第5話 ヤンキーVSヒョロメガネ

  「バコ!!」「クソがぁ・」

ゲーム筐体を蹴り上げる不良ぽい。ワイは恐る恐るどんなゲームか遠巻きに覗く。

「フンガー」ヒゲマチョな男が、パイルドライバーを決めていた。

周囲の敵キャラを殴りまくりの投げまくりのアクションゲーム。

(ああ!!なんか雑誌でみた事あるぞ!ファイナルファイトだっけ?)


動いているのを見るのは初めてだった。近いゲーム性のダブルドラゴンや

ゴールデンアクスを思い出したが、ファイナルファイトのほうがキビキビしていて

爽快感がありそうだ。

しかしその分難しそうな印象を感じた。


うーん・・ダブルドラゴンは肘打ちをしとけばある程度遊べるが、これはそうはいかなそうだ・・・そんな事を考えながらずっとプレイをみていた。


さっきから3面のソドムに次々倒されるヤンキー共。

「クッソーぜんぜん、倒せねぇ・・コイツ」

「次オレな、攻略法おもいついたわw」

ヤンキー共・・。まあそうだろうとは思ったが仲間内だけで順番廻してる・・。


さっきからワイの横で順番を待ってる風のヒョロメガネの兄ちゃんは、ふてくされた表情でヤンキーをみていた。

(ワイは見てるだけで十分だけど・・ まあヒョロメガネさんドンマイ)

そんな、なんの足しにもならないエールを心の中で贈った。


そんなヒョロメガネを横目でみながら仲間に耳打ちするヤンキーたち。

「なあ・・アイツ・・なんかさぁ・・絶対そうだって・・ククク・・」

完全に舐められ、笑いものにされるヒョロメガネ。


見ている間に殺気立つヒョロメガネの表情、しかしヒョロメガネは動かない!

なにも言わない!ただ立ってヤンキー共を見つめる。

なぜならヒョロメガネはヤンキーに勝てないからだ。

1対1でも勝てそうにないのに相手は3人である。

食って掛かるにしても無謀すぎる。


それをいい事に執拗挑発するヤンキー

「監視オツカレサマデース、なんつて!」


     「!!!!!」    


    あからさまな挑発・・・。


今の一言でなにかが変わった・・。ヒョロメガネは荒い息遣いとなり

肩揺らし深く息をしはじめた・・。


(あれ?メガネさん・キレちゃうなコレ)


薄明かり照明でも彼の表情が紅潮するのがわかった。

なにより血走った目はもはや異形にさえみえた。

(こりゃ離れといたほうが・・)

そう思った瞬間。

「オイ!!なにガンくれてるんじゃ!!」

先に動いたのはヤンキーだった。

立ち上がるとヒョロメガネの胸ぐらを掴む。

完全にタイミングを逸したヒョロメガネは一瞬たじろぐ、その隙をヤンキーは見逃

さない。


「おらぁ!!」


イスに半分もたれ掛かるように押し倒されたるヒョロメガネ。

首を圧迫され苦しそうだ。


だが、ヒョロメガネの目は死んでいなかった!

その体制のままヤンキーの首と顔に掴みかかる。

「触るんじゃねーよコイツ」反撃に動揺するヤンキー。

意外にも他のヤンキーは動かない、一人は依然ゲームをしているし、

もう一人も立ち上がったものの近づく様子はなかったが声をあげる


「オイ!修二さわぐな!逆にウゼーわ」

呆然と見つめるワイ(いったいどうなるだ・・)


「パチ・・パラパラ」


薄暗い、電球色のゲームセンター照明が切り替わり、昼白色の蛍光灯が付く。

その瞬間雰囲気が変わった。言葉通りに白けた雰囲気で出てきた。

「ちょっとーどうしたの!」

野太い声は店長だった。

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