第7話 騒動の終焉
病院に運ばれた8人は全員軽傷だった。
探偵助手のハルト君は即退院出来たが、他の三名はそうはいかなかった。
興奮を抑える薬を投与され、今は眠っている。
「ハルト」
「はい室長」
「貴様はこいつらの看病だ。目が覚めたら何でも好きなものを食べさせてやれ」
「はい室長」
ララはハルト君に一万円札を渡し病室を出ていく。後ろからついていくのは人間に変化した銀狐のフェイスだ。
「ララ姫、何方へ」
「アリ・ハリラーの所だよ。奴には洗いざらい吐かせるからな」
「ふむふむ。拷問用具は?」
「そんなものを病院に持ち込むのは不可能だ。まあ、私の腕力だけで言う事を聞かせてやる。ふふふ」
「人間万力ですか? 怖いな」
「大丈夫だ。私は素直な奴には優しいからな」
ララとフェイスは別の病棟へと入っていく。
そこは特別な施設であり、精神病患者や犯罪者を収用する為、各所に鉄格子がありそこには警備員が控えていた。
警備員はララの顔を見て立ち上がって敬礼する。
「ご苦労。案内してくれ」
「はっ!」
警備員は再び敬礼しララを案内する。向かった先は元締めアリ・ハリラーの病室だった。
アリ・ハリラーは拘束衣を着せられ、身動きが取れない状態だった。
「おい、生きているか?」
「ララ室長ですか。生きてますよ」
「しかし、良い格好だな」
「お褒めいただき光栄です。ちょっと尻が痒いのでかいていただけますかな?」
「ふざけるなよ。キ〇タ〇を握りつぶすぞ」
「室長に握られるのなら潰されてもいいかも♡」
「誰が貴様の思う通りの事をするか。例の抱き枕の件だ。何処に隠している」
「私の自宅にありますよ。下北沢のワンルームです」
「住所は?」
「もう警察の方に話しています。鍵も渡していますよ」
「わかった。で、どんなものなのだ?」
「ふふふ。触り心地、抱き心地、そして官能的なセリフを何十通りも収録した最高級機ですよ」
「官能的なセリフだと!?」
「ええ。アルバイトを雇ったのですが、大変上手でね。数回にわたって収録しましたよ」
「性的な機能は?」
「ありません!」
「ないのだな」
「もちろんですとも。本質的に不要なのです。使用者の妄想力のみで行くべきなのです。穴や張り子や振動云々は邪道なのですよ」
「いや、貴様の思想はどうでもよい。そういう機能がなければな」
「ふふふ。私のプロデュースした最高傑作です。世界一、いや、銀河一の出来栄えですよ」
「製作はノラベル将軍とゲップハルト隊長だな」
「あの二人の能力あってこそ完成したのです。今はアルヴァーレのメンバー三人のモデルを製作中です」
「残念だったな。その遊びも今日でお終いだ」
アリ・ハリラーの鼻先をぴんと指先で弾くララ。
彼は一瞬顔をしかめたが、その程度で済んだことに安堵しているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます