男は脱出できるのか3

星成和貴

第3話

「まぁ、そうだよな」


 思わず独り言が漏れた。

 いくら扉だからと言ってこんな小さな扉では入ることはできない。つまりは、外れだ。


 なら、一体どこに?

 何度見渡してもそれらしきものはない。

 部屋におかしいところも特にはない。ただ1つ、写真の焦げ跡以外は。

 なら、やはり、その写真がヒントなのか?

 けれど、何度思い出そうとしてもそののことを思い出すことができない。


 ……


 …………


 ………………


 少女?

 小学校に入る前だから、体つきで性別は分からない。けれども、写真のその人は髪も短く、男の子っぽい服装をしている。これだけ見れば少女、だとは思えないはずだ。

 それなのに、何故、俺は少女だと思った?

 分からない。

 思い出そうとすればするほど、記憶にもやがかかる。


 俺は写真を一枚、ピンを外し手に取ってみた。そして、ソファーに腰を下ろし、写真と向き合おうとした。

 けれど、腰の辺りに違和感を覚えた。立ち上がり、よく見てみると、小さなドアの取っ手のようなものがついていた。

 一瞬、意味が分からなかったけれども、すぐに思い出した。俺は監禁され、扉を見つけて脱出しなくてはならないことを。

 ここを開ければ出られるかもしれない。けれど、このままでいいのか?少女のことを何一つ分からないままで……。


 分からない。

 少女のことも、俺がどうするべきなのかも。

 俺は写真とソファーを見比べ、分からないならとりあえず進もうと決意した。

 けれど、その前に俺は壁の写真を全て外し、ポケットにしまった。何か意味があるとは思えない。けれども、そうせざるを得なかった。

 そして、俺はソファーについている取っ手を握り、到底扉とは思えないそれを開いた。

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