1章 第3話

ミツルさんとアリサ先輩を連れて2人は池が現れた場所につくとそこには人が何人か集まっていた。そこでは釣りをしている人たちが数名残りは眺めているだけの人がいる。自分達も池に近づき覗くとなんともまあ透けて通る綺麗な水だった。そこには魚が沢山泳いでいた。一人がこちらに気づく。


「あ、英雄の2人にミツルさんとアリサさん、おはようございます。もしかして、貴方達も釣りをしに来たのですか」

「おはよう、ハズキ、私達は調査をしに来たところだ。所で英雄の2人ってヒナガとアスガの事かい」

「何を言っているんですかそんなの当たり前じゃあないですか。ここに来て7年あの化物がこの街に来て守って来たでしょ?だから2人は英雄だよ」


そんなバカな、そんなのがあってたまるか。この2人は1ヶ月前に来たばかりであの化物も昨日の出来事だ。それが7年、2人はこの街にいて化物を退治して守ってきたことになる。


「あの、ハヅキさんでしたっけ」

「うん、もう私の事は覚えている筈だよね」

「すみません、今日が、初めてです」

「は、一体何を」


2人はこれまでの事を話す。意外にもハヅキさんは冷静でちゃんと最後まで聞いてくれた。もしかしたら取り乱すかも知れないと思ったけど心配は無さそうだ。


「ごめん、自分は今でもこの記憶が偽物だと思わない。だが2人が嘘をついているとも限らない。それでもこれだけは言える2人は既にこの街に住まう家族だって」

「はい」

「私達は家族です」


例え何度記憶がり変わっても私達が本当の事を教えるとハヅキさんと約束をする。それから何度も色んな人に話を聞いてみると皆の記憶にはばらつきがあった。ヒナガとアスガがこの街に来たのは2年前だったり5年前だったりと様だまだ。池の事も聞いたが来たときにはあったと認識している人もいれば自分達と同じで今日、現れたと認識している人もいるみたいだ。


「えっと、2人は1ヶ月前にこの街に来たんでしょ?ちゃんと覚えているわ。化物の事も昨日の出来事だし。池だって今日、現れて本当にビックリしたんだから。でもね、不思議と他の人達がその事に何にも思わないんだよね。それなのに私はその人達に気にもせずに釣りを参加しちゃったけど。どうしてかしら」


聞いた限りこの人は正常だが少しだけ認識がずれているみたいだった。そしてミツルさんの部屋に行きそこで話し合う。ミツルさんとアリサ先輩は黙りこくって考え事をしている。そしてついにミツルさんが口を開く。


「さて、色んな事がこの街に起こったが。もしかすると此れからも続くかも知れない。今、この異変に気づいているのはごくわずかな人だ。だが、油断はするな、気づいたときには認識がり変わってもいるかも知れない」

「もし、変だと思ったら。その時は話し合う事にしましょう。2人もそれで良いよね」


2人はこくりと頷く。さて、今度は何をするか考えようよすると警報がなる。これは、化物が現れたと言うことか。


『南に複数接近中!通常の化物が現れました!繰り返します南に複数接近中!通常の化物が現れました!』


2人は立ち上がり外に出るとミツルさんとアリサ先輩が近づいてきた。


「良いか、通常の化物だと言って油断はするなよ」

「無事に帰ってきなさいよ2人とも」

「「はい!」」


南に向かった2人は近く死者達を蹴散らす。数は少ない、これなら直ぐに終わるだろう。ちらりと1体の死者に目を向ける。何故かその1体だけが動かないでたったままだ。だが2人は気にする必要なく残りの者を倒していきついに1体だけが残る。今もたったままでいる死者に少し不振ふしんに思う。ここは一旦ヒナガが敵に近づき攻撃をする。回し蹴りを食らわすヒナガだったが敵が片手で受け止めてヒナガの足をがっしりと掴む。


「っ!、アスガ!」

「分かった!」


ヒナガは今も足を捕まれたまま抜け出さずにいた。とんでもない力だ。アスガは素早い動きで、敵の後ろに回り込み氷の槍を作り出して背中を攻撃するが死者はヒナガの足を持ち上げくるりと後ろに向きアスガの攻撃をヒナガで盾にする。


「く!」

「アスガ!構わず攻撃をしなさい!私達は既に死んでいる、だから多少の傷なら直ぐに治るわ!」


だがそれを聞いて攻撃する筈がない。だが敵は待ってくれない。ヒナガを振り回して地面に叩きつける。次に敵はアスガに近づきかかとで頭を叩きつける。アスガは顔面を地面にクリーンヒットする。顔と頭が割れそうだ。アスガはふらりと立ち上がり敵を見る。敵は次の攻撃を仕掛けると思ったがじっとたったままだ。どういうつもりか知らないけど来ないならこちらからやる番だ。ヒナガもふらふらと立ち上がり構える。


「つまらん、何故、本気を出さない」


喋った、たった今敵が2人の目の前で喋った。二人はさらに警戒を高めて敵を見る。


「何をそんなに驚く必要がある。貴様らはこの数年我々と戦ってきただろうに。ふむ、どうやらお前達はまだ我々と戦うのはつい最近の出来事か、実に面白い」


こいつは一体何を言っているんだ。見た目は他の者と変わらないのに雰囲気は一段と違っていて強さも桁違い、しかもおまけに喋りだすと言う。この敵は一体何者なんだろう。


「戦いも、経験も、全て素人その者だな。せっかく、私は強くなって貴様らに戦いを挑んだと言うのにまさか、別の世界線を越えてしまうとはとんだ誤算だ。まあ良い今日の所は引き上げてやる。次に会うときには少しでも強くなって私を楽しませてみろ」


敵が遠くまで行って消えてしまう。一体何だったんだろ?とにかくこれで死者は居なくなったのでミツルさんとアリサ先輩の所まで戻る。ミツルさんとアリサ先輩は自分達のボロボロの姿を見て驚きそして怒る。アリサ先輩は涙を流していた。どうやら心配をかけてしまったようだ。だが今回の敵は予想外だったのだ。


「なるほど、2人が戦った化物は喋るし強さも段違いだったのか、それに数年も2人と戦っていた。それも別の世界線のヒナガとアスガを」

「はい、敵はそう言っていました」

「自分は強くなって私達に戦いを挑む為に来たと、でもそれが私たちとは違うようで」

「化物はいつも通りこの街に来て2人に戦いをしに来たけどそれが何らかのきっかけで私たちの世界に来たということね。うーん、未だに信じられないわね、その別の世界線って本当にあるの?」


そんなことは知らない何せこの街は謎だらけだ。もし世界線と言うのがあればそれはとんでもない事だ。この事を街の皆に言うのはどうか聞いてみる。


「いや、やめておこう。多分信じない人もいれば混乱する人もいるだろう。ここは今のところ我々だけでとどめておこう」

「さて、もうお昼だしご飯の時間にしましょうか。ミツル先輩、台所使わせて貰うわよ」

「ああ、構わないが火事は起こすなよ」


心配しなくても分かっているわよと言って台所まで移動する。2人は取り敢えずミツルさんと話し合う事にする。もし、強い敵が現れたとき2人では対象しきれないと。その場合仲間が必要だ。しかし現に戦えるの自分達2人だけでそれ以外の人はいない。それはミツルも昨日の晩から朝まで考えていた。しかし今のところは手段は思い付かない。


「ほら、出来たわよ、焼き魚に豆腐、味噌汁にご飯、どう、旨そうでしょう」


確かに食欲がそそられる料理だ。お粥の時も旨かったが。2人はまず焼き魚を食べる。2人は顔を誇らばせる。ちょうど良い塩加減だ。次は味噌汁を一口啜る。旨い、この味噌は普段飲んでいるものと違うようだ。


「これはね、私自家製の味噌を使っているの良かったら後で2人にも作り方を教えてあげる」

「良いんですか」

「じゃあ、その時はよろしくお願いします」


残りの豆腐やご飯を食べ終わりご馳走さまをする。どうやら2人は満足のようだ。アリサは食べ終わった食器を持ち運び洗う。2人もこちらに近づき手伝いをするきだったけどすぐ終わるからと言って2人は帰って良いよと伝える。何せ2人はボロボロだから今日は帰って休ませたい。2人はそれを聞いて分かりましたと言って家から出る。片付けが終わるとミツル先輩の部屋に行く。


「ミツル先輩、私も今日は帰るけどちゃんと休んでなさいよ」

「ああ、すまなかったね、わざわざ料理まで作ってくれるなんて、君とはちゃんとこうやって話したことがなくて新鮮な気がするよ」

「私もですいつも遠目で見ていてこの人はリーダーであり頼れる先輩だと思っていました。いつか話せる日が来ると良いなと思っていたけどこんな形で話せる事ができて嬉しいです。それにあの2人にも会えたし」


私とミツル先輩はお互い見つめあって笑う。これもあの2人のお陰だということだ。私はミツル先輩に失礼しますと言って家から出る。ミツルはアリサが出ていった後ポツリと呟く。


「あの味噌はアリサの自家製のだったのか。しかしあんな物、僕の家に置いてあったかな?」


簡単の事だアリサはいつもの味噌にちょっとした工夫を付け加えただけだ。それが普段飲んでいるものと違い美味しい物となったのだ。一体どうやったかは皆さんのご想像に任せよう。


アリサは家の帰り道いつもの場所を歩いていた。そんな帰り道に異変に気づく。そこは一見普通の建物にも見えるが自分には別の何かに見える。ごくりと唾を飲み込み一歩ずつその建物に近く。ドアの前まで来ると自動で開く。中に入ると中は真っ白い空間だったたったそれだけ階段や部屋エレベーターも何もない。いや、1つだけある。ポツンと小さなテーブルにパソコンが1台おいてあった。私はパソコンに興味を引きパソコンのふたを開ける。電源をつけるものはどこにも見当たらない。ならどうやれば良いのか考えると画面が勝手に光だした。


一瞬ビックリはしたが画面を見つめる。そして文字が自動で入力されていく。それからすると画面から武器の設計図が現れる。


「これは一体······」


どうやらここから操作が必要なようで取り会えず画面に写っている説明通りに打ち込んで武器を形作る。オッケーかイエスがあり私は迷わずオッケーをクリックする。すると白い壁から光の線が描くようにあちこちに走る。これは何が起きているんだろうか。数分たってから収まり何もないと思われた白い壁から前に押し出されるように何かが出てきた。私はそれに近づき見ているとそこにはパソコンで設計した通りの武器があった。私はそれを手に持ってみる。軽い、見た目は重そうなのに軽々と持ち上げる。するとまた壁が光だした。


「もう、今度は何よ!」


そして数分たってから収まるとしたの床からぱかりと何かが開きそこから大きな鉄の塊が現れる。もしかして、試しに撃ってみろと言うことだろうか。なら、遠慮うなくやってみる。引き金を引き金をそして打つ。


チュドン!!という音が部屋の空間一体に響く。武器を手から離し思わず耳を塞ぐ。


「~!これ耳の膜が破れたかしらね」


私は、先程撃った鉄の塊を見ていると驚いたことにそこそこ大きな穴がぱっくりと空いていた。それに今も穴からジュウジュウと煙が吹いていた。


「あは、あはは、これはとんでもない物を私は発見したのかしら」


そしてもしかするといけるかも知れないと私は思った。これから化物の戦いにおいて戦力になるはずだ。この事を今すぐリーダーであるミツル先輩とあの2人にも伝えたいがそれはあとだ。まずこれがどこまでの武器を設計できるか、その性能は確かなのかと調べてみる必要がある。だから私は1人でその作業に取り掛かった。


結局それは朝まで続いたどうやら夢中になりすぎたようだ。ミツル先輩と2人に会うと心配されていた。今日は休めと言われたのでそうすることにした。目が覚めるとすっかり夜になっていた。よほど自分は疲れていたのだろう。その時ミツル先輩がわざわざ私の家まで来てくれた。化物はどうか聞いてみると今日は来なかったらしい。私はホッと安心する。


そして私はミツル先輩にあれについて話すことにした。私が昨日見つけた場所まで案内させる。もちろん2人にもついてきてもらった。

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