進展と出発
「それでどうすんだよ」
グレートジェントルマン号に戻ったキジヌとスリーは情報屋から
手紙の情報が送られてくるのを待っていた。ぼやきはじめたのはス
リーだった。
「手紙の材質から探るったってこの広い宇宙にどれだけ惑星がある
と思ってんだよ。もしかしてキャットにでも頼むのか?またぼった
くれるぜ?」
「あら、つれない事をいうのね。」
何もない空間から声がきこえた。振り向くとそこには一匹の黒猫
が鎮座していた。スリーの顔が苦虫を噛み潰したようになった。
「言った傍から出やがったな、金の亡者め」
「わたしはそれ相応の値を付けてるだけだわ」
黒猫が顔を洗いながら言った。
「どんな金銭感覚してんだよ。とにかく今は用事無いからな」
「もう、いけずぅ」
そう言うと猫はするりと姿を消してしまった。スリーはため息をつ
いた。
「あいつはすぐに出て来やがるな」
「まあ彼女はそういう者だからね」
キジヌは紅茶を啜りながら言った。
「かといって今回の依頼はいくら何でも無茶じゃないかい。」
グランマまでぼやきはじめた。だがキジヌはそれでも諦める気には
なれなかった。諦めが悪いのがキジヌ=サルモモールという男だっ
た。と、突然通信機が鳴り出した。手紙の材質を調べて貰っていた、
情報屋のロンリースミスからだった。
『やあサルモモール一行さん、ロンリースミスだ。手紙に使われた
紙は、N・B・P・C領域内のアズラクル銀河の惑星ディモのカン
タスという町の民芸品だったぞ。以上情報終わり。報酬はキッチリ
と振り込むように以上っ』
相変わらずせっかちな男だった。しかしまさか町まで特定できると
は思っていなかった。
「これで行き先が決まったな。依頼人の元へ行こう」
ぬるくなった紅茶を一気に飲み干してキジヌは言った。
「本当ですか!」
キジヌからの吉報にルーチェの顔は晴れやかになった。キジヌは頷
いて答えた。
「しかしまだ会えるかどうか分かりませんが」
「それでも十分です。本当はダメかと思ってましたから。」
「私も……同行させてください」
そう言いつつ現れたのはシスターマリガンだった。
「駄目でしょうか……」
「いえ問題ありません。元より大人の方にもご同行願おうと思って
ましたから」
「良かった……ルーチェ一人では心配でしたから……」
「あたしはもう十五歳よ!一人でも十分なんだから!」
「駄目です……ルーチェはすぐ怪我するんだから……」
「まあとにかくシスターにはご同行頂くということで」
ルーチェはしかめっ面だったが話は決まった。今日は荷造りをし、
翌日出発する事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます