはずで、私の正面が空席になっている。
「はーい、じゃあ新年会始めまーす」
喧騒の中、三果が声を張り上げる。静かになるのを待ち、三果は言葉を続ける。
「乾杯のご発声、新年会発起人の西白井さんからお願いします」
はーい、と幹事メンバーの一人だった男子学生が前に進み出た。
「ただいまご紹介に預かりました西白井です。えー、今年一年また頑張っていきましょうということで――」
挨拶が始まった。聞くともなしに聞いていると、急に周りの人たちがコップを手に取り、私も慌てて真似して持つ。
「皆さんの今年一年のご活躍を祈念して、かんぱーーい!」
そして皆乾杯と言いながらグラスを合わせ、音を立てている。チリンチリンと音が響く中、私もぎこちなく周囲の人とグラスを合わせた。
一口飲んだかと思うと、今度は周りの人たちがグラスを置き、拍手を始めた。そういう段取りなのか。またしても少し焦りながら、周りに倣って拍手する。
「特に催しとかないんで、適当にご歓談ください! 鍋はさっき火つけたんで、煮えたら蓋とって食べてください。最初の一口くらいはその席で食べてもらって、その後は席替えも適当に!」
そう言って三果が引っ込んだ。
私の左の男子学生と、その正面の女子学生は初対面のようで、自己紹介が始まる。男子学生は佐原、女子学生は鹿島と名乗った。私にも所属など聞いてくれるが、所属と名前を言うくらいしかできず、自然とその二人や、さらにその左側の人たちで会話が始まる。私は黙って聞いている感じになった。
そもそもこの喧騒の中、気合を入れて声を張り上げないと、私の声は相手に届かないようだ。普段から大きな声を出してないから、声帯が鍛えられていないのだろう……。
鹿島という女子学生の顔にどこか見覚えがあるなと思っていたら、朝怪我していた子と同じ色合いのメイクをしているのだった。肌から目から唇から。ばっちりメイクっぷりも一緒であり、鹿島もまたかわいらしい顔立ちをしている。
今、全く同じ化粧をしている人を見ると奇異な感じがするが、平安の頃は二人どころか貴族の女性全員が同じ化粧をしていたんだなと思うと面白い。
化粧が同じだとその分顔の造作がものを言いそうだ。それとも平安時代は平安時代でいろいろ工夫の余地があったんだろうか。置き眉の位置、形、紅の差し方とか? おしろいは厚く塗られるだけで、工夫の余地がないように感じる。しかし立て続けにこういう人を見ると、同じ女としてコンプレックスを刺激されないでもない。
「そろそろ食べられるかな」
その鹿島が鍋の蓋に手を伸ばした途端、私の隣から制止の声が飛んだ。
「あ、まだ! 俺やるからいいよ」
男子学生の佐原だ。それまでの会話と打って変わって厳しい声。思わず顔をうかがうと、真剣な顔をして鍋を見つめている。鹿島はと言うと、嫌そうな顔をして動きを止めている。
「鍋はさあ、タイミングと順番が重要なんだよな」
佐原が鍋について語りだした。ああ、これ、鍋奉行というやつか。もう食べられると思うんだけどな、私も。ひとしきり語った後、そのタイミングとやらが来たのか、鍋の蓋が開けられる。立ち上る湯気で一瞬視界が白くなる。鍋ではおいしそうにお肉や野菜が煮えていた。佐原がいつの間にか確保していたお玉でそれらを取り分け、お椀を周りの人に渡していく。私の分もよそってくれたので、会釈をしながら受け取った。
その時、佐原の手に目が行き、爪が滑らかに光を反射しているのに気付いた。何か塗っているようだ。聞くのと見るのとでは大違いで、先ほど千里さんに男の化粧について一席ぶっておきながら、実際に目の当たりにすると、かなり違和感がある。
というか、率直に言って気持ち悪い。思わずもう一度佐原の顔に目をやるが、顔は何も塗っていないようで、訳もなくほっとする。
再び周囲で会話が始まる中、私は食事に専念することにした。奉行殿のおかげかどうかわからないけど、おいしい。体があったまる。
気がつくと、そこかしこで席替えが始まっていた。佐原が誰かに呼ばれて席を立ち、鹿島の隣には女子学生が一人来て、親しげに話している。
「人に代返までさせて何遅れてんのよ」
「だってメイクがうまくいかなかったんだもん。でも最後があの講義で助かった」
「出席だけで単位もらえるもんね。その分この貸しは大きいよ」
えっ、そんな楽な講義があるのか……。友達が少ないと、その手の情報収集に難がある。
「それよりさっき鍋奉行がいて、うざかったわあ。鍋なんて直箸で十分だっつうの」
「直箸って……。そもそもあんたが遅れてこなければあっちで一緒に食べられたんだからね。あんた好みのイケメンもいたよ」
「えっ、どこ? 紹介してよ」
「お酒持ち込んでる人もいてさ、私たちももらいに行こうよ」
そして二人も連れ立ってどこかへ行った。ああ、彼女らにとって、ここは出会いの場ということか。それでメイクに気合が入っていたのね。このテーブルには私一人になった。
きょろきょろと三果を探すと、別のテーブルで数人で談笑している。居たたまれない感覚が強くなってきているが、まだ鍋を食べたくもあり、もう少し粘ってみることにした。直箸は私も嫌だなあと思いながらお玉で肉や野菜をすくう。
背後からギターの音が聞こえる。それにあわせて歌う声や歓声。椅子を並べて寝ている人や一発芸を披露している人もいる。なんだか混沌としてきた。見てみると、さっきの鍋奉行こと佐原がギターを弾いていた。学食の中はエアコンが効いている上に若者たちの発するエネルギーが加わり、かなり暖かくなっている。
「はい、うどんですよー」
千里さんが締めのうどんを持ってきた。
「一人鍋だね」
私を見て軽く笑う。そういえばさっき、ここで一人鍋をする勇気はないということを言ったな。最初のころよりさらに大きくなった喧騒の中、声を張り上げて謝罪する。
「あの、さっき帰ると言ってお茶お断りしたのに、結局鍋やっててごめんなさい。でもお鍋おいしいです」
立っている千里さんに声を届かせようとして、私にとってはもはや叫んでいるのに等しい。
「それなら良かった。何も気にすることないよ」
そう言うと、千里さんは他のテーブルにうどんを配りに行ってしまった。
「いいねえ」
今度は三果が、グラスを手にやってきて私の隣に座る。いつもきりっとしている三果には珍しく、にやにやしている。
「な、何が?」
三果は隣に座っているので、叫ぶまでしなくても声が届いた。
「ゆみえの自然な笑顔がまぶしいってことよ」
「何の話でしょうか」
「普段無口な子が、自分にだけは笑顔で話してくれるというのは、結構たまらない状況だと思うなあ」
「ええと、そういうのじゃないから。大体私、千里さんの下の名前も知らないし」
「そうだったの? じゃあこれからってところか」
「というか、三果ちゃん酔ってるね? 酔っ払いとはお話しませんよ」
三果のグラスを見ると、小さな気泡が水面でいくつも弾けている。見た目だとジュースなのかお酒なのかわからない。
「お酒じゃないよ。これはね、変若水。飲むほどにいやましに気力の湧く霊水」
「ふうん。酔っているということは良くわかったよ」
あははと三果が笑う。
「毒食らわば皿までって言うの? 勝手に持ち込まれたらどうしようもないからねえ。ゆみえも飲む?」
「私は来年からにしとく」
そっか、と言って三果がお酒を一口飲んだ。
「さっき鍋奉行がいてね。男の人だったんだけど、爪に何か塗ってあって、きれいに光ってたんだ。ここ来る前、千里さんと男の化粧について話してたんだけどね、実際見るとちょっと引いてしまった」
「男の化粧って?」
先ほどの千里さんとの会話の内容を三果にも、少し話した。
「なるほどね。鍋奉行殿も武士だから、化粧したかったんだね。お役目柄、鍋をする今日という日がハレの日だしね」
「おお、なるほど」
ハレの日のお化粧か。こんなケースもあったと千里さんに教えてあげよう。
「ちなみにあそこでギター弾いている人」
三果に佐原を指し示したが、三果も面識がない人ということだった。
しばらく会話をしていると、遠くから三果を呼ぶ声が聞こえた。幹事の一人が呼んでいるようだ。
「あ、ごめん。私、勘定奉行の仕事があるんだ」
「そっか。御勤めご苦労様です。私、そろそろ帰るね。途中で申し訳ないけど」
お金を聞くと、いらないと言う。他の参加者から少し多めに徴収するので私ひとり分は賄えるらしい。一人で結構食べたけど、いいということならお言葉に甘えることにしよう。
カウンターの向こうの千里さんにも一声挨拶すると、荷物を運んだお礼ということで缶コーヒーをくれた。
「こんなので却って申し訳ないけどね」
「とんでもない。ありがとうございます」
学食を出ると、暖まった体に外の冷気が心地よいが、すぐに寒くなってくる。さっさと駅に行こう。
夜の暗闇の中、街灯に照らされた雪が地面の上でぼんやりと白く光って見える。缶コーヒーが手袋を通してじんわりと手を温めてくれた。
新年会から数日後、私はまた学食に来ていた。特に用事があるわけではないが、新年会の時の話を千里さんに話そうと思ったのだ。
「この前の新年会、乾杯の段取りとか、歌う人が出たりとか、いろいろびっくりでした。ああいう会自体参加が初めてだったから」
「学生の飲み会は、あんなもんでしょ。ギターも歌も上手だったから良かった。下手だったら聞かされる方は苦痛だからね」
「ああ、言われてみれば騒音とは感じなかったですね。あのギター弾いてた人、鍋奉行だったんですよ。鍋奉行も初めて見たから新鮮でした。あの人、爪に透明のマニキュアかなんか塗ってて、ぎょっとしてしまいました」
「ああ、ギター弾く人は爪の補強で何か塗ったりするからね」
「えっ」
そうなのか……。良かった、鍋奉行のハレの日説をまだ披露してなくて。恥ずかしい思いをするところだった。三果にも教えておこう。
「化粧の話をしてただけに、おしゃれでしているように見えてしまうね。まあ男の場合は光らないように補強する人のほうが多いとは思うけどね」
私の動揺をよそに、千里さんは言葉を続けている。
「あ、そういえばあの日の朝荷物を撒き散らしていた子、ここ数日見かけなくなっちゃいました」
話をそらそうと思ったわけではないが、動揺のあまり別の話題を振ってしまった。
「そうなんだ」
少し考え、千里さんが口を開く。
「もしかしたらその子は実は男だったんじゃないだろうか」
「男……」
「女装を趣味としていて毎日きれいに化粧して通学していて。転んで呆然としているときに声をかけてくれた女の子がいた。その子は親切にも散らばったものを拾ってくれたり、怪我を見てティッシュをくれたりして、思わず見初めてしまった。その日から女装をやめ、男の姿で通学をしている」
「とりかへばや物語ですか……」
「だからそのうち秋月さんの前に男が現れたら、それがあの子かも。いや、すでにどこからか秋月さんに熱い視線を送っているかもしれない」
いや、まさか。ちょっと背筋が寒くなる。
「ちょ、ちょっと待ってください。どんな根拠があるんですか」
「顔に似合わぬハスキーボイス。そしてそのハスキーボイスもあまり聞かれたくなさそうな喋り方」
「はい」
「あと、鞄の中身に化粧ポーチっていうの? そういう物はあった? 女の子なら持っているだろうから、なければそれも違和感がある点だ」
「見た記憶はないです。でも男にしろ女にしろ実際にお化粧しているんだから、その違和感は性別は関係ないんじゃないですか?」
「ああ」
千里さんは一瞬黙った後、それもそうだねと事も無げに言う。
「ハスキーボイスだけじゃ、さすがに根拠に乏しいんじゃないでしょうか。もしかして私をからかってますか?」
「いや、可能性のひとつとしてだね」
涼しい顔をして千里さんは言う。
「あるいは喉の調子が悪くて声が出なくなってたのかもしれないね。雪の上で体が冷えてさらに体調が悪くなって、数日学校を休んでいるのかも」
「ありそうですね。そっちを採用しましょう」
「あとさ、ちょっと思うところがあって」
「何でしょうか」
千里さんがこう言うときは、話が思いもよらない展開になることが多い。
「鍋のときに秋月さんの近くに座ってた子が気になってて」
「えっ」
私の意思と無関係に心拍数が急上昇する。
「あ、あの、やっぱりああいう感じの子が好みですか?」
「ん? いや、そうじゃなくて」
呆れたような目で私を見る。
「あの子が朝の子から化粧ポーチを奪ったのじゃなかろうかと思って」
「ああ、そうでしたか……。って、ええと?」
話が急展開して、ついていけない。いや、急展開と感じたのは私が勘違いしたせいもあるか。いや、そもそも三果が妙な事を言うから変な風に意識してしまってこんな勘違いをしたのだ。三果のせいにしておこう。いや、それも違う。そう、千里さんの話についていけないのはいつものことだった。
「鍋の方の子、鹿島だっけ。鹿島は朝、化粧品を持ってくるのを忘れてしまった。朝早いところからすると、いつも学校で化粧しているのかもしれないね。
その日はよりによって新年会の日だ。せっかくいい男と出会えるかもしれないのに、どうしよう。もうすぐ試験期間だし、講義をサボることは避けたいから、家に取りに戻る時間はない。ああそうだ、誰かに借りよう」
「他人の化粧品を使うって、抵抗があるな」
「だから朝の子も文字通り抵抗したんだろう。でも無理やり鞄の中身をぶちまけられ、化粧ポーチを奪われた」
あれ? そういえば朝、ポーチを手に持って転びそうになっている人がいたような。
「鍋をつつくのに直箸で十分と言っていた彼女は、化粧品の貸し借りにも抵抗がないんだろう。
そんなこんなで朝化粧をする時間がなくなってしまったけど、幸い最後の講義は代返を頼めばサボっても問題ない講義だった。なのでその時間を化粧に当てたが、慣れない化粧品で時間がかかった。そのため新年会にはぎりぎり間に合ったものの、友人との待ち合わせには遅れてしまった」
「そこまでするかあ……」
「いみじくも秋月さんが言っていた通り、化粧に命を掛けている人が今も昔もいるということだね」
人のものを無理やり奪ってでも身を取り繕う。そういう本性をも化粧の下に隠して人と付き合うのだろうか。
「化生のものってやつですねえ」
怖い怖い。いやもちろん、これは千里さんの想像でしかないのだけど。
翌朝、ほとんど雪の消えた道を学校に向かって歩いていた。道路脇の植え込みの下に黒く汚れた雪がほんの少し残っているくらいだ。
上空も青空が広がり、冬の澄んだ空気が気持ちいい。こういう日は建物の高層に上がると、青銅製立像としては世界最大級の大仏様が見えたりする。後でどこかに上ってみようかな。
「あ、あの」
正門に入ったところで声をかけられ、振り向くと一人の女子学生がいた。あの日、雪の上に座り込んでいた子だ。
見かけるのはあの日以来。今日もばっちりメイクでかわいらしい。身構えそうになる体を何とか制して、何気ない風を装った。
しかしどこからどう見ても女の子だよな。今の声もあの日のハスキーボイスではなく、普通の女の子の声だ。やっぱり風邪気味だったのだろう。
「あ、今、いいですか」
返事もせずにじっくり観察してしまい、戸惑わせてしまった。全然何気なさを装えていない。
「あ、はい。大丈夫です」
何か発言するたびに最初にあ、と言ってしまうのは、コミュニケーション能力に乏しい者の共通点だ、たぶん。
ああそうだ、きっと彼女も人見知りで、このお化粧をすることで鎧をまとっているんだ。
「先日、広場で座り込んでいた者です。その節はありがとうございました」
「いいえ」
「喉の調子が悪くてあまり喋れなかったもので、失礼な態度を取ってしまってすみませんでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
「じゃあ、これで」
その子は軽くお辞儀をし、そのまま歩いて行こうとする。どうしよう。聞いてみようか。
「あの」
「はい」
「あの日、何があったのか聞いてもいいですか?」
「え? えっと、いえ、大した話じゃ……。ちょっと転んだだけで」
「つかぬ事を伺いますが、お化粧ポーチを誰かに取られたりしました?」
「えっ」
その子が絶句して固まる。鹿島の仲間と思われたか、その子がおどおどと目を泳がせ、逃げ腰になった。
誤解を解こうと、勝手な推測ですが、と前置きして千里さんの推理を話した。
話を聞いたところ、やはりあの鹿島に無理やり奪われたのだという。その後、友人の力も借りて、弁償させたとのこと。鹿島には、彼女がしたことは犯罪であることを伝え、場合によっては退学もありうることをほのめかしたらしい。
鹿島は途端にうろたえ、化粧の上からでも分かるほど青ざめた顔で謝罪をしてきたとか。
「そうですか。無事解決してよかったです」
「ありがとうございます」
にこりと微笑み、その子は今度こそ去っていった。彼女がやっと見せた笑顔はやはり、とてもかわいらしかった。
実のところお化粧の仕方を教えてほしいとお願いしたいと思っていたのだが、ほぼ初対面の人にそんなお願いをする勇気が私にあるはずもなく、言い出せなかった。まあ、その気になればまた朝見かけたときに声をかければいいや。
今まであまり興味を抱いていなかったけど、きれいにお化粧することを考えると少し心が浮き立つ。この魅力こそが、連綿と人が化粧をし続けてきた原動力なんだろう。人体に害があっても使い続けたり、刃傷沙汰に及んだりするほどの。
私もその魅力に飲み込まれることがないよう注意しよう。と言っても、もう試験期間直前であり、お化粧にうつつを抜かしている場合ではないのもまた確かだ。
この試験が終わると大学生活の一年間が終わる。何だかあっという間だったな。あと一息頑張ろう。
あ、そうだ。あの子の微笑み方だけでも真似してみようかな。目を細めて口角を上げてみた。
なんだか大仏様になったような気がした。
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