第3話 梢

最近、大学が面白くない。いや、最近じゃなくてずっとかもしれない。授業はもちろん面白くないし、友達といても楽しくない。だから、というか結果的に、大学に入ってから今までの数ヵ月の大半を一人で過ごしている。

中高と女子高に通っていた私は、恋愛の話ばかりしている共学の女子たちについていくことは出来なかった。好きな人の話なんか数分で終わってしまうし、自分以外の話を聞いて何になるのだろうと思っていたからだ。そんな話をしているぐらいだったら、一発ギャグをしたり、下ネタを言って騒いでいた方が余程楽しいと思う。

大学に入って初めて「女」として扱われることも、それを盾に媚ばかり売っている女子たちも、気色悪くて仕方がなかった。

高校生に戻りたいと、何度思ったことか。でもそれはただの願望に過ぎないと割りきり、梢は今日もただ青春をすり減らす。

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