第2話 友達

友香は横から現れた人物に気づくと、声をあげた。

「梢ちゃん!」

「やっほ。で、なんの話?」

自分の話を聞いてくれる人が増え、友香は自然に笑顔になってしまう。

話の内容を京子が雑に伝えたのを聞いて、梢は見るからに心配してくれている。自分よりも落ち着きがなくなっている様子でおかしいが、やっぱり純粋にうれしく思う。

「ちょっと怖いけど、気をつけて様子見てみるよ。」

ほんのさっきまでならこんなこと言わなかったが、梢の様子を見て落ち着いてしまったらしい。

「ほんとに大丈夫なの・・・?うーん、夜遅くに家から出ないでね?それと、肌を見せすぎちゃダメ。あとは、できるだけ一人でいないこと。わかった?」

「はーい、お母さん。」

もう軽口が言えるくらいには心が軽くなっている。ほんと、友達は偉大だと思う。

「あーあ、一緒に住んでたなら一日中友香を守ってあげられるのになー。」

「梢ちゃんなら大歓迎だよ!なんならお嫁さんに来てもらってもいいよ?」

なに言ってるのあんたたち、と京子が口をはさんでくる。

「それより午後の講義のレポートまだ終わってないんじゃないの。」

学食の喧騒の中、友香の血の気の引いていく音が聞こえた気がした。

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