1章 第2話
2人の少女、ヒナガとアスガは大勢の女子供達に囲まれていた。つい先程までこの街に襲ってきた化物達を不思議な力で倒していた。あれは一体何なのか聞き出すためにこうして集まっている。その中には勿論リーダーであるミツルもいる。ミツルは2人の戦いを見ていないので聞いただけだ。だから、今でも2人が不思議な力で倒した事など全く信じていない。現に2人が無傷であの化物達を倒して帰ってきたが未だに信じられずにいた。嬉しいのは確かだ。皆が無事に住んだのは間違いなく2人のおかげだ。
さて、あの戦いを見た者と見ていない者もいるだろう。その為にも2人の話を聞くとする。一体どうやってあの化物達を倒したのか。2人は一体何者なのか、目的は、この街に来た理由は、それをはっきりとさせるために問いただす。
「私はすでに死んでいます」
「言わば私は死者です」
2人の出た言葉に誰もがざわつく。死者、それは人を襲う化物、私達にとっての
「最初、目が覚めたときは自分達が誰か分かりませんでした。気づいた時には、死者に襲われていたので逃げていました」
「しかし、死者から逃げている間に思い出したのです」
「自分は死んでいると」
「そして、自分には何か不思議な力が眠っていると」
そんな2人は死者から追い込まれた日があった。このままでは不味いと。そんな時、頭に情報が流れ込んで来た。自分に眠る力が何なのかを。その力の使い方を。2人はその通りに力を開放させた。するとどうだろうか、身体中に力が沸き上がってくる。これなら行ける、そう思い次々と敵を倒すが、初めて使うのでうまく扱えず死者との戦いに限界がくる。しまいには力が尽きてしまうがある程度は追い払えたので逃げる事に成功した。だいぶ死者から離れる事がで2人がどこか安全な場所で過ごせないか探していた所にそこにはミツルがいて街に案内させる事になった。もしかしたら、2人はこの時に断れば良かったのかも知れない。そのせいであの死者をこの街に引き寄せてしまったのだと言う。
皆はそれを聞いてどう思うのか。2人はどんな言葉が帰ってくるのか待つ。例えこの街から出る事になっても良いと思っている。そんな時、リーダーであるミツルから声がかかる。まず、2人が化物を倒した不思議な力を皆の前で見せて欲しいと。2人は目を開く、どうして急にそんな事を言うのか分からなかった。普通は今の話を聞いて追い出すのが当たり前なのだと思うのだが。そんなミツルはこう言った。とにかく見せて欲しいと、話はそれからだ。一体ミツルは何を考えているか分からなかったが、2人は言われた通りにする。
ヒナガは銀色の炎を身体中に
「この2人を追い出したい者達はいるだろうか!もしくは2人をこのまま街に住まわせて良いだろうか!皆に問う!」
「2人をここに住まわせます!」
「私も!」
「あたいも!」
次々と声が上がっていく。誰もが2人を追い出す何て口にはしなかった。ああ、2人はここにいて良いんだ。どうして皆はこんなにも優しいんだろう。なら、もしあの秘密を知った場合も受け入れてくれるのだろうか。そう、2人にはまだ秘密がある。しかし、これだけはどうしても口には出しにくかった。なのでまだ、言わないでおこう。2人は心の中にしまう。ただ、これだけは言わせたい。
「皆さんは本当によろしいのですか?」
「自分がここにいることによって迷惑になるのですよ」
2人がここにいればまたあの死者達がこの街に来る場合を考えたら今すぐでもこの街から離れた方が1番皆にとって良い筈だ。それでも皆は言う。この街にいてくれと。何で1ヶ月しか過ごしていない2人を受け入れてくれるのかどうして信用出来るのか分からなかった。そんなミツルからこう言われる。
「1ヶ月で充分2人を信頼出来たさ。現に君達はあの化物を倒してくれた。それだけで2人を受け入れるには良いは筈何だが、嫌だったかい?」
「そうよ、それにあの化物達がこの街にやって来たのは2人のせいじゃないよ。だって、あの化物は2人が戦った時とは別何でしょ?私もあんな化物見た事無いから。もしかしたら新たな複数個体かも知れないわよ。そして、なんなかの理由でこの街に来たのかも知れないわ」
「だから心配するな。それに言っただろう?君達2人はこの街に来たときから家族だと」
2人は頭を下げる。ありがとうございます、これからもよろしくお願いしますと、お礼を言った。そして2人には役割を与えた。もし、先程見たいに化物が来た場合は退治してもらうと言う事に。だが2人だけでどうにかなるわけでもない。もし方角全体から来た場合2人が別の所に対処している間に他の所から来た化物がこの街に攻め混んでしまったらもとも子もない。なので我々も化物を
「おはようございますミツルさん」
「おはようございます、所でミツルさん目にくまが出来ています。もしかして1日中考え事していたんですか?」
「ん、ああ、おはよう、2人とも、すまない、どうやら寝る事をすっかり忘れていたよ」
「あまり、深く考えなくても良いですよ」
「そうです、確かに、自分達が対象できなくなった場合、他の皆にもやらなくちゃいけない事もありますが無理はしない程度でお願いします。皆さんにもしもの事があってはいけませんから」
それは2人も同じだとミツルが言う。家族である2人だけ無茶をさせる事はこのミツルが許さない。何としてでも自分達にも何か出来るのか探して見せる。所で2人はどうしてここに来たんだろう?それに自分がいる居場所も伝えていないのに何故、ここにいるのが分かったんだろう。それを2人に聞いてみる。どうやら、私の知り合いのクミと会って自分がどこにいるか二人に教えたらしい。成る程それなら納得する。だが2人はただ自分に会いたいだけで来たのではないと知る。なら一体何の用があるのだろうか。
「実はクミさんが気になる事があったので伝えて欲しいと言われまして」
「クミさんが先にその場所にいるので自分達とミツルさんと一緒に来て欲しいとの事です」
気になる事があった、か、確かにそれは気になる。なら私とこの2人と一緒に行くとするか。2人にクミがいる場所まで案内させてもらう。そこは自分がバリケードに配置していた場所の北の方だった。そこに一体何があるのだろうか。するとまだ、バリケードを張っていない所でクミが待っていた。どういう事だろうか。まだバリケードが張っている場所ではないのに。クミはこちらに気がつき声をかける。
「良かった、来てくれたんですね。って、ミツル、目にくまができてますよ」
「あはは、1日中考え事していたからすっかり寝るのを忘れていたよ」
「全く、何をやっているんですか。どうしよう、せっかく来てもらったのに······やっぱり今日は止めにしてミツル、休んでください」
そう言われたが自分は今、やることを優先する。なので、クミが言われた通りにはしない。それを聞くと倒れたらもとも子もないと怒っていたが無視する。2人にも心配そうな目で見られたが。そこはすまないと謝っておく。さて、クミが気になる事があると言うのは何なのかを聞く事にする。
「私が朝早くバリケードを配置しているの場所に行こうとした時ふとおかしな事に気づいたんです」
「おかしな事?それは一体何だ」
「取り敢えず来てください」
そう言って歩き出すクミに自分達はついて行く事にする。今、行こうとしているのはバリケードの所だろう。そして歩いていくうちに私はおかしな事に気づく。クミもこちらに振り向き気づきましたかと言う。確かにこれは気になる。2人はどうやら気づいていないようで首をかしげている。仕方がない、そこはちゃんと教える事にする。
「今、通ってきた道が明らかに違っていた」
「?、さっぱり分かりません」
「一体どういう事でしょうか」
「えっと、つまりね、普段通ってる道なのにバリケードが配置している場所までまだつかないの。それだけじゃないわ、私達がいつも見ている風景って言うの、例えばこんな所に川何て無かったわ」
確かにと2人は頷く。しかし単に道を間違っただけかも知れないがそれは無いだろう。なにぶんミツルとクミは長い間ここに住んでいるのだから間違える筈もない。2人も確かにミツルに案内された時に通ったがこんな場所に川があるなんて知らない。
「とにかくバリケードの所まで行ってみるか」
「はい」
「分かりました」
こうしてバリケードにつき周りを見回すがたいした異変は見つからない。どうやらここは通常のままのようだ。とは行かなかった。ちなみにここは炎を
「ハアハア、いました、ミツル先輩、こんな場所にいたんですね」
「君は確かアリサだっだな、どうしたんだ、そんなにあわてて」
「はい、実は東の方なんですがって、ここも綺麗になってる!」
話によると東の方に来た氷の化物に周りを氷ずけ状態になっていた筈が今日見に行くと元通りになっていたらしい。しかしそれだけではない東のバリケードまで行く途中いつもと違い道が遠くなっていてそこには大きな池が出来ていたらしい。まさか、ここだけではなく、東の方にも異変が起きているとは。ミツルは頭を抱え込む。また、新たな仕事が増えたと。そして、疲れがたまっていたのか体がぐらつく。
「ミツル先輩、どうしたんですか!って目にくまが出来ています!もしかして寝ていなかったんですか!駄目です、今日はしっかりと休んでください!」
「すまないけど2人とも、ミツルを部屋まで運んでやってくれないかしら」
「任せてください」
「ミツルさんがこれ以上無理はしないようにしっかりと見張っておきます」
2人はアリサ先輩と一緒にミツルさんを部屋まで運びベットに寝かす。ミツルさんは今、すやすやと眠っている。取り敢えずはこれで良い。あと、起きた後、無理はしないように見張っておく。アリサ先輩はまだ何も食べていないミツルさんのために体の良い食事を作る。こうしていると家族って良いなと思ってくる。だが、そこで気づく1ヶ月過ごして今まで気にしていなかったが今まで食べてきた食材はどこから持って来たのだろか?こんな大勢の人達がいる中食材が尽きる事なく生活をしている。もしかして、この街の外から運んだとかは無いだろう。もうあそこは死者によって街が崩壊しているから。仮にここと同じで無事な場所があるにしてもそこから貰うとかも無いだろう。死者がいる中で外に出る人もいないし自分達が生きていく為の食べ物をわざわざ渡す筈もない。なら普段私たちが食べている物は一体どこに。そこにアリサ先輩に声をかけられる。
「2人ともどうしたの、何か考え事?」
「アリサ先輩、実は気になる事が」
「私たちが普段食べている食べ物についてです」
アリサ先輩に普段どこで食材を手に入れているのかを聞いてみる。それを聞いてアリサ先輩は黙りこむ。急に黙りこんだアリサ先輩が気になりどうしたのか訪ねる。アリサ先輩は徐々に体を震わせる。ますます混乱してくる。アリサ先輩は一体どうしたと言うのか。
「あれ?何、一体これは何なの!」
「落ち着いてください!」
「アリサ先輩何がどうしたんですか!」
「今まで何で気づかなかったの?そうよ!食べ物は一体どこで手に入れたのか分からない!気づいたときには手に持っていたし。たまにここで祭りなどで食べ物を大量に使っているのに何で食材が尽きらないの!それに私がこの街に来たときはこんなに広くも無かったし大きくもなかった、一体何がどうなっているの!ガスは?明かりは?水は?この街に来て10年間どうしてそれが無くならないの?」
大声を上げるアリサ先輩の顔は青ざめていた。別に食べるものが尽きる事も街が広くなるのもガス、明かり、水があるのも喜ばしい事でもあるがそんな異変に今まで気づかなかった事はおかしな話だ。だがこれだけの事だけで怯えているとは明らかに違う。アリサ先輩は何に対して怯えているんだろう。アリサ先輩は口には出すもののそれが何なのか分からないと答える。でも一番大切な事を忘れていると答える。何故かそれを知るのがとても怖くて自然に怯えていると。
尽きる事のない食べ物、広く大きくなった街、どこからかに来ているガス、明かり、水、これは今日の異変と何らかの関係を持っていると考えた方が良いだろう。とにかくこの街は何か秘密がある。それを調べるにもひとまずアリサ先輩を落ち着かせる。数分後アリサ先輩は落ち着いてきて深呼吸しながら息を整える。
「ごめんなさい、2人とも、もう大丈夫よ。心配かけてしまったわね」
「全く、おかげで目が覚めたぞ」
「あ、ミツルさん、起きたんですね」
「言っておきますけどまだ、休んでくださいね」
「分かったよ、取り敢えずお腹がすいたよ。何か食べ物は無いか」
アリサ先輩が先程作っていた物を持ってくる。それはおかゆだった。私は別に風邪何て引いていないぞとミツルさんが言うがアリサ先輩が文句を言うなと怒る。良かったらどうぞと2人にも渡される。うん、旨い。するとミツルさんが口を開く。先程アリサ先輩が口にしていたこの街について自分でも気になる事があると。
「自分でも今まで気ににしていなかったがこの街は雨や雪などが降ったことがない。台風すら来たこともないな6年この街にいたのにもだ」
「それは本当ですか」
「それはおかしな話です」
「どうして今さらになって思い出したんだろう」
多分この街にいる他の皆も別に不思議に思わず過ごして来たんだろう。もしかすると、何らかのきっかけで思い出したと言うことになる。それは何か、もしかして自分達がアリサ先輩に食べ物に関して伝えたからとか。それだけでもない気がするが。もしかすると今日の異変に対して気づいていない人もいるのか。2人の予想が正しければその人たちは池や川など不思議に思わず既にこの街に来たときにあったと認識されているのかも知れない。自分達やミツルさん、クミさんアリサ先輩は池や川が今日現れたと認識しているが。これは一度確かめる必要がある。
2人はミツルさんとアリサ先輩に確認してきますと言いこの場から離れるがミツルさんとアリサ先輩がついて行くと言い出す。2人は別にアリサ先輩なら良いがミツルさんは駄目と言うが、頼むと言って言う事を聞かない。2人はため息を吐き分かりましたと言うとミツルさんは頭を深く下げありがとうとお礼を言った。けど、確認が終わったらしっかりと休むように念押しをする。もし約束を破ったら2人が得意料理、超激辛スパイシーカレーを食わせると伝えるとミツルさんは顔を青ざめてそれだけは勘弁してくれと言った。
1度皆にも2人が作ったカレーを食べてもらいたいと思いたくさん作ったのだが出来上がったカレーを見て皆は顔を青ざめる人もいれば匂いだけで辛さが鼻につき気絶する人もいた。誰も食べてくれないのを見て2人は一番近くにいたミツルさんに無理やり食べさせた。一口ミツルさんの口に入れさせると火山のように煙が頭に上ってそして倒れる。こうしてミツルさんは1週間眠ったままうなされていたと言う。誰もが口を揃えて言った、これは食べてはいけない物だと。おかしい、2人はあのカレーの何がいけないのか考えた。あんなに旨そうな物を食べないのは万死にあたいする。とまあミツルさんがカレーに対してトラウマを持っていると言うことだ。
さて、この時間帯ならもしかしたら人がいるのかも知れない。目指すは東にある大きな池が現れた場所に2人はミツルさんとアリサ先輩を連れて行く。果たしてそこにいる人はこの事に何も感じないのか。
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