第3話 トリニティ☆プリンセス、戦闘!

「はあっ!」

 ヴァイスが龍野に放った氷弾は、あっさりと回避される。

「ふんっ!」

 龍野の拳がヴァイスを捉えようとし――しかし、直前で止まる。

 次の瞬間、カーボナードの塊が拳から放たれた。

「あら、見くびられては困りますわ」

 しかしヴァイスは、ステッキを軽く振るだけで氷のバリアを展開し、塊を弾き飛ばす。

「何っ!」

「そこですわ!」

 動揺した隙を突き、跳躍して胸元を龍野の顔面に押し付けた。

「むぐっ!?」

「ステッキよ、わたくしに力を!」

 ヴァイスがステッキを振るうと、先端の宝石が光り輝いた。

 龍野の目から、生気が抜けていく。

「ふふ、貴方に頼みがあるの」

 ヴァイスは畳みかけるように、龍野の耳元で囁いた。

「荒ぶる闘志を押さえて、その場でうつ伏せに寝てほしいの。両手を頭の上で組んで、ね」

 龍野は黙って、ヴァイスの指示に従った。

 それを見届けたヴァイスは、口元を綻ばせた。

「うふふ、まず一人」


     *


「はぁっ!」

 ブレイバの蹴りをステッキでいなすブランシュ。

「そこ、隙ですわよ」

 迂闊なタイミングで繰り出されたパンチを、ステッキで打ちつけるように払うと、跳躍して胸元をブレイバの顔面に押し付けた。

「うぐっ!?」

「さあ、捕まえましたわ」

 そしてステッキを後頭部に押し当てると同時に、先端を光り輝かせる。

「最低限の生命維持以外は、おやすみなさい。まあ、24時間経てば治まりますから、心配は要りませんわ」

 ブランシュが拘束を解くと、ブレイバは前のめりに、どさりと音を立てて倒れた。

「こちらも、終わりましたわ」


     *


「せいっ!」

 ハルトのククリナイフを、体を海老反りにして回避するグレイス。

「では、こちらも荒っぽく行きますわ!」

 グレイスは振り切った右腕を狙い、ステッキを振るう。

「ぐぅっ!」

 ハルトがうめくと、グレイスは畳みかけるようにハルトの顔に胸を押し付けた。

「んぐっ……!」

「終わりですわよ!」

 仕上げとばかりに、グレイスはハルトを突き飛ばすと、ステッキで弾き飛ばした。

「あらぁ……ホームラン、ですわね」

 ハルトが突き破った「大」の字の壁を見ると、ステッキを肩に担いで呟いた。

「さあ、邪魔者は消えましたわ」


     *


「あいつらがやられたか」

 モニター室で戦闘を眺めていたノイベルトとゲープハルトは、苦い表情を浮かべた。

「かくなる上は……アレを」

「ああ」

 二人はモニター室を後にし、何やら準備に取り組んだ。


     *


「このっ、貴様……」

 ララ殿下が怒りと恥辱と快楽で顔を真っ赤にしながら、ハリアーを睨み付ける。


 ナニを隠そう、ハリアーはララ殿下の胸元の小さな果実を丹念に舐めていたのだ。


「ふふ、美味だな。小ぶりな癖に」

「うぅっ……! このっ、このおっ!」

 自らのコンプレックスを指摘され、怒りに燃えるララ殿下。

 そんなララ殿下の顔をまじまじと見つめながら、ハリアーは後ろから果実を摘まむ。

「やっ、やめろぉっ!」

 ララ殿下が更に顔を真っ赤にし、目を背けた。

「聞けん相談だ」

 ハリアーは我慢を強めながら、ララ殿下をいたぶっていた。

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