1章 第4話

アリサ先輩に案内された2人とミツルさんと一緒に一見ただの普通の建物に案内された。こんな所に一体何があると言うんだろう。


「なあ、アリサもしかしなくてもここも異変によって出現した物じゃあないかな」

「ええ、間違いなくそうよ。私がいつも通っている道を歩いているとふと見慣れている建物に違和感があったのそれで引き寄せられるように入ってみると中はこんな感じになっていたわけ」


ドアが自動で開き中に入ってみるとそこは壁が全体が真っ白な空間だった。ミツルさんはすごいなと感想を漏らしていたが2人にはここがとんでもなく恐ろしい場所に思えてくる。アリサ先輩がパソコンの操作をしている。すると壁が光が線を描くようにあちこちに走っていてそれが収まると壁から何かが出てきた。アリサ先輩がそれを取り出す。それはライフルと呼ぶべきか少し変わったデザインだった。


「アリサ、それは一体」

「どう、すごいでしょ。これはあたしが作ったのよ!」


自信満々に胸を張って自慢するアリサ先輩が次の動作に移る。再びパソコンを操作して壁が光だす。それが収まると床から大きな鉄の塊が現れる。それをアリサ先輩がライフルを鉄の塊に向ける。


「あ、物凄い音が響くから耳を塞いでおきなさい」


それを察した2人とミツルさんは耳を塞ぐ。そして引き金を引き、撃つ!チュドン!!という音が部屋の空間一体に響く。耳を手から離して先程撃った鉄の塊を見ていると大きな穴が開いていた。そこからジュウジュウと煙が吹いている。アリサ先輩を見てみるとニヤリと笑っていた。


「うーん、やっぱり音がうるさいわね。ここはもっと改善しなくちゃね」

「アリサ先輩、本当にその武器を自分で作ったんですか?」

「未だに信じられません」

「確かに私が作ったと言うのも変ね。これを見てみなさい」


パソコンに目を通すとそこには武器の設計図が乗っていた。それをアリサ先輩が好きなように組み立てていきオッケーかイエスかどちらかを決めオッケーを選ぶと何もない壁から武器が現れるという仕組みになっているようだ。


「これで私もあの化物を倒せるわね」

「おい、まさかとは思うが武器を生産しまくってそれを皆に持たせて戦わせる気か」

「別に皆じゃあ無いわよ戦う勇気がある人とか素質がある人とかを探してまずは訓練をしながら見込みがあると分かれば化物と戦ってもらうわ。もちろん無理矢理とかないから安心して。ミツル先輩だっってこの子2人だけで戦わせる訳にはいかないでしょ」


ミツルはヒナガとアスガをみる。確かにこの2人だけで出来ることも限られてくる。もし2人がピンチに至った場合我々だけが動かないのは良くない。せっかくアリサがこんなすごい物を発見してくれたんだ。使えるものは使おう。分かったと言おうとするところで2人に止められた。


「すみませんがここは封印させてください」

「ちょっと!どういう意味」

「アリサ先輩、1人で昨日の夜遅くまで調査していたんですよね。なら分かる筈ですこれは危険な場所だと。確かにここの街に住む人達は皆優しい人達です。誰かのために助け合いたいとも思っているはず。しかし、だからこそです、もしこれが一歩間違えれば大惨事になりかねません。そのせいで暴動が起きる可能性だってあるのです。皆さんを信じたい気持ちもありますがどうかお願いします、ここは少しの間封印させてください」


ミツルさんとアリサ先輩は黙ったままだ。2人はどうかお願いしますと頭を下げる。アリサ先輩が口を開く。


「もし2人が手に終えないときはどうするつもり。言っとくけど私はあなた達を失いたくないわ。もし各地全体に化物が現れたらどうやって対処するの」

「安心してくださいまだ自分達で何とかさせますので」

「何とかさせるって」

「信じてくださいこれでも私達は死者何ですから」


それを聞いたミツルさんとアリサ先輩が近づき2人の頭に拳骨をする。物凄く頭が痛い。どうして殴られたんだろう。


「君達は死者とかいうがそんなものに痛みなど感じない。だが違うだろう?今、こうやって痛みを感じている者は間違いなく人だ」

「······でも」

「でも、も、くそ、も無いわよ。次言ったら両方の頬っぺたにビンタを食らわすわよ」

「「······はい」」


これ以上何かを言うと本当にビンタを食らわせる雰囲気があったので口を閉じる。アリサ先輩は持っていたライフルをしたの床に置くとそこから穴が開きライフルが真っ暗な空間に落ちる。


「今のは処分ね、これからリサイクルとしても使えるわ」

「アリサ、本当に良いのか」

「ええ、2人に免じて今のところは封印ね。ただし、使うと判断した時には遠慮なく使わせて貰うわよ。良いわね2人とも」


2人は、はい、と頷く。そうと決まればここからおさらばだ。私達は外に出るともう完全に真っ暗だったもう夜の11時を越えている頃だろう。随分と話し込んでた気もするが短い話し合いだったのだろう。2人はミツルさんとアリサ先輩と別れて家まで帰る。家につくとミツルさんと同じ年の少女が立っていた。


「あら、2人ともお帰りなさい。随分と遅かったわね。もう子供達は眠ってしまったし。心配してたわよ」

「ただいま戻りましたリンさん」

「申し訳ございません、ミツルさんとアリサ先輩と長いこと話し合ってたので遅くなりました」

「そうなのね、でもダメよこんな夜遅くまで起きてちゃあお肌に悪いんだから。2人はまだまだ若いんだから早く寝なきゃ」


それはリンさんも同じだろうと思うがあえて言わないでおく。2人は家に入ると同時にぎゅるるるとお腹の音がなる。まさかこんな時になるとは。リンさんが心配そうに見つめる。


「もしかして、何も食べてないの?てっきりミツルちゃんとアリサちゃんとお食事してたと思ったのに」


リンさんはミツルさんの事は知っているがアリサ先輩の事は知らなかったけど私たちが新しい友達が出来た事を教えたので顔は知らなくても名前は覚えているということだ。


「はい、何も食べていません」

「何か食べるものはありますか」

「全く、何をやっていたの2人は。仕方がないわね、もう遅いし軽めの物で良いわね」


本当に申し訳なく思う。後でリンさんに謝っておかなければ。あと寝ている子供達にも。2人は夕食を済ませたあとリンさんにミツルさんとアリサ先輩と何をしていたのか色々と聞き出されたが何とか誤魔化しつつ2人は部屋に入り布団に潜る隣には5人の小さな子供達がすやすやと眠っている。皆可愛い子達だ将来は美人さんになるだろう。2人は寝ている子達にお休みなさいと言って眠りにつく。


徐々にこの街に危機が迫っている。それを知るのはあともう少しだ。

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